敷金は返金される?返金されない?返還額や返却される時期を解説!

敷金は返金される?返金されない?返還額や返却される時期を解説!
敷金の返金について詳しくない方も多いのではないでしょうか。この記事では、敷金は返ってくるのか、また敷金の返還額や返却される時期はいつなのかを解説しています。敷金の返金額を増やすコツも説明しているので、ぜひお読みください。
監修者「谷川 昌平」

監修者谷川 昌平ファイナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!

敷金は返金される?返金されない?返還額や返却時期はいつ?

こんにちは。マネーキャリア編集部・FPの西田です。 


先日、20代の男性から次のような質問をされました。

返還された敷金を引っ越し費用に充てようと考えています。アパートの退去時に敷金はどのくらい戻ってきますか?あわせて、敷金の返還時期を教えてください

単身世帯であっても引っ越しには数万円から数十万円の費用がかかるので、プラスで入ってくるお金は少しでも欲しいものです。 


返還される敷金の金額ですが、部屋の原状回復にかかった費用が差し引かれた金額になります。


敷金の返金について何%程度などと具体的にいうことはできません。 


返金時期は物件によって異なり、詳細は契約書に明記されていますが、退去してから1ヵ月を目安に考えてよいでしょう。 


本記事では、敷金に関する基本情報にあわせて、敷金の返金額を増やすコツ、敷金に関するよくあるトラブルの対処法についても解説していきます。

敷金は返金されることがある!敷金の本来の役割について解説!


敷金とは部屋を退去した後の原状回復に充てられるお金です。


物件によっては、契約時にすでに退去時にかかる原状回復費の支払いが求められます。

敷金の相場は家賃の1ヵ月分、もしくは2ヵ月分といわれています。


最近では、敷金不要の物件も増えており、全ての賃貸物件において敷金の支払いが求められるわけではありません。


敷金は部屋のクリーニング水まわりの消毒などに加えて、場合によっては壁紙の張り替え網戸の入れ替えニオイ消しなどの費用に充てられます。


敷金がどれくらい戻ってくるかは、部屋の状態によって異なります。


部屋の状態が契約時と変わらない場合、原状回復にかかる費用はクリーニング代程度ですので、戻ってくる金額は大きいでしょう。


一方、壁紙を食べ物などで汚し、部屋にタバコなどの匂いをつけてしまった場合は、原状回復のために多くの費用がかかるため、返還される金額は少なくなります。


原状回復費が敷金でまかないきれない場合、原状回復費を追加で請求されることになります。


この場合、返還される敷金はありません。


敷金は原状回復に費用がさほどかからなかった場合は多く戻ります。


しかし、原状回復に高額な費用が必要な場合は返還されないだけではなく支払いを追加で求められるので気を付けてください。

敷金の返金はいつ?返還される敷金はどれくらい?


「敷金はいつ返金されるのか?」、「返還される資金はどれくらい?」といった疑問を抱かれている方も多いでしょう。


以下、敷金が戻ってくる時期にあわせて、返還される敷金はどの程度の額なのかを解説していきます。

①敷金の返金は退去時から1か月以内!

敷金の返金時期は家主、ないし物件によって異なるために一概にはいえません。


敷金の返金時期は契約書敷金欄に明記されているので、返金の正確な時期を知りたい方は、ご自身の契約書を確認してください。


敷金の返金は、一般的には退去時から1か月~2か月以内といわれています。


「敷金は退去から1ヵ月程度で戻ってくる」と把握していればよいでしょう。

②敷金の返金額は償却費と賃貸契約書の特約事項で確認する!

