生活保護費は前借りできる?お金が足りないときの対処法は?

生活保護費は前借りできる?お金が足りないときの対処法は?
生活保護費の前借りをしたいと思っている方もいるのではないでしょうか。今回は、生活保護費が前借りできるのかについて解説しています。前借り以外のお金の捻出方法や生活保護制度の利用者が金融機関からお金を借りることができるのかも説明しているので、ぜひお読みください。
監修者「谷川 昌平」

監修者谷川 昌平ファイナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!

生活保護費は前借りできる?お金が足りないときの対処法は?


生活保護。国民の健康で文化的な最低限度の生活を保障するため、税金から賄われる、生活困窮者を支援する一連の制度です。


この生活保護の費用ですが、前借りすることはできるのでしょうか?


今回は生活保護費について

  • 生活保護費は前借りできる?
  • 食費がない時は?
  • 前借りはできないが扶助を受けられる可能性も
  • 税金等の減免・免除制度
  • 金融機関からお金は借りられる?
以上の内容を中心に解説していきます。

生活保護費はCWの判断で1回のみ前借りできる可能性がある


生活保護費は、原則として前借りすることができません。


前提として、生活保護費を支給してくれる福祉事務所には、お金がありません。


生活保護費の支給日になると、朝に銀行まで赴き、お金を取りに行っているのです。


毎回支給する金額のみを受け取るため、前借りに回すような余分なお金は一切ありません。


ただし、CW(ケースワーカー)の判断で、1回だけ前借りできる可能性があります。


それも、ケースワーカーを納得させるだけの、特殊な事情がある場合に限られてきます。


前借りする際に貸し出されるお金は、緊急援護金と言われます。


社会福祉協議会が、生活保護を申請している人の中で、所持金がない人のために貸し出すお金です。


そのため、前借りでお金を貸し出すことは基本的にできません。

生活保護を受けていて食費がないときはどうなる?


前借りができず、どうしてもお金がなくなってしまったり、不測の事態が発生したりして、食費すら賄えないという事態もあり得ると思います。


そんな時は、どうすればいいのでしょうか?


以下2つの方法があります。

  1. フードバンクを利用
  2. 備蓄している食料が支給される
順番に解説していきます。

①1回のみフードバンクを利用できる


フードバンクとは、食べられる食品にも関わらずパッケージの破損や印字ミスなどの様々な理由で処分される食品を、食べ物に困っている人や施設に届ける活動です。


ケースワーカーと要相談になりますが、このフードバンクを1回だけ利用できる可能性があります。


ただし、生活保護の受給者は、「公的なセーフティーネットの制度にのっている」と見なされ、断られることも充分にあり得ます。


フードバンクによる食糧支援は、緊急的なものです。


「各福祉制度に繋げる一時的な支援」との考えから、継続的な利用はできません。

②CWの判断で自治体で備蓄している食料が支給される

CW(ケースワーカー)の判断次第では、自治体で備蓄している食料が支給されることがあります。

ただし、自治体が食料備蓄している理由としては、災害対策の意味合いが強いです。

自治体からの食料支給も必ず受けられるわけではないので、注意してください。

生活保護費の前借りはできないが扶助を受けられることがある


生活保護費の前借りは原則できないとお伝えしました。


他に受けられる支援としては、以下7つが挙げられます。

  1. 被服費や家具什器費
  2. 医療費の扶助
  3. 生業扶助
  4. 介護扶助
  5. 学費の扶助
  6. 転居や住宅維持の一時扶助
  7. 葬祭扶助
扶助の基準は、地域や世帯数などに応じて厚生労働大臣が設定します。

基準に基づいて、都道府県知事・市長・福祉事務所を管理する町村長が実施します。

それぞれの扶助には、一定の条件や上限額があります。

順番に解説していきますが、詳細は厚生労働省のホームページでも見ることができるので、確認してみてくださいね。

①被服費や家具什器費の一時扶助

日々の暮らしでかかる被服費や、炊事用具や食器類などがない場合、費用の扶助が受けられます。


被服費には以下が含まれます。

  • 布団類:布団類が全くないか、使用できる状態にない場合
  • 被服:普段着る服が全くないか、使用できる状態にない場合
  • 新生児の被服:出産を控えていて、新生児の被服を用意する必要がある場合
  • 寝巻:入院時に、寝巻が全くないか、使用できる状態にない場合
  • おむつ:常時、失禁状態にある患者が紙おむつを使用する場合

