この記事の目次
- 医療費控除は家族分をまとめて申告できる?
- 医療費控除は生計を一にしている家族分をまとめて申告できる
- ①別居している家族分も生計を一にしているなら合算できる
- ②扶養外の家族分も生計を一にしていれば合算できる
- ③保険証が異なる家族分も生計を一にしていれば合算できる
- 医療費控除を家族分まとめて申告したときの還付金はいくら?
- 医療費控除を家族分まとめて申告する際の注意点
- ①総所得金額が1番高い人が申告すると得する
- ②支払った医療費から10万円を差し引いた額が控除額になる
- ③医療費控除の明細書にはその治療の対象者を記入する
- 医療費控除を家族分まとめて申告する方法を紹介!
- ①スマホやパソコンで医療費控除の確定申告をする
- ②必要書類を所轄税務署に郵送する
- 医療費が10万円未満ならセルフメディケーション税制を利用する
- まとめ:医療費控除は家族分まとめて申告できる
医療費控除は家族分をまとめて申告できる?

こんにちは、マネーキャリア編集部です。
などと疑問に思った人はいませんか? 1人1人の医療費は少額でも、家族分合わせれば医療費控除の対象になりそう…。
しかし、別居していたり、お互い収入があった場合、確定申告をしていいものか悩みますよね?
今回はそんなあなたのために
- 医療費控除の申告は家族分まとめて行う事ができるか
- どんな状況であれば家族分まとめる事ができるのか
- まとめて申告する方法と注意点
についてお話していきます。 少しでも多くの還付金を受けとるお手伝いになれば幸いです。
医療費控除は生計を一にしている家族分をまとめて申告できる
「所得税法 第73条 医療費控除」によると、医療費控除の申告時にまとめて計算して良いのは、自己と生計を一にする配偶者その他の親族と定められています。
「生計を一(いつ)にする」とは、一体どういうことでしょう?
同居していればOK?世帯は?共働きの場合は?
「その他の親族」というのも、よくよく考えてみると曖昧に思えてきませんか?
まずは、医療費控除の申告の範囲(対象人物)について理解を深めていきましょう。
①別居している家族分も生計を一にしているなら合算できる
「生計を一(いつ)にする」とは、日常生活に必要なお金を同じ家計から出しているかを示します。
したがって、同居か別居かという所はそれほど重要なポイントではありません。
「生計を一にする」の判断は下記の通りです。
| 事例 | 医療費控除 |
|---|---|
| 単身赴任で別居中 | 〇 |
| 進学のために子供が親元を離れている | 〇 |
| 共働き夫妻 | 〇 |
| 里帰り中の娘がいる | × |
| 事実婚の夫妻 | × |
里帰り出産とは、妊娠中の女性が出産のために実家(故郷)に帰って出産・育児をする事を示します。
もともと同居している家族と違い、一時的に生計を共にしているだけなので、医療費控除の対象外となります。
寝食を共にしていても、入籍をしていない(事実婚の)夫婦の場合は残念ながら「生計を一にする配偶者」として認められていないので注意しましょう。
②扶養外の家族分も生計を一にしていれば合算できる
「生計を一(いつ)」にしていれば、扶養家族である必要はありません。
そもそも扶養家族(扶養親族)とは何なのでしょうか?
税法上の扶養家族の定義は下記の通りです。
- 生計を一(いつ)にしている
- 年間所得の合計金額が48万円以下(給料収入のみの場合は額面が103万円以下)
- 6親等内の血族、3親等以内の姻族(いんぞく)
ここに出てくる「血族」とは、法律上(戸籍上)つながりのある人の事を指します。
生物学的に血のつながりがあるかは関係なく、養子なども扶養家族の対象です。
また、「姻族(いんぞく)」とは、結婚した相手の血族のことで、夫や妻の両親などを示します。
よく耳にする親等(しんとう)は、親戚との関係を表す単位のことです。
| 親等 | 関係 |
|---|---|
| 1親等 | お父さん・お母さん、子供 |
| 2親等 | おじいさん・おばあさん、孫 |
| 3親等 | 伯父(叔父)・伯母(叔母)、ひ孫、ひい爺さん・ひい婆さん |
上記のように、自分を基準に考え、世代がひとつ上がるごとに親等が増えていきます。
医療費控除の申告をする際、対象となる人の範囲(血のつながり)は税法上の扶養家族と同じ考え方ですが、相手の収入は関係ないので覚えておきましょう。
③保険証が異なる家族分も生計を一にしていれば合算できる
健康保険上の扶養家族は、税法上のものと少し対象が違うので注意しましょう。
健康保険上の扶養家族の定義は下記の通りです。
- 直系尊属、配偶者、子供、孫、兄弟姉妹で被保険者に生計を維持されている人
- 被保険者の3親等以内の親族
- 事実婚関係にある配偶者とその父母ならびに子供
※直系尊属…家系図で見て、自分と同じ縦ラインにいる人を指します。
ここで気をつけたいのが、事実婚でも健康保険上の扶養家族に入れる(同じ医療保険にはいることができる)ということです。
先にお伝えした通り事実婚の場合、医療費控除の申告にかかる「生計を一にする配偶者」として認められません。
したがって、同じ保険者の保険証を持っていても、法的に婚姻関係になければ医療費控除の申告はできないので注意しましょう。
医療費控除を家族分まとめて申告したときの還付金はいくら?
