医療費控除を申告するといくら戻る?計算方法や還付金を増やす方法は?

医療費控除を申告するといくら戻る?計算方法や還付金を増やす方法は?
医療費控除の確定申告を行うといくら戻るのでしょうか。この記事では、医療費控除の確定申告を行うといくら戻るのかについて解説しています。具体的な計算方法に加え、戻ってくる金額を増やす方法も紹介しているので、ぜひお読みください。
監修者「谷川 昌平」

監修者谷川 昌平ファイナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!

医療費控除の確定申告をするといくら戻る?


こんにちは、マネーキャリア編集部です。

確定申告したらお金はいくら戻るんだろう…

そんな風に思っている人はいませんか? 


近年、日本の医療費は増加傾向にあり、厚生労働省「国民医療費 結果の概要」によると、平成30年度にかかった医療費は全体で43兆3,949億円にものぼるそうです。 


これを国民一人当たりの医療費に計算し直すと、34万3,200円になります。


 一般的に医療費控除は、支払った医療費が10万円以上になると受給できると言われており、数字だけで見れば、多くの人が医療費控除を受ける事が可能だと言えるでしょう。


ではなぜ、毎年確定申告の時期になると世間がざわつくのでしょうか。


それは「確定申告は難しい」というイメージが強いからではないでしょうか?


今回は

  •  確定申告(医療費控除の申告)をするといくらお金が戻るか
  • 確定申告(医療費控除の申告)はするべきか 
  • 医療費控除の対象となるものは何か 
について説明していきます。 

計算が苦手、確定申告が初めてという人の手助けになれば幸いです。

医療費控除の確定申告でいくら戻るか計算する方法を紹介!


お金がいくら戻るかの計算に移る前に、簡単に医療費控除確定申告についておさらいしましょう。


「医療費控除」とは、1月1日から12月31日の1年の間に支払った医療費が高額なった場合、その年に納めた所得税の一部が返金される制度を指します。


医療費控除は

  • 本人または同一世帯の人の医療費を合算しての申告が可能
  • 「確定申告」または「還付申告」をすることで受給可能

といった特徴があります。


会社で「年末調整」や「源泉徴収」を受けていても、医療費に関連する内容は反映されていないので注意しましょう。


確定申告還付申告
記載内容収入と税について
収め過ぎたお金の返却を求める
申告期間翌年2月16日から3月15日翌年1月1日から5年間

会社などで既に年末調整を行っている場合は、一般的に年末調整で所得と税の清算が完了しているので確定申告の必要はなく、還付申告をすることで医療費控除を申し出ます。


「確定申告」も「還付申告」も提出する書類の様式は変わりませんが、書類の提出期限が違うので言葉として覚えておくと良いでしょう。


自分がどちらに当てはまるか分からないという方は、翌年2月16日から3月15日の期間中に申告を行うと安心。※使用する書式は同じです


それでは、実際にお金がいくら戻るのかを見ていきましょう!

①源泉徴収票を用意する

お金がいくら戻るか計算するために、まずは手元に源泉徴収票を用意しましょう。


医療費控除で還付される金額は、所得と大きく関係しているので「源泉徴収票」があるとスムーズに計算する事が可能です。


源泉徴収票以外に用意しておきたい書類は下記の通りです。

  • 医療費の領収書
  • 医療費通知(医療費のお知らせ)
  • 入院保険などの保険金・その他給付金の額が分かるもの

フリーランスの方など、源泉徴収票がない方の計算方法も解説するので安心してくださいね!

②課税所得金額を計算する

医療費控除の申告でお金がいくら戻るかを知るためには、課税所得金額(課税対象となる個人所得)を先に計算しておく必要があります。


課税所得金額は

[課税所得金額]=[収入]-([必要経費]+[各種所得控除])

で計算します。


必要経費の意味が分からなかった方は、心配する必要はありません。


源泉徴収票があれば、下記の式に数字を代入するだけなので簡単です。

[課税所得金額]=[給与所得控除後の金額]-[所得控除の額の合計額]