②医療費の扶助や通院のための交通費の支給


病気やケガをしてしまった際の、治療・手術・薬などの費用が支給されます。


医療券による現物支給が原則です。


治療に必要な、眼鏡・歩行補助の杖・義肢などの給付も対象です。


また、通院にかかった交通費も支給されます。

③働くことを支援するための生業扶助


生業扶助としては、以下がもらえます。

  • 就職に必要な技能を習得する費用
  • 就職準備のための費用
  • 子どもの高校の授業料
就職準備のための費用とは、就職する際に必要な器具・資料・服・靴を購入する費用のことを言います。

就職が確定した人の、初任給が入ってくるまでの通勤費の補填も行ってくれます。

④介護サービスを受けるための介護扶助


介護サービスの費用を支払い、現物給付がもらえる制度です。

介護扶助の範囲は、基本的に以下の通りです。
  • 居宅介護
  • 福祉要具
  • 住宅改修
  • 施設介護
  • 介護予防
  • 介護予防福祉用具
  • 介護予防住宅改修
  • 介護予防・日常生活支援
  • 移送

⑤入学準備金や学費の扶助


子どもの義務教育にかかる費用で、教育扶助と呼ばれます。


具体的には、学級費・教材費・通学費・給食費が該当します。


ちなみに「高校の授業料は教育扶助に含まれないのか?」と思った方はいないでしょうか? 


教育扶助に関しては、義務教育までが対象になります。


そのため、義務教育ではない高校の授業料に関しては、生業扶助に含まれるのです。

⑥転居や住宅維持のための一時扶助


転居に関しては、住居が非常に劣悪な環境で、明らかに住み続けることが厳しいと判断される場合や、納得のいく理由で家主が立ち退きを要求し、やむなく転居する場合の費用が扶助されます。


住宅の維持費に関しては、家賃・間代・地代・補修費などを支払う必要がある時の扶助です。

⑦葬祭のための葬祭扶助


お葬式・火葬・埋葬などの費用が支給される葬祭扶助。

この葬祭扶助で支給される金額は、最低限の葬儀を行えるだけの費用です。

僧侶の読経などは基本的に行われません。

直葬という、火葬だけのお葬式になるのが普通です。

葬祭扶助を利用するには、故人が経済的に困窮しており、葬儀のための資産を残していないことが前提です。

そして、次の2つの条件のうち、いずれかに当てはまる時に利用可能となります。

  • 遺族が経済的に困窮している場合
  • 扶養義務者がいない場合

遺族が経済的に困窮している場合


遺族も生活保護を受けていて経済的に困窮しており、葬儀費用が賄えないことが条件です。

故人が生活保護を受けていても、遺族に葬儀費用を払えるだけの収入や資産があれば、葬祭扶助を受けることができません。

扶養義務者がいない場合


扶養義務者とは「申請者と生計を同じくしている三親等内直系血族」のことを指し、
具体的には、両親・子・祖父母・孫・兄弟姉妹等が該当します。

故人に扶養義務者がいなければ、家主や民生委員が葬儀の手配を行います。

この場合も、葬祭扶助を受けることが可能です。

生活保護では税金等の減免・免除制度がある

生活保護では主に以下6つの減免・免除制度があります。

  1. 住民税や固定資産税の減免
  2. 国民年金保険料の免除
  3. 水道の基本料金の免除
  4. 保育料の免除
  5. 都営交通乗車券の交付
  6. ゴミ袋の配布
順番に説明していきますが、地域によって減免内容が異なる場合が多いので、お住いの地域はどうなっているのか、確認は必須です。

①住民税や固定資産税が減免される


住民税や固定資産税の減免を申請することができます。
減免を希望する場合は、納期限までに減免申請書を提出する必要があります。

住民税に関しては、生活保護を受けている方は非課税、生活扶助以外の扶助の場合は減免を受けられます。
固定資産税に関しては、減免申請を受け付けた日以後の納期限分が対象です。