敷金とは原状回復に充てられるお金のことをいい、原状回復費が敷金を下まわる場合は残高が戻ってきます。


しかし、以下の事項に該当する場合、敷金のうち原状回復費以外にもいくらかが家主の取り分になりますので覚えておいてください。


敷金償却費

賃貸物件の契約内容によっては、敷金のなかに敷金償却費というカテゴリーがあります。


敷金償却費とは原状回復費が敷金を下まわった場合、残高が家主の手元に戻るお金のことです。


敷金は原状回復費を差し引いた分が借主に戻りますが、敷金償却費が規定されている契約においては原状回復費を差し引いた敷金は家主のお金になります


敷金償却費は退去時において家主と借主の間でトラブルになることも多いお金ですので、事前によく確認してください。


賃貸契約書の特約事項

敷金の特約とは、原状回復の原則とは異なる契約内容で、物件退去時にかかる費用を借主に請求する契約です。


原状回復の原則において借主が意図的に物件をキズつけた場合以外は、物件の修繕費は家主の負担です。


敷金の特約が付いている場合、家主が負担すべき費用を借主が負担することになります。


この特約が付いている場合、借主がクリーニング費、床や壁の張り替えにかかる費用などを負担することになります。


特約は借主に不利なため、特約が成立するためには条件が設けられています。

  • 特約の必要性があり、かつ暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
  • 賃借人が特約によって、通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
  • 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること

③敷金の返金額の平均を間取り別で紹介!

suumo引越し見積りにおいて、敷金の返金額の平均が間取り別に記されています。

ワンルーム2万9312円
1K3万7172円
1DK4万631円
1LDK6万6628円
2K3万4809円
2DK4万9084円
2LDK6万6164円
3K2万8979円
3DK
5万6412円
3LDK8万1209円
4K4万9379円
4DK5万4861円
4LDK11万2676円
5K以上
5万1060円
そのほか1万6386円