ひとまず何も考えずに、そのまま計算してしまいましょう。

③表を参考にし自分の所得税率を知る

続いては、収入に応じて振り分けられている税率(所得税率)を調べます。


【所得税率と課税所得額】

課税所得金額所得税率
195万円未満5%
195万~329.9万円10%
330万~694.9万円20%
695万~899.9万円23%
900万~1,799.9万円33%
1,800万~3,999.9万円40%
4,000万円以上45%

参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」所得税の速算表


所得税率は国によって定められているため、計算する必要はありません。


収入が低い人は5%、収入が増えると最大45%まで税率は上がります。


税率45%というと、収入の半分近くが税で引かれるということです。


そう考えると、高給取りも楽ではありませんね。

④医療費から10万円と給付された保険金を差し引き控除額を計算する

続いて医療費控除額を計算します。


あと一息でお金がいくら戻るか分かるので頑張りましょう!


医療費控除額は

[医療費控除額]=[1年間で支払った医療費]ー[保険金などで補填される金額]ー10万円 

 で求めることが可能です。


※世帯の総所得金額が200万円未満の場合は、医療費から所得金額×5%を引いて計算します。


「保険金などで補填(ほてん)される金額」とは、医療費が高額になった際に国や保険会社から受ける給付金のことです。


具体的には

  • 高額療養費
  • 通院給付給付金、入院給付金など
  • 妊婦健診(妊婦検診)の助成金
  • 出産育児一時金(出産一時金)
  • 損害賠償金

などを示します。


確定申告の時までに、通院給付金などの受け取りが済んでいない場合は、受け取り予定額で計算します。


申告後、見積もりと実際に受け取った金額が違った場合は、修正申告または更正の請求を行わなければなりません。

修正申告更生の請求
概要還付金をもらいすぎた還付金が少なかった
期限確定申告の期限から5年以内

間違いを税務署に指摘されると過少申告課税というものが上乗せされる場合があります。


過少申告課税とは、要するに罰金のようなものです。


「本来より多くお金をもらえて嬉しい」などと思っていると、のちのち損する可能性があるので、「更正の請求」も「修正申告」も忘れないようにしましょう。


⑤医療費控除の還付金の額を計算する

いよいよ計算!医療費はいくら戻る?

ここまで来ればあと一息!一体お金はいくら戻るのでしょうか。


還付金額は、先に調べておいた「所得税率」と「医療費控除額」を使って求めます。

[還付金額額]=[所得税率]×[医療費控除額]

会社員のAさんを例に、いくら戻るのか計算してみましょう。


【Aさんの場合】

  • 給与所得控除後の金額…600万円
  • 所得控除の額の合計額…100万円
  • 医療費の合計額…60万円
  • 受け取った通院・入院給付金…40万円

課税所得額=600万ー100万


課税所得500万円の所得税率…20%


医療費控除額=60万ー40万ー10万


10万×20%(0.2)=2万


実際にAさんに還付されるのは2万円となります。

医療費控除と住民税の関係

医療費控除の申告をすると住民税が減るのはご存知でしたか?

医療費控除の申告によって受け取るお金は、単なる返金ではなく、払い過ぎた所得から生み出されます。

住民税は所得によって金額が変わるものなので、結果として住民税も安くなるというわけです。

住民税の減税額の計算

所得にかかる住民税の税率は、年収に関わらず一律10%です。

したがって減税される住民税は

[住民税]=[医療費控除額]×10%(0.1)

で求めることが可能です。

ただし、下記のことを念頭に置いておきましょう。
  • 医療費控除の還付金と違い、現金がもらえるわけではない
  • 反映されるのは翌年6月分からの住民税
このような副産物も生まれると覚えておきましょう。
※減税の手続きは不要です

【いくら戻るか分かった人】コスパで医療費控除の申告を決めよう


医療費控除によってお金がいくら戻るか分かりましたか?


「少ししか戻らない…」と感じた人は、医療費控除の申告をしないのもひとつの手です。


控除申告は手書きで書類を作成予定の方にとっては、時間も手間もかかる行為です。 納税申告は義務ですが、控除申告は自由なのでご自身で判断して行いましょう。


特に、医療費控除を申告すると住民税が減税され、その影響でふるさと納税控除限度額も少なくなってしまいます。


ワンストップ特例制度の申請も無効になるので、ふるさと納税をしたという方は注意しなければなりません。


せっかく一生懸命還付金がいくら戻るか計算したのだから、無駄の無いようにしたいですよね!

