眼鏡は医療費控除の対象になる?

初めて確定申告をされる方や、年間にかかる医療費が高い方は特に悩ましい「医療費控除」。
医療費控除とは、その年に一定金額以上(およそ10万円)の医療費を支払った場合、所得税が軽減される制度のこと。
控除=差し引くというわけです。
では、ここで皆さんに質問があります。
「眼鏡(メガネ)」は医療費控除の対象になると思いますか?
眼鏡を購入する際、眼科に行き視力測定やカウンセリングをし、処方箋を受け取ります。
受け取った処方箋を持参し、眼鏡専門店で眼鏡を作ってもらいます。
この流れの中にはしっかり医療費が発生しているわけですが、果たして医療費控除として申請できるのでしょうか。
今回はそんな疑問にお答えすべく、眼鏡は医療費控除の対象になるのか詳しく解説していきたいと思います。
また、意外と知られていない医療費控除の対象となる費用についてもご紹介していきますので、是非参考にしてみて下さいね。
原則眼鏡は医療費控除の対象にならない!

結論から言うと、眼鏡は医療費控除の対象にはなりません。
これには、「所得税基本通達73-3」という規定が大きく関係しています。
所得税基本通達73-3とは、控除の対象となる医療費の範囲が定められた通達、いわゆる取扱書のようなものです。
医療費の定義が統一されていなかったため、これを機に統一しよう!と行政機関内部で制定されました。
控除の対象となる医療費は以下の通りです。
(1)医師等による診療等を受けるための通院費若しくは医師等の送迎費、入院若しくは入所の対価として支払う部屋代、食事代等の費用又は医療用器具等の購入、賃借若しくは使用のための費用で、通常必要なもの
(2)自己の日常最低限の用をたすために供される義手、義足、松葉づえ、補聴器、義歯等の購入のための費用
(3)身体障害者福祉法第38条《費用の徴収》、知的障害者福祉法第27条《費用の徴収》若しくは児童福祉法第56条《費用の徴収》又はこれらに類する法律の規定により都道府県知事又は市町村長に納付する費用のうち、医師等による診療等の費用に相当するもの並びに(1)及び(2)の費用に相当するもの
伊達メガネなどのファッション小物としてはもちろん、近視や遠視、乱視、老眼など視力矯正のために購入された眼鏡はすべて日常生活の必要性に基づき購入されるものです。
医師による治療のために直接必要なものではないため、医療費の控除対象には含まれないのです。
治療のための眼鏡は医療費控除の対象になる!

逆に言えば、治療のための眼鏡は医療費控除の対象になるということ。
例えば、視力機能が未発達の子供において、治療を行う医師が眼鏡の使用を指示した場合などです。
厚生労働省では、社団法人日本眼科医会に対して、次のように指導しています。
- 医師による治療を必要とする症状は、次に掲げる疾病のうち一定の症状に限られるものであること。 弱視、斜視、白内障、緑内障、難治性疾患(調節異常、不等像性眼精疲労、変性近視、網膜色素変性症、視神経炎、網脈絡膜炎、角膜炎、角膜外傷、虹彩炎)
- 医師による治療を必要とする症状を有すること及び現に医師による治療を行っていることを証明するため、所定の処方せんに、医師が、上記1に掲げる疾病名と、治療を必要とする症状を記載すること。
意外と知られていない医療費控除の対象となる費用を紹介!

では次に、意外と知られていない医療費控除の対象となる費用をご紹介いたします。
眼鏡の購入費用が控除の対象にならずガッカリされた方も、以下をご覧ください。
当てはまるものがあるかもしれません。
- レーシック手術の費用
- 通院の際の交通費
- 別居中で生計を一にしている家族
- ドラッグストア等で購入した市販薬
①レーシック手術の費用
知られざる医療費控除の対象1つ目は、レーシック手術の費用です。
近視や遠視、乱視を治療する屈折矯正手術は様々な種類がありますが、レーシックとは現在最も広く知られている屈折矯正手術のこと。
角膜にレーザーを当て、角膜の屈折力を調整する視力回復法です。
レーシック手術は基本的に10万円以上の費用がかかるため、医療費控除を申請することで所得税や住民税の負担が軽減します。
②通院の際の交通費
知られざる医療費控除の対象2つ目は、通院の際の交通費です。
「眼鏡の購入費用は控除されないのに、交通費は控除されるの?」と考える方も居るかもしれません。
実は、眼科に限らず通院・入院のための交通費は医療費控除として認められています。
ただし、注意点があります。
- タクシー代は、電車やバスでの移動がどうしても困難な場合に限り認められる
- 自家用車のガソリン代、駐車料金、高速料金は対象外
- 新幹線や飛行機は、指定された医療機関でない限り対象外
- バスや電車であっても、里帰り出産のための交通費は対象外
- 付き添い人の交通費は対象外
③別居中で生計を一にしている家族
知られざる医療費控除の対象3つ目は、別居中で生計を一にしている家族です。
例えば、進学のために実家を離れ一人暮らしをしている子供が事故に遭い、親が医療費を支払いました。
この場合、子供に係る医療費は親の医療費控除の対象になります。
医療費控除の要件は、親族が同居しているか否かではなく、生計を一にしているか否かだからです。
離れて暮らす両親や子、配偶者に生活費を仕送りしている場合は、上の例のように控除が認められるのです。
④ドラッグストア等で購入した市販薬
知られざる医療費控除の対象4つ目は、ドラッグストア等で購入した市販薬です。
医療費控除の対象になるのは、「治療又は療養に必要な医薬品の購入」の対価です。
ここで言う医薬品とは、具体的に以下のような例が挙げられます。
- 市販の風邪薬
- 市販の鎮痛剤
- 健康増進、疲労回復のためのサプリメントや漢方薬
- 市販の目薬
医療費控除で申告した額が全額戻るわけではない!