「生計を一(いち)にする親族」の範囲は分かりましたか?
分かった人は、さっそく医療費控除の計算をしてみましょう!
(わからなかった人、自分と家族の関係が複雑な人は税務署に問い合わせると良いでしょう)
還付金額を導き出す計算式は「1人分を申告する場合」でも「家族分まとめて申告する場合」でも変わりません。
- [医療費控除額]=[1年の間で支払った医療費]ー[保険金など]ー10万円
- 自分の「課税所得金額」に対応する「所得税率」を確認する
- [医療費控除額]×[所得税率]=[還付金額]
※上記は所得金額が200万円以上の人の場合の計算式です。
年間所得が200万円未満の場合は[1年の間で支払った医療費]ー[保険金など]ー(所得金額×5%)で医療費控除額を計算します。
所得税率とは「あなたが納めるべき所得税額」を決める際に使うもので、課税所得金額によって税率が振り分けられています。
課税所得金額は「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を引くと求める事ができ、出てきた金額に応じた所得税率を下記より探し、計算することで戻ってくるお金がいくらか分かります。
「給与所得控除後の金額」や「所得控除額の合計額」などは源泉徴収票に記載されているので、探してみましょう!
ちなみに、自営業など、源泉徴収が発行されない人は「収入」ー(「必要経費」+「各種控除額」)が課税所得金額になります。
必要経費については国税庁「No.2210 やさしい必要経費の知識」などを参考にして、計算すると良いでしょう。
| 課税所得金額 | 所得税率 |
|---|---|
| 195万円未満 | 5% |
| 195万~329.9万円 | 10% |
| 330万~694.9万円 | 20% |
| 695万~899.9万円 | 23% |
| 900万~1,799.9万円 | 33% |
| 1,800万~3,999.9万円 | 40% |
| 4,000万円以上 | 45% |
所得税率、課税所得金額、所得控除…。
聞きなれない言葉が多く、挫折してしまいそうですが、ひとつひとつ計算していけば還付金額が導き出せるので、諦めずに頑張りましょう!
特に、後程紹介するe-Taxという方法での確定申告なら、必要項目を順番に入力するだけで、面倒な計算を省略することが可能なのでおすすめです。
医療費控除を家族分まとめて申告する際の注意点
- 申告は誰が行うと良いか
- 医療費控除額はどのように求めるか
- 明細書の記入方法
①総所得金額が1番高い人が申告すると得する
医療費控除の申告は、家族・親族の中で最も所得が高い人が行いましょう。
還付金額は「医療費控額」×「所得税率」によって求めることが可能です。
所得税率は所得が高ければ高い程上がり、それに伴い還付金額も上昇します。
医療費は変わらないのに高所得者で申告した方がお金が多く戻ってくるということです。
具体的な例を使って確認してみましょう。
例)Aファミリーの場合
- 家族構成:夫(会社員)、妻(パート)
- 夫の課税所得…600万円
- 妻の課税所得…250万円
- 医療費…60万円
- 保険金など…45万円
医療費が60万円、保険金が45万円なので、医療費控除額は5万円となります。
夫が確定申告をした場合の還付金額は
「医療費控除額」5万円×「所得税率」20%(0.2)=10,000円
妻が確定申告をした場合の還付金額は
「医療費控除額」5万円×「所得税率」10%(0.1)=5,000円
医療費控除額は同じなのに、最後に掛け合わせる数字が変わるだけで、こんなにも結果に差が出るなんて驚きですね!
昨今は夫婦それぞれがお金の管理をしている家庭も多いでしょう。
しかし、細かい内訳までは報告しなくとも、せめてお互いの年収は把握しておくことも必要かもしれませんね!
②支払った医療費から10万円を差し引いた額が控除額になる
1月1日から12月31日の間に支払った医療費が高額になった場合、確定申告をすることで医療費控除が受けられます。
では、具体的に高額とはいくらを言うのでしょうか?