医療費控除を考慮したふるさと納税の計算は、シュミレーションできる民間サイトが多く存在するので、気になる人は検索してみましょう。

【いくら戻るか分からなかった人】まずは医療費控除の申告をしよう


お金がいくら戻るか分からないという人も、基本的には医療費控除の申告は行うようにしましょう。

医療費(実質自分で支払った額)が「10万円以上(所得200万未満の人は所得×5%以上)」かかっていれば、多かれ少なかれ還付金が発生します。

得することはあっても、損することはないので確定申告(または還付申告)は行うべきです。

また、国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」では、e-Taxというオンラインシステムを利用することで簡単に手続きが可能なので、ぜひ利用してみてください。

e-Taxを利用すると申告手続きの途中で還付金の額を確認できる


e-Tax(イータックス)とは、国税庁が運営する申請・申告システムです。

  • 記載・計算などの間違い防止
  • 書類添付の省略
  • パソコンやスマートフォンで操作可能
  • 比較的還付がスムーズ

などのメリットがあります。


「お持ちの源泉徴収票は1枚のみですか?」など、質問を受けながら入力、システムが結果を自動計算してくれるので書類作成も楽々!


先ほど「還付金がいくら戻るか分からない」と言っていた人は特に、e-Taxの利用をおすすめします。

還付金の額を増やしたいときは医療費控除の対象を確認しよう


「結構な出費があったはずなのに、計算してみたら思っていたより還付金が少ない…」 

 そんな時は、医療費の見直しをしてみましょう。

医療費と聞くと病院の窓口で支払ったものをイメージする人が多いでしょうが、医療費控除の対象となるものはそれだけではありません。 

中には「こんなものまで!?」と思うものもあるので、該当するものがないか確認していきましょう。

①医療費控除の対象となるもの

医療費控除の対象となるのは次の通りです。

  • 診療・治療費
  • 基本的な入院費用
  • 医療用器具の購入費用
  • マッサージ・はり・灸(きゅう)代
  • 交通費
  • 妊婦健診の費用
  • 出産費用
  • 不妊治療や人工授精の費用
  • 美容などを目的としない歯列矯正・歯科矯正
  • レーシックの手術費用 など

医療費控除の対象か見極めるポイントは診療治療に必要かです。


医師またはそれに準ずる者に必要と判断されたものは控除対象となりますが、自分の趣味趣向のために支払ったお金は医療費として認められません。

マッサージ・はり・灸(きゅう)の費用

マッサージなどが医療費控除の対象かどうか見極めるポイントは、「あん摩マッサージ指圧師」「はり師」「きゅう師」「柔道整復師」による施術かどうかということです。


上記国家資格者による施術は基本的に医療費控除の対象になります。


しかし、有資格者によるマッサージなどであっても、リラクゼーション体調管理目的でのマッサージは除外されるので注意しましょう。

歯科診療

歯列矯正歯科矯正は「健康を妨げる可能性がある」場合には医療費控除の対象です。


また、歯の詰め物やかぶせ物は材質によって控除対象となります。


国税庁ホームページ「No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」によると、一般的な歯科治療材料とされているポーセレンは医療費控除の対象とされているので、参考にしてみてください。

交通費(通院費用)

控除対象となる交通費は下記の通りです。

交通手段など医療費控除備考
電車通勤や通学で利用している定期券の区間は除く
バス通学で利用している定期券の区間は除く
タクシー緊急時のみ可
新幹線・飛行機医師が必要と認めた場合に可
付き添いの人の交通費状況により可
自動車×駐車場料金、ガソリン代共に不可