生活保護を受けなくなった場合は、直ちに申告が必要です。
この場合、減免額は生活保護を受けなくなった日以前の、納期限までの税額となります。

②国民年金保険料が免除される


国民年金保険料免除事由(該当・消滅)届を提出すると、国民年金保険料が免除されます。

生活保護を受け始めた日を含む月の、前の月の保険料から免除になります。

生活保護を受けなくなった際も「国民年金保険料免除事由(該当・消滅)届」を提出しましょう。


免除期間中、老齢基礎年金の額は、1か月を2分の1で計算します。


過去にさかのぼって免除を希望する場合、その期間に収めた国民年金保険料は返金されます。

逆に、免除されていた期間に係る年金額を満額にしたい場合、追納を行うことが可能です。

③水道の基本料金が免除される

水道の基本料金が免除されることがあります。

免除される金額や基準は、地域や水道口径によって異なるため、確認してみてください。

中には、下水道使用料については基本使用料が免除になるという地域もあります。


もともと、地域によって水道料金にはかなり金額に差があるので、水道料金の免除にも差が出ているようですね。

④保育料が免除される


2019年10月から、幼児教育・保育の無償化がスタートしました。

保育施設の種類や子供の年齢によって、無償となる内容は異なりますが、完全な無償化ではありません。


生活保護世帯であれば、副食費等が免除されます。

免除内容も、年齢や施設によって変わる部分があるので、各保育施設や自治体の資料で確認が必要です。

⑤都営交通乗車券が無料交付される


東京都の場合、都内に住んでいる生活保護世帯には「都営交通乗車券」が東京都交通局から発行されます。

期間は1年で、1世帯1人までになります。

保護開始決定通知書を持って、自治体の窓口で発行を申し込みます。

更新に関しては、有効期間が切れる月の1日から手続きが可能です。


注意していただきたい点としては、JR・私鉄・東京メトロの各線や、都営以外のバスは、都内であっても利用できない点です。


更に詳細を知りたい方は、東京都交通局のホームページをご覧ください。

⑥ゴミ袋が配布される

ゴミ処理手数料の減免措置として、地方自治体が定める有料のゴミ袋が配布されます。

世帯の人数によって、配布される袋のサイズや枚数に違いがあるので、各自治体に確認してみてくださいね。

生活保護を受けているとお金を借りられる?

生活保護を受けたうえで、お金は借りられるのでしょうか?

以下2つのパターンをご紹介します。

  1. 金融機関ではお金を借りられない
  2. 社会福祉協議会からお金を借りられる
順番に解説していきます。

①金融機関ではお金を借りられない


前提として、生活保護を受けているということは、自分の持っている資産を全て使っても、生活に困窮している状態です。


金融機関は、貸付に対する審査が非常に厳しくなっています。

「生活保護を受けている=返済能力はない」と見なされるため、借入はまず不可能です。

ちなみに、貸金業法では、貸金業者に返済能力の審査が義務付けられています。

審査で返済能力がないと分かれば、貸付をしてはいけないと決められているためです。


「生活保護を受けている人にも融資を行う」という業者や組織を見かけるかもしれませんが、金利が20%等と極端に高いことが大多数でしょう。

こうした悪質な業者や組織に頼ってしまうと、取立や催促に日々追い詰められることが確実です。

精神的にも経済的にも、更に苦しくなってしまい、安定した生活に戻ることは不可能になってしまいます。


「目の前の暮らしが行き詰っている」「前借りはしたくない」とはいえ、このような業者からお金を借りるのは絶対にやめましょう。

まずは、ケースワーカーに相談してみてください。

②ケースワーカーの判断で社会福祉協議会からお金を借りられる


ケースワーカーに相談すれば、週ごとに生活保護費を振り込んでもらうことができる可能性があります。

しかし、先ほども述べたように、これは緊急援護金と言われるものです。
潤沢に蓄えられているお金ではありません。

基本的には、生活保護により支給されているお金の中で、やりくりする必要があります。
ケースワーカーがお金を貸すという判断をしてくれる保証もありません。

生活保護を受給している中では、最低限の生活をしていく中で、お金を稼げるようになる努力が不可欠です。

生活保護費を週ごとに振り込んでもらうことでお金管理ができる!

社会福祉協議会からお金を借りる場合、週ごとにお金が振り込まれることがあります。

一度にお金を貸してしまい、一気に使い切ってしまったということを防ぐためです。


繰り返しますが、社会福祉協議会に余分なお金はありません。

そのうえでお金を計画的、かつ最低限だけ支給するための仕組みとして

週ごとに振り込んでいることは覚えておかねばなりません。

まとめ:生活保護費が前借りできるかはケースワーカー次第


生活保護費の前借りについて、主に

  • 前借りの可否はケースワーカーによる
  • 生活保護を受けていて食費がない場合
  • 各扶助の内容
  • 税金等の減免・免除制度
  • 生活保護を受けたうえでとお金を借りたい場合
以上の内容を解説してきましたが、いかがだったでしょうか?

生活保護費の前借りが可能か否かは、ケースワーカーによるところが大きくなっています。
ただ、生活保護を受けている場合は、支給された金額内で生活を送る努力が必要になります。

「お金が足りないから」と安易にケースワーカーに頼って前借りしまっては、本当にお金が必要な時、前借りができなくなってしまいます。
日頃から計画的にお金を使わなければなりません。

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ぜひ参考にして、お金のやりくりに活かしていただければと思います。