上述の表を見る限り、退去時に戻るお金は敷金のうちかなり少ないと思われます。


部屋をきれいに保つために気を付けて生活していても、日常生活において部屋を意図せずに汚してしまうものです。


思わぬところで修繕費がかかることも珍しくなく、最終的に戻ってくるお金は少なくなる傾向にあります。

④30%の人は敷金が返金されず追加で退去費用を払っていた

suumo引越し見積りによると、31.3%もの人が追加で退去費用の支払いを行っています。

つまり、約30%もの人たちが退去時に敷金の返金を受けていないということです。


追加で支払う敷金の金額は数万円から数十万円と、非常に高額になっています。


前述のサイト(suumo引っ越し見積もり)には、10代でも追加で請求されるお金の平均が10万円以上であると記されています。


10代の多くはワンルームや間取りの狭い部屋に住んでいますが、それでも追加で10万円以上請求されることも少なくないのです。

敷金の返金額を増やすコツ【契約時・入居中】

引っ越しにはなにかとお金がかかりますので、敷金が多く返還されれば、それだけ助かります。


契約時・入居中にできる敷金の返金額を増やすコツを5つ紹介していきます。

①契約書の特約事項に関して交渉する

契約書において敷金について特約事項がある場合、家主、もしくは不動産屋に交渉してください。


契約書に明記されている内容でも法的拘束力などはなく、当事者間で契約内容について自由に決めることが可能です。


契約者の希望が通るとは限りませんが、交渉に成功する場合もあります。


交渉に躊躇してしまう方も多いですが、数万円以上のお金が関係することですので、勇気をもって交渉してみましょう。

②入居前に部屋の状態を写真に収めておく

賃貸物件に住む場合、入居前に部屋の状態を写真に収めておくことは重要です。


物件の契約が決まり、部屋に入ったら、まずは部屋のなかをよく見まわしてキズや汚れがないかを確認してください。


たとえば、壁にキズが付いている場合、その部分を写真に収め、不動産屋もしくは家主にできるだけ早く連絡してください。


連絡後も、写真は削除せず、退去するまで残しておくようにしてください。


退去時に、自分が付けていない汚れやキズの修繕費を請求されるというトラブルは非常に多いです。

②ペットがいる場合は柱など引っ掻かれることがないようにする

ペットがいる場合は、ペットに部屋を引っ掛かれないように注意してください。


ペットの手が届きそうな部分にはカバーなどをかけて、キズがつかないように予防しましょう。


壁や柱にカバーなどを付けることは時間もお金もかかりますが、壁紙の張り替え費用や柱などについたキズの修繕費を払うよりも負担は軽いです。

③タバコによる匂いやヤニを極力付けない

タバコを吸っている方は、匂いやヤニを部屋に付けないようにしましょう。


自分の部屋の匂いにはなかなか気付かないものですが、部屋に匂いが付いてしまうと、少なくない金額をとられてしまいます。


タバコを吸われる方はベランダや外で吸うようにし、家のなかで吸う場合は喚起を最低限行うようにしてください。

④水回りのさびやカビに注意する

水回りのお手入れは難しいので、苦手な方も多いでしょう。


お風呂場、洗面所、台所のさびやカビはクリーニング、もしくは修繕を行う必要があるので、あまりにもひどい場合は敷金に追加の支払いが発生する場合もあります。


カビやさびは生活していると発生するものですので、家主と借主のどちらが損害を負担するかトラブルになりがちです。


自分がカビやさびを発生させてしまった際には、市販のクリーナーなどを利用して、できる限りしっかりと取り除くようにしましょう。


さびやカビを個人で出来る範囲で取り除くだけでも、退去時に敷金のうち戻ってくる金額が大きく変わります

⑤賃貸物件に長期間住む

6年~8年に及んで部屋に住み続けた場合、部屋の汚れは経年劣化と見做されやすくなります。


物件は時間が経つにつれ、壁紙が剥がれたり、フローリングのワックスが剥がれたりするものです。


長く部屋に住んでいると、意図的に汚した汚れ以外は経年劣化と見做されやすいため、修繕費を請求されにくくなります。

敷金の返金額を増やすコツ【退去時】


敷金の返金額を増やすためには、退去時にどのような行動をとるかがカギとなります。


ここを怠ってしまうと、あなたが部屋を汚していなくても、原状回復費が多くとられてしまう可能性もあります。


退去時にできる敷金の返金額を増やすコツを4つ紹介していきます。

①敷金の返金額の詳細を請求する

敷金の返金時に明細や詳細などをが通知されないことも珍しくありません。


敷金の返金を受ける際には、返金額の詳細を請求するようにしてください。


思いもよらない部分の原状回復費やあなたが付けていないキズの修繕費が、資金から引かれていることもあります。


敷金の返金額だけではなく、原状回復にかかる費用の詳細についても把握しておきましょう。

②時間経過による損傷が借主負担になっていれば交渉する

時間経過による損傷が借主の負担になっている場合、交渉してみてください。


賃貸物件において6年~8年同じ部屋に住み続けた場合、意図的に汚したもの以外は経年劣化になります。


これに関しては、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」にも記されています。


たとえば、以下に挙げるものは経年劣化に該当します。

  • 日照による壁や畳の変色
  • 網戸の張り替え
  • ポスター、カレンダーなどの跡
  • 画びょう、ピンの穴
  • エアコンの内部洗浄
  • 自然災害によるガラスの損傷
  • エアコンの内部洗浄
  • 台所、トイレの消毒
  • 畳の表替え、裏返し
  • フローリングのワックスがけ

③通常使用による損傷が借主負担になっていれば交渉する

日常的に使用していれば、損傷する物は少なくありません。


この場合、家主に損傷の負担について交渉してみる価値は十分にあります。


交渉を成功させるにあたって、写真や使用感を書き留めたメモなどの証拠があると有利になります。

④退去時の立会いを行い簡単にサインしない

敷金の返金額を大きく上下する場は、退去時の立会いです。


立ち合いとは、管理会社の担当者もしくは家主が、退去前に部屋へ入り、借主とともに部屋の状態のチェックを行うことをいいます。


このとき、元からついていたキズや、通常利用によって破損した物についても詳細に説明を行います。


多くの方が賃貸物件、賃貸契約に関する知識をもたないため、家主から言われる通り書類にサインしがちです。


しかし、立ち合いにおいて少しでも疑問に思ったことは必ず質問してください。


退去時の立会いには、経年劣化に該当する物をある程度把握し入居時からついていた汚れなどの写真を持って行かれることをおすすすめします。


正しい知識と証拠をもって立ち合いに挑むことで、身に覚えのない修繕費の請求を防げます。


家主との交渉において納得のいかない状況に陥いた場合は、その場では保留にし、管理会社や自治体の不動産相談窓口に相談してください。

敷金の返金に関するトラブルや体験談を紹介!

