この記事の目次
- 医療費控除の確定申告で控除額の上限はいくら?
- 医療費控除の確定申告で控除額の上限は200万円!
- セルフメディケーション税制の控除額の上限は8.8万円
- 医療費控除の控除額と還付金の計算は間違いやすい!
- ①総所得金額が200万円以上の人
- ②総所得控除が200万円未満の人
- ③セルフメディケーション税制を利用した人
- 医療費控除で申告する控除額は夫婦や家族で合算できる!
- 支払った医療費から給付された保険金を差し引く際の注意点
- ①給付対象外の医療費から保険金の給付額を差し引く必要はない
- ②給付される保険金が未確定のときは給付見込み額を申告する
- 医療費控除の対象を確認しよう!
- ①医療費控除の対象となる医療費
- ②医療費控除の対象とならない医療費
- 参考:高度療養費とは?医療費控除との違いを解説!
- まとめ:医療費控除の上限は200万円
医療費控除の確定申告で控除額の上限はいくら?

こんにちは、マネーキャリア編集部です。
先日、ある読者からこんな質問がありました。
「この間、夫が手術をして、結構治療費がかかったんです。医療費控除という制度があって、申告すればいくらか戻ってくるって聞いたのですが、申請の仕方やいくら戻ってくるのか知りたいです。また医療費はいくらまでなら申請できるのか、その限度額も知りたいのですが……」
厚生労働省の統計によると、2018年度の国民一人当たりの医療費の額は約34万円と言われています。
医療費控除の申告は、一般的に医療費の合計額が10万円以上の方から可能ですので、多くの方が該当する可能性があります。
しかし、医療費控除の申告について知らない方も多いのではないでしょうか。
「医療費控除の上限、控除額・還付額の計算方法を知りたい!」
というのが、医療費控除の申告を考えている人誰もが、抱えている疑問ではないかと思います。
そこで今回は、まず医療費控除の申告の際の上限、そして控除額と還付金の計算方法、保険金を給付された場合の取り扱い方、医療費はどこまで合算できるのか、また医療費控除の対象となる医療費とならない医療費の違いについて詳しく解説していきます。
さらに、医療費控除とは別の控除制度であるセルフメディケーション税制や医療費が高額になったときの高額療養費制度についても解説します。
この記事を読めば、医療費控除の上限や仕組みが分かり、自身の医療費の上限や控除額、還付金の額を知ることができるようになります。
またどの税制・医療制度が自分に適しているのかが分かります。
ぜひ、最後までお読みください。
医療費控除の確定申告で控除額の上限は200万円!

医療費控除とは、1年間で支払った医療費の合計が一定の金額を超えたときに、その医療費を基に計算した金額分の「所得控除」を受けることができる制度です。
所得控除とは、税金を計算するときの基準となる「課税所得」に含めなくてよい、という仕組みです。
所得が200万円以上の方は医療費が10万円を、所得が200万円未満の方は所得の5%を超えた場合、確定申告することができます。
また、いずれの場合も、控除額の上限は200万円と定められています。
セルフメディケーション税制の控除額の上限は8.8万円

医療費控除とは別に、セルフメディケーション税制という制度があります。
これは、健康の維持増進および疾病の予防への取組として市販の医薬品を購入した際、費用について控除を受けられる制度です。
医療費控除よりも適用される人は多く、その条件は以下の通りになります。
- 定期健康診断、予防接種などを受けている人
- 対象となる医薬品(スイッチOTC医薬品)を、家族の購入分を含めて年間の購入額が12,000円を超えている人
この場合の上限は、8万8千円になります。また、保険金などで補てんされる部分を除きます。
医療費控除の控除額と還付金の計算は間違いやすい!

