この記事の目次
- ドラッグストア等で購入した市販薬は医療費控除の対象に含まれる?
- 治療目的に購入した市販薬は医療費控除の対象になる!
- 消費税や市販薬をポイント払いしたときはどうなる?
- 市販薬や処方薬以外に医療費控除の対象となるものは?
- ①通院のための交通費
- ②入院時の際の食事代
- 医療費控除よりセルフメディケーション税制の方がお得って本当?
- 医療費の控除額を比べて多いほうを利用しよう!
- セルフメディケーション税制対象の市販薬はマークが付いている
- セルフメディケーション税制を使用する際の3つの注意点
- 注意点①セルフメディケーション税制と医療費控除の併用はできない
- 注意点②処方薬はセルフメディケーション税制の対象外
- 注意点③市販薬のレシートを補完する必要がある
- 注意点④セルフメディケーション税制の控除限度額は8.8万円
- 注意点⑤健康のための取り組みを行っている必要がある
- 医療費控除やセルフメディケーション税制の申告方法は?
- 医療費控除やセルフメディケーション税制の必要書類を紹介!
- 申告期間や申告書類の書き方は?
- コラム:市販薬や処方薬はどっちが安い?
- まとめ:治療目的の市販薬は医療費控除の対象となる!
ドラッグストア等で購入した市販薬は医療費控除の対象に含まれる?
こんにちは。マネーキャリア編集部・FP大野翠です。
医療費控除というワードは、聞いたことがありますか?
一年間のうちにかかった医療費が高額になると、「医療費控除は使える?」と気になる人がほとんどではないでしょうか。
先日、こんな質問を受けました。
市販薬とは、街中のドラッグストアで誰でも購入できる薬のことです。
この購入の手軽さから、市販薬は医療費控除の対象とはならないと思う人が多いようです。
「市販薬でも、医療費控除の対象となるものがあります」
本記事では、市販薬の医療費控除について解説していきます。
これまで市販薬を控除対象外と思っていた人、そもそも医療費控除について知りたい人、
ポイントを押さえてわかりやすくまとめていきますので、是非最後までお読みください。
治療目的に購入した市販薬は医療費控除の対象になる!
治療目的で購入した市販薬は、医療費控除の対象になります。
治療目的の市販薬とみなされる一例は以下の通りです。
- 風邪薬
- 胃薬
- 下痢止め・整腸剤
- 頭痛薬など痛み止め
- 点眼薬
- 点鼻薬
- 絆創膏や包帯
- 健康増進のためのサプリメント
- 美容のためのビタミン剤
- 治療目的以外の漢方薬
- 栄養ドリンク
消費税や市販薬をポイント払いしたときはどうなる?
医療費控除の対象となる金額ですが、消費税も含んだ金額で計算します。
実際に支払った額が、そのまま控除対象になるイメージです。
では、ドラッグストアのポイントが貯まっている等で、現金ではなくポイントで支払った場合はどうなうのでしょうか。
国税庁ホームページ内「タックスアンサーNo1907・個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取り扱い」にも明記されています。
ポイント利用分は値引きとみなされるため、実際に手出しをした金額だけが医療費控除の計算に含まれるということです。
市販薬や処方薬以外に医療費控除の対象となるものは?
医療費控除の対象となるのは、市販薬や処方薬以外にも多くあります。
ここから、医療費控除の対象となる主なものを、項目ごとに解説していきます。
①通院のための交通費
通院や入院に際して、医療機関までの移動手段として利用した交通費は、医療費控除の対象です。
この場合、主にバスや電車などの公共の交通機関や、歩けないほど体調不良の時にタクシーを利用する場合が対象となります。
バスや電車などの公共交通機関の利用が、医療費控除の対象となる交通費の基本です。
タクシーは原則例外ですが、病状によっては認められることもあります。
交通費に関する注意点として、2つあります。
まず、通院や入院が必要な人が、自分で運転して病院に行った場合のガソリン代や駐車場代は含みません。高速代も同様です。
もうひとつの注意点として、バスや電車の利用に際しては領収書が発行されません。
この場合は、特に領収書がなくても、医療費控除を申請するときに実際にかかった交通費を、書類に記入(入力)すれば足ります。
もちろん、チャージタイプの交通系ICカードの利用履歴をプリントアウトできるのであれば、それらを活用しても構いません。
通院した日にちに、いくら交通費を使ったのか、覚書程度でもよいので記しておくとよいでしょう。
②入院時の際の食事代
入院時の食事代は、医療費控除の対象です。
入院中の食事代は、入院中に必要な入院費用として必要なものの一部とみなされ、医療費控除の対象です。
国税庁ホームページにも「入院患者の食事代」として記載があります。
ここで「あれ?」と思った人がいるかもしれません。
入院時の食事代は、医療費控除の対象にはなりますが、健康保険上の「高額療養費制度」の医療費として対象ではありません。
この部分を混同している人が多いようです。
補足ですが、入院中の食事代は、病院の規模や食事の内容にかかわらず、食事代は一律460円と決まっています。
医療費控除よりセルフメディケーション税制の方がお得って本当?