借主と家主のどちらの負担に物件の汚れやキズをするか決め難い部分も大きいです。


敷金の返金や部屋の原状回復に関係するトラブルは非常に多いのです。


借主は言い分を信じてもらえないことも少なくありません。


また、立ち合い時に敷金返金の取り決めについて口約束で行ったために、後々から当初の取り決めと相違してしまうことも多いです。


以下、敷金の返金に関する2つの体験談をみていきましょう。

①敷金の返金の話し合いの際は感情的になってしまった体験談

3月末にアパートを退去しましたが、家賃2か月分の敷金が1円も戻ってこないばかりでなく、追加の費用も請求されてしまいました。


玄関まわりの壁紙は荷物などによってキズが付き、壁紙を新しくはりなおすことになりました。

シンクの掃除を怠っていたためにカビやさびがひどく、シンクについてはクリーニングではどうにもできないので、入れ替えを行うそうです。


これらにかかる費用は敷金では到底補えないということでした。


不動産屋に親戚とともに出向いたところ、感情的になってしまいました。


担当者と口論になってしまい、雰囲気が非常に悪くなりました。


しかし、敷金が戻ってこないことには納得できるものの、追加支払いはどうしても不満です。


壁紙のキズは意図的にではないにしろ、借主が日常生活を送るなかでつけてしまったものなので、修繕費を負担する必要はあるでしょう。


シンクはいくら掃除していなかったとはいえ、取替えの必要があるかは疑わしいです。


このケースについては、契約書において原状回復に関して署名、押印をしている場合は家主に従わなければならない可能性が大きいです。

②敷金返金の話を口頭で行ってしまう体験談

退去してから3ヶ月経ちますが、敷金が返金されません。


退去日の立会いでは、家主から「部屋には汚れもないので、敷金を返金します」と言われました。


しかし、後から修繕箇所が発覚したと言われ、敷金では足りないとのことで追加の支払いも求められています。


該当箇所については写真を撮っており、私が見る限り修繕の必要性を感じません。


敷金返金について話し合いの際に、書面を交わさなかったことが大きな失敗です。


家主と管理会社は別なので、管理会社が「修繕を行う」と主張すれば、敷金は戻りません。


追加支払いに関しては、修繕予定箇所の見積書を提示してもらうことからはじめましょう。


修繕後に、修繕作業中の写真、作業完了の写真を提示してもらえないか交渉する必要があります。

2020年4月から敷金の返金に関する民法のルールが改正された


2020年4月から敷金の返金に関する民法のルールが法改正されました。


賃貸借契約に関するルールの見直しによると、改正のポイントは以下になります。

  • 賃借物の修繕に関する要件の見直し
  • 賃貸不動産が譲渡された場合のルールの明確化
  • 賃借人の原状回復義務及び収去義務等の明確化
  • 敷金に関するルールの明確化
  • 賃貸借継続中

上述において本記事に関係する箇所は、「賃借物の修繕に関する要件の見直し」と「賃借人の原状回復義務及び収去義務等の明確化」です。


改正後の民法では、賃借人が賃借物を受け取った後に生じた損傷の原状回復義務を負うことが明記されました。


しかし、これにあわせて、通常損耗経年変化については、借主が原状回復義務を負わないことが記されています。

まとめ:敷金の返金についてしっかりと理解しよう

賃貸物件の契約時に支払った敷金は、原状回復にかかる費用を差し引いた額が返金されます。


返還される敷金はわずかな金額だったり敷金の返還どころか追加で支払いを求められたりというケースは多いです。


敷金の返金をめぐって家主と借人との間でトラブルが発生することも珍しくありません。


物件のキズや汚れについて経年劣化などに該当するものと、借主の過失・故意でついたものとの区別はなかなかつかないものです。


家主と借主のどちらが損傷を負担するか揉めてしまうケースはよくあります。


退去時に、敷金を多く返還してもらい、思いがけない修繕費の請求を防ぎたい場合は、事前対策が不可欠です。


入居時には部屋全体を見まわし、汚れやキズがないかチェックして、少しでも気になる部分があったら写真に収めた上で、家主に連絡しましょう。


退去時には、経年劣化に該当する物を念頭に入れた上で立ち合いに臨み家主の主張に少しでも違和感を抱いた場合は即答を控えてください


マネーキャリアでは、他にも読んでおきたいお金に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。