1万円?2万円?それとも5万円?答えは10万円です。
医療費控除額の求め方 [医療費控除額]=[医療費]ー[保険金など]ー10万円
医療費控除を受けることができるのは、実際に支払った額なので、高額療養費や入院給付などによって補助を受けた分は除外しなければなりません。
そこから更に10万円を引くこととされているので、忘れないようにしましょう。
また、年間所得が200万円を下回る人の場合、マイナスするのは10万円ではなく「所得金額×5%(0.05)」なので、覚えておきましょう。
先ほど「所得が多い人が申告した方が得」とお話しましたが、ご家族の中に所得が200万円より少ない人がいた場合、そもそも医療費控除を求める計算式が変わってきてしまいます。
それぞれの医療費控除額を計算し、より還付金がもらえる人で手続きを行うようにしましょう。
③医療費控除の明細書にはその治療の対象者を記入する
- 治療を受けた人の名前
- 支払い先
- 医療費の区分
- 支払った医療費の額
- 給付金などの額
| 氏名 | 支払先 | 医療費 |
|---|---|---|
| 夫 | A病院 | 5,000円 |
| 妻 | B歯科 | 200,000円 |
| 子供 | A病院 | 3,500円 |
| 子供 | 通院費 | 2,000円 |
※緊急時や病状的に必要とみなされた以外のタクシー代は対象外
※飛行機や新幹線は医師が必要と認めたもの以外対象外
医療費控除を家族分まとめて申告する方法を紹介!
医療費控除を家族分まとめて申告する方法は、大きく分けて2つあります。
- 「スマホ」や「パソコン」でのオンライン申告をする
- 「手書き」で書類を作成し郵送or持込みをする
それぞれのメリットやデメリット、大まかな手順について紹介していくので、確定申告時の参考にしてくださいね!
①スマホやパソコンで医療費控除の確定申告をする
- 「スマホ」や「パソコン」で手軽に作業ができる
- 計算ミスや記入漏れを防げる
- 書類郵送の手間が省ける
- 比較的早く還付を受けられる
- 「マイナンバーカードの取得」などの事前準備が必要
- 国税庁「確定申告書等作成コーナー」にアクセス
- 「作成開始」をタップ
- 申告内容に関する質問に答える
- 提出方法を選択→マイナンバーまたはID・パスワードを使用してログイン
- 収入、控除、氏名などの情報を入力 申告データを送信
②必要書類を所轄税務署に郵送する
大切な書類は手書きが良い、マイナンバーカード等の準備ができないという人は、手書きで書類作成をしましょう。
メリット
- 「マイナンバーカード」等の準備が必要ない
- 記入漏れ・計算間違いをおこしやすい
- 書類の郵送料金がかかる
- 必要書類の準備
- 申告書へ記入
- 書類送付
医療費が10万円未満ならセルフメディケーション税制を利用する
一般的に医療費が10万円を超えていないと、確定申告はできないとされています。
しかし「10万円に届かなかった…」と悔しがっている人に朗報です。
その医療費、もしかしたらセルフメディケーション税制で還付金をもらえるかもしれません!
「セルフメディケーション税制」とは、下記の条件を満たした場合に受けられる所得控除制度です。
- 健康診断や予防接種など、健康を維持するための活動を行っている
- 薬局などで買える市販薬の代金が1年間で12,000円を超えた
※健康を維持するための活動…「特定健康診査」「予防接種」「健康診断」「がん検診」。
※薬局などで買える市販薬…厚生労働省によって定められたもののみ対象
平成29年1月1日の薬代から適用されているにも関わらず、まだまだ認知度の低い制度なので、知らなかったという人はぜひ利用してみてください。
対象薬剤は以下の一覧もしくは、商品に記載されている認識マークを確認しましょう。
「セルフメディケーション税制」を利用した医療費控除額は
[医療費控除額]=[1年間の薬代の合計金額]ー[保険金などで補てんされる金額]ー12,000円
で求めることができます。
「セルフメディケーション税制」を利用する場合も、使用する申告書の様式は変わりません。
「セルフメディケーション税制の明細書」と「健康診断書の結果通知」などの提出が必要なので注意しましょう。
まとめ:医療費控除は家族分まとめて申告できる
- 同居家族以外でも、生計を一にしていれば家族分まとめて申告できる
- 家族であれば、収入の有無・大小は関係なくまとめて申告できる
- 法的に婚姻関係等にある状態を家族と見なし、事実婚の場合は申告できない
- 申告は所得の一番多い人が行うと得する