控除額と還付金を求める計算式は、それぞれ下記のようになります。
控除額=その年の総医療費-10万円(または総所得額の5%)
還付金=医療費控除額×所得税率
- 医療費控除額を計算する
- 課税所得をもとに所得税率を確認する。
- 医療費控除額×所得税率の計算式で、還付金額を求める
課税所得=(年間の給与等の収入-給与所得控除額)-各種所得控除額
- 2013年から復興特別所得税が加算されるので、実際は上記還付額と異なる場合があります。
- 医療費控除(所得控除の一つに含まれる)が加わることで、課税所得が少なくなり、実際は上記還付額と異なる場合があります。
- 住宅ローン控除を受けている方は、還付金が全額返還されない場合もあるので注意してください。
①総所得金額が200万円以上の人
医療費控除の申請を行う場合、総所得金額が200万円以上の方の控除額の計算式は下記の通りです。控除額の上限は200万円となります。
(1年間で支払った医療費の合計金額-保険金などで補てんされた金額)-10万円=控除額
また、還付金の額を求める計算式は、上述したように下記の通りです。
医療費控除額×所得税率=還付金額
②総所得控除が200万円未満の人
総所得金額が200万円未満の方の控除額の計算式は、次のようになります。控除額の上限は、総所得額200万円以上の方と同じく200万円です。
(1年間で支払った医療費の合計金額-保険金などで補てんされた金額)-(総所得額×5%)=控除額
還付金の額を求める計算式は、同じく下記の通りです。
医療費控除額×所得税率=還付金額
③セルフメディケーション税制を利用した人
この場合、控除額の計算式は次のようになります。上限は8万8千円です。
(対象となる医薬品等購入費の合計-保険金などで補てんされた金額)-12,000円=控除額
なお対象となる医薬品(スイッチOTC医薬品)については、商品パッケージに共通識別マークが表示されています。購入する際に必ず確認しましょう。ただし、この特例の適用を受ける場合は、従来の医療費控除を受けることはできません。なお、その年の分として健康の保持増進および疾病の予防への「一定の取組」を行ったことを明らかにする書類が必要です。
医療費控除で申告する控除額は夫婦や家族で合算できる!

医療費控除の控除額を計算する際、1年間でかかった医療費は、配偶者やその他の家族の分も合算することができます。
ただし、「納税者が、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族であること」が対象者の要件になります。そして、「配偶者やその他の親族のために支払った医療費」の合計額を医療費控除に使うことができます。
「生計を一にする」という意味は、分かりやすく言うと「日常のお金を共にしている」ことです。
その場合、扶養関係や同居してしているかどうか、が問われることはありません。
該当する方は、もう一度医療費控除額を見直してみることをおすすめします。
支払った医療費から給付された保険金を差し引く際の注意点

国税庁によれば、医療費控除の控除額を計算する際、1年間で支払った医療費の合計金額から、保険金などで補てんされた金額を差し引くことが規定されています。
ただここで注意していただきたいのは、かかった医療費全額から保険金で補てんされた金額を差し引くのではないということです。
あくまで、その保険金が該当する治療にかかった医療費から差し引くことになります。
以下、詳しく解説していきます。
①給付対象外の医療費から保険金の給付額を差し引く必要はない
国税庁では医療費から差し引く保険金について次のように言っています。
「保険などで補てんされる金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きますので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きません」
つまり、保険金給付の対象となった治療の医療費からのみ差し引けばいいことになります。なお差し引いた金額がマイナスの場合、その医療費はゼロであって、決して足りない分を他の医療費から差し引く必要はありません。
②給付される保険金が未確定のときは給付見込み額を申告する
医療費を補てんする保険金等の額が、確定申告書を提出する時までに確定していない場合もあるでしょう。
そんなときは、補てんされる保険金等の見込み額に基づいて計算すればよいことになっています。
なお、後日、補てんされる保険金等の確定額と当初の見込み額とが異なる場合には、修正申告または更正の請求の手続きにより訂正してください。
医療費控除の対象を確認しよう!