ここまでは、市販の薬を購入した場合に、医療費控除の制度を使えるかどうか、という内容につい解説してきました。
ここからは「セルフメディケーション税制」について解説していきます。
セルフメディケーション税制とは、医療費控除の制度のうちの特例です。
つまり、セルフメディケーション税制も医療費控除ということです。
この税制を利用できる要件について、詳しくは後述しますが、大まかなポイントだけ以下紹介します。
- 日ごろから健康増進のための取り組みを行っていること(健康診断や予防接種など)
- 通常の医療費控除と併用できない
- セルフメディケーション税制対象の医薬品だけが控除対象となる
医療費の控除額を比べて多いほうを利用しよう!
通常の医療費控除では、1月1日から12月31日までの1年間で、医療費総額が10万円を超えた部分を控除することができます。
セルフメディケーション税制では、対象となる医薬品の購入費が12,000円以上の部分を控除することができます。
これは、同一世帯の分を合算してよいので、家族全員分の総額を計算し、控除額が大きい方を医療費控除として申請しましょう。
セルフメディケーション税制対象の市販薬はマークが付いている
セルフメディケーション税制対象の医薬品には、必ずパッケージ表面の目立つところに共通のマークがしるされています。
この際の注意点ですが、同じシリーズの医薬品であっても、セルフメディケーション税制対象の医薬品と、そうではないものがあります。
たとえば、昔からある風邪薬で有名なパブロンですが、セルフメディケーション税制対象の医薬品になっていないものもあります。
パブロンエースproはセルフメディケーション税制対象ですが、パブロンゴールドAという商品は対象外です。大正製薬のホームページでは、写真付きで対象商品を紹介しています。
このように、対象商品かどうかはメーカーのホームページでも紹介されていますが、厚生労働省でも詳細な商品名を五十音順で紹介しています。
セルフメディケーション税制を使用する際の3つの注意点
セルフメディケーション税制を使用するためには、注意する点があります。
主な3つについて、以下で解説していきます。
注意点①セルフメディケーション税制と医療費控除の併用はできない
前述したとおり、セルフメディケーション税制は、従来の医療費控除のうちの特例として設置されています。
つまり、医療費控除とセルフメディケーション税制は同一の制度であるため、併用できません。
市販薬の購入は、医療費控除の対象にもなりますし、セルフメディケーション税制対象の医薬品であれば、セルフメディケーション税制の対象にもなります。
どちらを利用した方が良いかは、1年分の医療費を総額する年末に決めるとよいでしょう。
そのためには、普段からセルフメディケーション税制対象の医薬品を気にして購入し、レシートは保管しておくことが大切です。
注意点②処方薬はセルフメディケーション税制の対象外
病気やけがの治療のために医療機関を受診し、処方された薬に関してはセルフメディケーション税制の対象外です。
繰り返しになりますが、セルフメディケーション税制の対象商品の購入金額のみ対象となります。
処方薬に関しては、通常の医療費控除の対象となりますので注意しましょう。
注意点③市販薬のレシートを補完する必要がある
セルフメディケーション税制対象の医薬品を購入した際のレシートは、対象の医薬品であることがわかるように表示されています。
購入商品一覧の商品名の冒頭に、星印や※印など、何かわかりやすいマークが付けられています。
お店ごとに、レシートでの表記(マーク)は違いますが、他の商品とは違う表記をして、セルフメディケーション税制対象の医薬品であるとわかりやすく明記されています。
なぜここまで徹底してわかりやすくしているかというと、セルフメディケーション税制を使用するには、レシートを保管しておく必要があるからです。
通常の医療費控除でも、医療機関や調剤薬局から発行された領収書がその控えとなり、確定申告で必要です(電子申告などでは提出不要の場合もありますが、保管は必要です)
同様に、セルフメディケーション税制を使用する場合も、購入した控えとしてレシートの保管が必要です。
この場合の注意として、一般的な感熱紙タイプのレシートは、時間が経つと印字部分が見えなくなることがあります。
セルフメディケーション税制対象の医薬品を購入したレシートは、必ず印字面を内側にして二つ折りにし、直射日光の当たらないところで保管するようにしましょう。
注意点④セルフメディケーション税制の控除限度額は8.8万円
セルフメディケーション税制の控除限度額は、最大8.8万円までです。
たとえ多くの対象商品を購入しても、限度額の範囲内までしか控除対象にはならないということです。
なお、従来の医療費控除の限度額は200万円までです。
医療費控除は年間医療費の合計が10万円を超えなければ使用できません。
年間10万円を超える医療費とは、入院や、長期通院など、長く医療機関にかかっているということが推測されます。
入院や通院するリスクは誰にでもあるとはいえ、ほとんどの人が生涯のうちに医療費控除を使う頻度は低いものです。
一方、セルフメディケーション税制は、必要な医薬品を購入する際に、セルフメディケーション税制対象医薬品を選んで購入すればよいだけなので、通常の医療費控除よりか身近に使用できる制度であるといえます。
セルフメディケーション税制の控除限度額は8.8万円と、少なく感じるかもしれませんが、上手に活用すればとても便利な制度です。
注意点⑤健康のための取り組みを行っている必要がある
セルフメディケーション税制を使用するためには、日ごろから健康維持や増進のための取り組みを行っている必要があります。
具体的には、勤務先の健康診断を年に一度受けていることや、予防接種を受けていることなどが挙げられます。
国民健康保険に加入している自営業者では、勤務先の健康診断に代わり、国保の特定検診を受けていることでも対象となります。
医療費控除やセルフメディケーション税制の申告方法は?
