自由診療は医療費保険の対象になる?なぜ健康保険と医療費控除の対象が違うの?

自由診療は医療費保険の対象になる?なぜ健康保険と医療費控除の対象が違うの?
病院で自由診療を受けた場合の費用は医療費控除の対象となるのでしょうか。この記事では、自由診療の費用が医療費控除の対象となるかについて解説しています。医療費控除の対象となる意外なものや医療費控除を申告することで返ってくる金額についても説明します。
監修者「谷川 昌平」

監修者谷川 昌平ファイナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!

自由診療は医療費保険の対象になる?

こんにちは、マネーキャリア編集部です。


先日、60代男性からこんな質問をいただきました。


医療費を払いすぎているような気がして…

何とか取り戻す手段はありますか。


医療費は健康保険に入っているとはいえ、少なからず家計を圧迫するものです。


ましてや保険適用外の治療となると、莫大なお金がかかってしまいます。


今回は、そんな治療費を回収できる医療費控除という制度の解説を中心に、

  • 自由診療はどんなものが医療費控除の対象になる?
  • なぜ保険が適応されない自由診療の費用が医療費控除の対象となる?
  • 医療費控除の対象となる意外なもの3選!
  • 医療費控除を申告した場合の控除額はどのくらい? 
  • 医療費控除を申告したらいくら返ってくる?
  • 医療費控除以外に医療費を回収する方法とは?
について紹介していきます。

一部の自由診察の費用は医療費控除の対象となる!

自由診療とは、保険が適用されない(効かない)診療のことです。

この自由診療は、政府から認可されていない治療のことで、保険適用外ということもあり、高額な治療費が請求されてしまいます。

さらに、もしその自由診療を受けたとしても、改善が見られない場合、もしくはもっと悪化した場合に、より大きな病院に転院したとしても、それ以降は保険適用外になります。

つまり、一度自由診療を受けると、それがもととなる治療に関しては、一切の保険が適用されないのです。

そんなにお金がかかってしまうなら、自由診療はなるべく受けたくないと思う方もしれません。

そういった方は、医療費控除という制度を利用してみるのがおすすめです。

医療費控除とは、払いすぎた医療費を利用して、節税できる方法です。

基本的には、保険診療で払った医療費が対象となっています。

ただ、そのほかにも、一部の保険適用外の治療、つまり一部の自由診療も含まれます。

例えば、

  • 妊婦健診・出産費
  • 治療を目的としたマッサージ・鍼・灸の施術
  • レーシック手術代
  • インプラント治療費
  • 歯科矯正費
があります。

特に、出産費に関しては、保険金を得ることができず、会社の出産手当金でしか手当てを受けられないので、医療費控除できると嬉しいですよね。

それ以外の治療費も、保険適用外ということで、手を出しにくいと思われがちなものです。

節税につながるのであればそこまで気負わずに自由治療を受けられるのではないでしょうか。

なぜ保険が適応されない自由診療の費用が医療費控除の対象となる?



ではなぜ保険適用外の自由診療が医療費控除の対象となるのでしょうか。


その理由について、

  1. 公的医療保険制度の考え方
  2. 公的医療保険制度と医療費控除制度の考え方の違いからわかる、自由診療が医療費控除できる理由
の2点から明らかにします。

①公的医療保険制度の考え方

公的医療保険制度とは、健康保険に入っている場合に、医療費の一部を負担してくれる制度です。


負担額の割合は、被保険者の年齢によって変わります。


6歳(義務教育就学後)~69歳以下は3割、70歳~74歳以下は2割、未就学児の場合は2割負担となっています。


一部例外もありますが、だいたいはこの割合になっています。


政府や自治体、企業などが負担するケースが多いため、認可された治療法・薬の利用に限定しています。

②医療費控除制度の考え方

医療費控除制度について詳しく説明すると、一年間の間に支払いすぎた医療費(一般的に10万円以上)がある場合に、所得控除(最高200万円)を受けられる制度のことです。