「医療費控除とはなにか」と人に聞かれたとき、皆さんは正しく説明できますか?
勘違いされている方が凄く多いこの医療費控除。
復習も兼ねてもういちど説明していきます。
医療費控除とは、一定金額(およそ10万円)を超えた場合に、超えた分の金額が所得控除される制度のことです。
全額ではなく、超えた分の金額が所得控除される仕組みになっています。
ここが1つポイントです。
また、確定申告で医療費控除を申請した場合には、これまで支払ってきた医療費が全額戻ってくるわけではありません。
あくまで、課税所得が少なくなり結果として税金が安くなるというものです。
ここが2つ目のポイントです。
この2つのポイントを踏まえたうえで、もういちどご自身の医療費が控除されるかどうか確認してみて下さいね。
医療費控除の還付金の計算方法を紹介!
医療費控除の計算方法と還付金の求め方について、解説していきます。
医療費控除の計算方法
医療費控除額は以下の計算式で求められます。
(年間の医療費総額)-(補てんされた金額※1)=医療費負担額
医療費負担額-{10万円※2}=医療費控除額
※1生命保険会社との契約による保険金支払額、健康保険から支給される高額療養費など
※2総所得金額200万円未満は総所得金額の5%
医療費控除額の上限
医療費控除額×所得税率(※)=還付金
| 課税所得額 | 所得税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 |
| 195万超330万円以下 | 10% | 9万7500円 |
| 330万超695万円以下 | 20% | 42万7500円 |
| 695万超900万円以下 | 23% | 63万6000円 |
| 900万超1800万円以下 | 33% | 153万6000円 |
| 1800万超4000万円以下 | 40% | 279万6000円 |
| 4000万円超 | 45% | 479万6000円 |
セルフメディケーション税制を利用するといくら戻ってくる?
セルフメディケーション税制をご存知でしょうか。
セルフメディケーション税制とは、医療費控除制度の特例として、薬局・ドラッグストアなどで販売されている市販薬を一定金額以上(年間1万2,000円)購入すると所得控除を受けられる制度のことです。
要件
- 年間1万2,000円を超える、対象のスイッチOTC医薬品を購入している
- 健康診断・予防接種を受けている
- 厚生労働省のHPで確認する
- ドラッグストア等のHPで確認する
- パッケージのロゴマークで確認する
コラム:医療費控除の対象となるレーシックとは?

先ほども少し触れた「レーシック手術」について、掘り下げてお話していきます。
費用は?
- 目安:15~25万円
手術の内容や医療機関により変動します。
手術は誰でも受けられるのか?
事前検査の上で判断します。
また、年齢が18歳未満の方は眼球の成長が安定していないため受けられません。
妊娠中の方や全身の病気がある方なども受けられません。
レーシック手術を受けることのメリット
- 眼鏡やコンタクトレンズから解放される
- 視力回復が早い
- 術後の痛みが少ない
- 今後、眼鏡代やコンタクトレンズ代にお金をかけなくて済む
レーシック手術を受けることのデメリット
- 夜間に視力が低下する
- 角膜の変形・混濁のリスクがある
- 術後、一定期間はドライアイになる
- 眼圧測定結果が正確ではなくなる
- 将来、白内障手術が受けられなくなる
- 保険がきかない
眼鏡代やコンタクトレンズ代は継続的にお金がかかりますが、毎日装着しなければ生活に支障が出てしまいます。
これまで、眼鏡やコンタクトを毎日装着することに煩わしさを感じてきた方にとって、レーシック手術は生活の豊かさを向上させる便利な医療手術です。
しかし、上のデメリットで挙げたようにレーシック手術にはいくつもの危険性が潜んでいます。
このメリットとデメリットを考慮し、専門機関で適性検査を受けたうえで今一度検討してみて下さいね。
まとめ:眼鏡は医療費控除の対象にならない!

今回は、眼鏡は医療費控除の対象になるのかについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
また、意外と知られていない医療費控除の対象となる費用や、医療費控除額の計算方法、レーシック手術についても掘り下げてご紹介してきました。
今回の記事のポイントは
- 原則、眼鏡は医療費控除の対象にはならないが、医師による治療で直接必要なものであれば適用される
- 医療費控除とは、これまで支払ってきた医療費が全額戻るのではなく、超えた分の金額が所得控除されるものである
- 年間の医療費を計算したうえで、従来の医療費控除かセルフメディケーション税制、どちらか一方(金額の高いほう)を利用しよう