医療費控除やセルフメディケーション税制を使用するためには、自身で申告をする必要があります。
個人事業主などで、事業所得に関しても毎年自身で確定申告をしている場合は、抵抗がないかもしれません。
しかし、会社員などの給与所得者の場合は、各種税務申告自体に慣れていないため、とても億劫に感じるかもしれません。
ここからは、医療費控除やセルフメディケーション税制の申告方法について解説していきます。
医療費控除やセルフメディケーション税制の必要書類を紹介!
医療費控除やセルフメディケーション税制は、自身で取りまとめをして申告をしなければ還付を受けることができません。
所得に関する税務申告と違って、控除や還付に関する申告(還付申告)に関しては義務ではありません。
そのことから「わずかな還付であれば、申告しなくてもよいかな」と考える人もいるかもしれません。
確かに還付金はわずかかもしれませんが、しっかり確定申告をすることで少しでもお得に活用しましょう。
医療費控除の際、確定申告に必要な書類は以下の通りです。
- 確定申告書
- 源泉徴収票
- 本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証など)
- 医療費控除の明細書
申告期間や申告書類の書き方は?
セルフメディケーション税制も含め、医療費控除に関して、必ずしも確定申告の期間中に行う必要はありません。
医療費控除の申請は、「還付申告」という申告方法にあたり、申告自体も任意です。
還付申告が可能なのは5年間というリミットがありますが、その期間内であれば、いつでも還付申告をすることができます。
医療費控除を申告する際、「医療費控除の明細書」または「セルフメディケーション税制の明細書」という書類に記入(入力)する必要があります。
この明細書の金額を、確定申告書の医療費控除欄に記入します。
つまり、まずはこのいずれかの明細書を作成しなければいけません。
明細書には、医療を受けた人の氏名、医療機関の名称、医療費の区分、などの記入欄が設けてあり、そこに該当する内容を記載していきます。
セルフメディケーション税制の場合も同様です。
記入後、すべての医療費の総額を割り出し、その総額を確定申告書の医療費控除欄に記載し、どちらも提出します。
コラム:市販薬や処方薬はどっちが安い?

市販薬と処方薬、どちらが安いかということは、よく聞かれる質問です。
処方薬は、医師が病気やケガの治療のために必要であると診断した場合に、処方箋を基に購入します。
処方箋に基づいて処方薬を購入する場合、医師の診断確定に基づいているため、健康保険証の負担割合に基づいて薬代を清算します。
現役世代では3割負担です。
一方、市販薬は、医療機関にはいかずに、自身で不調を判断しドラッグストアなどで購入するものです。
購入の根拠として、医師の診断確定がないため、健康保険証の自己負担額での購入には該当しません。
通常の買い物として、購入価格に表示されている通りの代金を支払う必要があります。
このように、単純に薬代だけで考えると、処方薬の方が安い場合がほとんどです。
しかし、医療機関にかかり、診断確定されるための検査費用なども発生するため、トータルの診療費も含めると、市販薬を購入するだけの方が安くなる場合もあります。
とはいえ、自己判断で市販薬を購入し服用してもなかなか治らず、結果的に医療機関を受診するようなことを考えると、最初から医療機関を受診する方が、完治までにかかる期間は短期化されるとも考えられます。
新型コロナウイルス感染拡大の影響から、医療機関の受診に関して躊躇する人も多いようです。
このような情勢から、いきなり医療機関に行くのではなく、まずは市販薬で様子を見ようと考える方も少なくないはずです。
しかし、早期発見・早期治療という観点から、体の不調が続く場合は無理をせずに医療機関を訪ねることをおすすめします。
まとめ:治療目的の市販薬は医療費控除の対象となる!
体の不調があり、その治療を目的として市販薬を購入する場合は、医療費控除の対象となります。
さらにその際、セルフメディケーション税制対象の医薬品を購入すれば、セルフメディケーション税制の対象にもなります。
しかし、医療費控除とセルフメディケーション税制は同一制度であることから、重複して使用することができません。
控除対象となる期間は1月1日から12月31日までの1年間ですので、年末近くなったときに、医療費の総額を計算してみて、自身にとってどちらなら適用されるか判断し、申告をしましょう。
なお、いずれの場合も領収書やレシートは保管が必要です。
このように、市販薬の購入は、少し工夫をしてみるだけで控除対象となります。
申告自体もあまり手間はかかりませんので、是非この制度を活用してください。
お役に立ちましたら幸いです。