保険診療と一部の自由診療の医療費が対象となっています。


保険診療はもちろんですが、なぜ自由診療も含まれているのでしょうか。


その理由は、医療費控除という制度自体が、保険の適用の有無に関係なく、診療治療の対価を対象としているためです。


このことから、

  • 公的医療保険制度は、国民に認可された安心の治療法を選ばせる考え方からできている
  • 医療費控除制度は、単純に診療や治療の負担を軽くする考え方からきている
ということが結論付けられます。

そのため、自由診療であっても、医療費控除制度を利用できるんですね。

医療費控除の対象となる意外なもの3選!



ここまでは、自由診療に限定して、医療費控除の仕組みについてお伝えしてきました。


ここからは、自由診療以外にも、医療費控除の対象となるものについて

  1. 生計を一にしている親族の医療費
  2. 病院に行くための交通費
  3. オンライン診療の費用
などのような、意外なものにも対象を絞って紹介していきたいと思います。

①生計を一にしている親族の医療費

国税庁の公式サイトによると、生計を一にしている親族の医療費も、医療費控除の対象となることをが確認できます。


ここでいう生計を一にするとは、必ずしも同じ住居に住んでいることを前提としたものではありません


例えば、

  1. 普段は一緒にいなくても、余暇の期間には、同じ住居に住んでいる場合
  2. 常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合
これらの場合には、医療費控除が適用されるようです。

特に1に関しては、社会人の単身赴任や学生の下宿など、一見適用外に思われてしまう事案ですので、注意が必要です。

②病院に行くための交通費

国税庁の公式サイトによれば、医師等による診療等を受けるための通院費も医療費控除の対象となっていることが確認できます。


ただし、自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金等は含まれないようです。

あくまで公共交通機関を利用した場合にのみ、適用されるようです。

なお、患者が一人で通院困難と認められた場合は、付き添いの人の通院費も同じく医療費控除の対象となるようです。

③オンライン診療の費用

国税庁の公式サイトによると、コロナの影響で導入が進められているオンライン診療も、医療費控除の対象になることが確認できます。


さらに、オンライン診療を利用するための、システム利用料や医薬品の購入費も、医療費控除の対象となることが定められています。


ただ、その対象に医薬品の配送料は含まれていないようです。


あくまで、診療に限定して、医療費控除がなされるということを覚えておくとよいでしょう。

医療費控除を申告した場合の控除額はどのくらい?



医療費控除額は、計算によって算出することができます。

(支払った医療費の合計ー保険金等で補充される金額)ー10万円または総所得の5%どちらか少ない金額=医療費控除額

少し補足しておくと、「10万円または総所得の5%どちらか少ない金額」と2パターンがあるのは、所得の低い人を優遇するためです。


具体的には、総所得が200万未満の人は5%の方で、それ以外の方は10万円と覚えておくとよいでしょう。


ただ、この計算式では複雑でわかりにくいと思うので、ここで簡単なシュミレーションをしてみたいと思います。

  • 年収(総所得金額)700万円の世帯
  • 交通事故で骨折
  • 入院期間は約1か月
  • 保険金は15万円
  • 所得税率20%
まず、この人の場合、総所得が700万円なので、10万円引くことになります。

よって、

60万円(医療費の合計)ー15万円(保険金などで補填される金額)ー10万円=35万円

以上より、35万円が医療費控除額となります。

医療費控除を申告したらいくら返ってくる?