タクシー代は基本的には医療費控除の対象外です。


しかし「陣痛が深夜帯になり公共機関が使えない場合」や「状態的にタクシー移動の必要性がある場合」などは控除対象となります。


通院に付き添った人の交通費は

  • 一人で通院するのが難しい年齢の子供
  • 病状からみて一人で通院が困難とされる人
などの場合は医療費控除として認められます。


お見舞いに行くときにかかった費用は医療費に入らないので注意しましょう。

②医療費控除の対象とならないもの

医療費控除の対象とならないものには次のようなものがあります。

  • 健康診断の費用
  • 脱毛や美容整形手術の費用
  • 自己都合による差額ベッド代
  • 交通費
  • 文書料 など

※交通費に関しては、前述の「①医療費控除の対象となるもの」の中の表を確認ください。


診療や治療に必須でないものは、基本的に医療費控除の対象外です。 


美容予防趣味趣向などの目的で使用したものは医療費と認められないので注意しましょう。 

健康診断の費用

「妊婦健診」は医療費控除の対象ですが、「人間ドック」などの病気を見つけることを目的とした健康診断は控除対象となりません。

ただし、健康診断の結果、病気が発見され、当該疾病に対する治療を行った場合は医療費控除の対象となるので覚えておきましょう。

文書料

医療機関から受け取った領収書や明細書を見ていると、文書料という項目が記載されていることがあります。

文書料とは「公的機関などに提出する書類を作成してもらったこと」に対して支払うお金です。

 文書料が控除対象かどうか見分ける基準も「診療や治療に必要かどうか」で、下記の書類に関しては医療費控除を受けることはできません。
  • 保険会社に提出する診断書
  • 健康診断の証明書
  • 傷病手当金意見書
  • 交通事故の診断書
これらは、病気にまつわる書類ではあるものの、「生活」や「治療以外での金銭面」での補助を受けるための書類なので、医療費控除の対象外というわけです。

 紹介状(診療情報提供書)は、他の医療機関で診察・治療をしてもらうために必要な医療情報を記載するための書類なので、こちらは医療費控除の対象となります。

 お金がいくら戻ってくるか…そればかり気にして、対象外のものを医療費控除申告しないよう、ひとつひとつ丁寧に考えていきましょう。

コラム:医療費控除の控除額には上限がある


医療費控除は、所得税法により200万円まで受給可能と定められています。 


控除金額が最大200万円と聞くとすごく感じますが、実際に200万円の還付金をもらえる人はそう多くいません。

でも、一般的に10万円以上医療費がかかったら還付金がもらえるんでしょう?意外ともらえるのでは?

還付金額は医療費控除額✖️所得税率で求められるとお話しをしました。


所得税率が45%だとして、還付金200万円をもらうためには


200万=医療費控除額×45%(0.45)


医療費控除額が約445万円、そこに10万円足した455万円以上の医療費を支払っている必要があります。


455万円…!そんなに払えない!


そうです、一般的にはそんな大金簡単には払えません。


そもそも、医療費が高額になった時のために「高額療養費制度」がありますし、 高額療養費制度で戻ってきた分のお金に関しては医療費控除の対象外です。


他にも日本には

  • 「難病医療費助成制度」
  • 「小児慢性特定疾病医療費助成制度」
  • 市区町村で設けられている「小児医療費助成制度」
  • 市区町村で設けられている「重度障害者医療助成制度」
  • 市区町村で設けられている「ひとり親家庭等医療費助成制度」

など様々な公的支援策が存在し、これらで受けた助成金も医療費控除額としてカウントしません。


できるだけ多くの還付金を受けることは大切ですが、そのために医療費を多く支払うというのもおかしな話です。


大切な事は

  • 日々の医療費が高額にならないよう、制度や医療保険を利用する
  • どうしても医療費が多額になった時は、確定申告で医療費控除の申告をする

の2点なのではないでしょうか。

まとめ:医療費控除でいくら戻るか計算しよう

今回は、医療費控除の確定(還付)申告の際に、お金がいくら戻るかという疑問についてお話ししましたが、いかがでしたか?


難しければ計算式や言葉の意味を、暗記しなくても大丈夫です。


手元の資料を見ながら、順を追って計算していきましょう。


こちらの記事では主に以下のことについてお話しています。

  • 医療費控除の申告で、お金がいくら戻るか
  • 医療費として「認められるもの」と「認められないもの」は何か

出産や入院、大きな病気などにかかって初めて医療費控除の申告を行う人もいるでしょう。


控除対象となるものは何なのかが分かれば、計算自体はそこまで難しくないので苦手意識を持たずに取り組んでください。


あなたの大切なお金が少しでも多く戻ってきますように!