医療費控除の対象となる医療費に注意しましょう。中には「こんなものが対象になるの?」と思うものやその逆の場合もあります。
原則として、治療目的に使われる医療費は対象となりますが、治療目的以外の医療費は対象となりません。
たとえば、通院のために使った公共機関の交通費や、薬局の市販薬の購入費は対象となる医療費に含まれます。しかし逆に、同じ交通費でもタクシーや自家用車での通院費や、薬局で購入したビタミン剤やサプリメントの費用は対象に含まれません。
間違えないように気をつけてください。以下に、それぞれ例となるものをあげておきます。
①医療費控除の対象となる医療費
対象になる医療費は、病気やケガの治療、分娩などを直接の目的とした費用です。
以下にその例をあげておきます。
- 病院での診療費/治療費/入院費
- 医師の処方箋をもとに購入した医薬品の費用
- 治療に必要な松葉杖など、医療器具の購入費用
- 通院に必要な交通費
- 歯の治療費(保険適用外の費用を含む)
- 子供の歯列矯正費用
- 治療のためのリハビリ/マッサージ費用
- 出産費用/不妊治療
- 薬局で購入した市販薬費用
- 介護保険の対象となる介護費用
②医療費控除の対象とならない医療費
治療目的以外の医療費は、医療費控除の対象となりません。
以下のようなものがあげられます。
- 人間ドックなど健康診断の費用(病気が発見され治療をした場合は対象になる)
- 予防注射の費用
- 美容整形の施術費用
- 美容のための歯列矯正費用
- ビタミン剤やサプリメントの費用
- 自家用車による通院のガソリン代や駐車料金
- 里帰り出産のための実家への交通費
- 自分の都合で利用した差額ベッド代
参考:高度療養費とは?医療費控除との違いを解説!

高額療養費制度とは、1ヶ月(1日~末日まで)の医療費の自己負担額が上限を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。上限額は、本人の収入によって決められています。
高額療養費制度を利用する場合は、次の4つに注意する必要があります。
- 高額療養費は、世帯合算が可能である
- 12ヶ月以内に3回以上高額療養費を利用した場合は、多数回該当が適用される
- 公的医療保険が適用されないものは、対象外である。
- 高額医療費制度を利用する場合は、事前に「限度額適応認定証」を交付してもらう。
以上について、それぞれ解説していきます。
- 1つの医療機関での自己負担額が上限を超えなかったとしても、同じ公的医療保険に加入している同じ世帯の人が支払った自己負担額を合算して上限を超えるなら、高額療養費制度の適用となる。
- 過去12ヶ月以内に3回以上高額療養費制度を利用した場合、4回目以降の自己負担上限額がさらに引き下げられる。
- 高額療養費の対象となるのは、公的医療保険の対象である治療の費用に限られる。特に不妊治療や抗がん剤治療など、同じ治療でも公的医療保険の対象となる場合とならない場合があることに注意する。
また、国から認定された先進医療は数100万円ほどの技術料を、全額自己負担しなければならない可能性もある。
- 高額療養費制度では申請から3〜4か月後に払い戻しされるため、一時的とはいえ、立て替えて支払った高額な医療費が経済的に大きな負担となる場合がある。そのため事前に 「限度額適用認定証」を交付されていれば、受診する際に窓口で保険証と一緒に提示すると、そのときの医療費が高額になった場合でも、医療費の支払金額が自己負担限度額までになる。
まとめ:医療費控除の上限は200万円

いかがでしたか?
この記事では、
- 医療費控除の上限は、200万円である。
- セルフメディケーション税制について、その上限は8万8千円である。
- 控除額=還付額ではない。
- 控除額を求める計算式、総所得金額200万円以上の方と200万円未満の方の違い。
- 還付額を求める計算式、その導き出し方。
- 控除額が合算できる場合。
- 保険給付金の取り扱い、および金額が未確定の場合。
- 医療費控除の対象になる医療費とならない医療費の種類。
- 高額療養費制度について
以上を解説してきました。
医療費控除の上限は200万円であると知ることができたでしょう。
この記事を読んで、医療費控除の申請について、以前よりは詳しくなられたのではないかと思います。
またご自分が、どの税制、どの医療制度を利用すればよいかお分かりいただけたと思います。
医療費控除の控除額や還付金額の計算は一見難しそうですが、仕組みを理解してしまえば案外スムーズにいくものではないでしょうか。
ぜひこれを機会にご自身の医療費控除額・還付金について見直し、節税・節約につなげてください。
なお税に関する詳しい相談は、
- 国税庁 電話相談窓口
- 国税庁 チャットボット(ふたば)
が受け付けています。
どうしても分からないことがございましたら、ご利用をおすすめします。