残念なことに医療費控除額は、実際に返ってくる金額とは異なります。


返ってくる金額は以下の式で求められます。

医療費控除額×所得税率=実際に帰ってくる金額

所得税率に関しては、以下の表より参照できます。


課税所得額(円)所得税率 控除額
195万円未満5%0円
195万~330万10%97,500円
330万~695万20%427,500円
695万~900万23%636,000円
900万~1,800万33%1536,000円
1,800万~4,000万40%2796,000円
4,000万~45%4796,000円


以上に示したものを、先ほどのケースと同様にシミュレーションします。

  • 年収(総所得金額)700万円の世帯
  • 交通事故で骨折
  • 入院期間は約1か月
  • 保険金は15万円
  • 所得税率20%
年収が700万円で、所得税率が20%という設定です。

なお、先ほどの計算から、医療費控除額は35万円ということが分かっています。

よって

35万円(医療費控除額)×20%(所得税率)=7万円

以上より、実際に帰ってくる金額は7万円ということが分かりました。

医療費控除ではなくセルフメディケーション税制を利用する方法もある



セルフメディケーション税制とは、平成29年以降に施行された税制です。


利用条件は厳しくなっていますが、同じ金額であれば、医療費控除より安くなるので、検討してみてはいかがでしょうか。


複雑な税制ですので、ステップに分けて紹介します。


  • 平成29年1月1日以後に、特定一般用医薬品等を購入した場合
まず、対象となるのは、この税制が施行されてからのものでなくてはなりません。

さらに、対象物は、特定一般用薬品などとされており、簡単に言うと、政府が控除のために指定した薬品が対象となっています。

商品のパッケージに、税や控除対象とマークされているので、分かりやすくなっています。

  • 購入時のレシートを保存している
さらに、その指定薬品を購入したレシートをずっと保存していなければなりません。

その理由は、控除の金額を証明するためです。

レシートがなければ証明できないので、控除を受けられなくなってしまいます。

失くさないように大切に保管しておきましょう。

なお、レシートをなくした場合、店によっては再発行が可能ですので、一度確認してみる手もあります。

  • 一年間で購入額が世帯の合計1万2千円を超える場合に限る
このレシートを合算して、世帯の合計1万2千円を超える場合に、ようやく申告できるようになります。

重要なのが、「世帯」となっているところです。

セルフメディケーション税制は、医療費控除制度と同じように、生計を一にしている親族が対象となっています。

つまり、ここでいう世帯とは、必ずしも同じ住居に住んでいなくてもいいということです。

なるべく大きな控除を受けるためには、遠く離れた親族であっても、レシートを集めることも必要です。

  • 予防接種や健康診断の受診など健康のための一定の取組を行う
それらの努力をしたうえで、さらに健康のための一定の取組が必要となります。

例えば、予防接種や健康診断の受診などで、受診だけでなくその領収書・結果通知書も必要となります。

レシートと同じく失くさないよう大切に保管しておきましょう。

  • 医療費控除かどちらか一方しか利用できない
残念なことに、セルフメディケーション税制医療費控除は同時に申告できません

どちらか一方だけを申告しましょう。

  • 紙もしくは電子で申告する
これまでの手順を達成できている場合、確定申告の時期に申告しましょう。

紙で申告する場合は、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」や税務署等で入手できる申告書を作成し、税務署に提出してください。

電子で申告する場合は、「確定申告書等作成コーナー」から「e-Tax」を利用して確定申告ができます。

なお、電子の場合は、スマホからでも申告できますので、お手軽に申告できます。

その結果、所得控除(最高8万8千円)できるようになります。

まとめ:自由診療のときも医療費控除の対象になる可能性はある!

ここまでは、自由診療が医療費控除の対象になるかどうかを中心として見てきました。


この記事のポイントは、

  • 一部の自由診察の費用は医療費控除の対象となる
  • 医療費控除は、単純に治療や診療を目的としているので、一部の自由診療費も対象となる
  • 医療費控除は、治療や診療が目的であれば、交通費やオンライン診療も対象となる
  • 医療費控除を申告した場合の控除額は最大200万円
  • 医療費控除を申告した場合に実際に帰ってくる金額はそこまで多くない
  • 医療費控除ではなくセルフメディケーション税制を利用する方法もある 
でした。

医療費控除は複雑でややこしい存在です。

自分一人で悩まずにほかの人に聞いてみるとスッキリできることでしょう。

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