入院時の差額ベッド代は医療費控除の対象となる?治療に必要でも自費となる?

入院時の差額ベッド代は医療費控除の対象となる?治療に必要でも自費となる?
入院時の差額ベッド代は医療費控除の対象となるのでしょうか。この記事では、入院時の差額ベッド代が医療費控除の対象となるかについて解説しています。また、入院時の医療費控除の控除額を増やす方法や、入院時に利用できる給付金についても説明します。
監修者「谷川 昌平」

監修者谷川 昌平ファイナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!

入院時の差額ベッド代は医療費控除の対象となる?

こんにちは、マネーキャリア編集部です。

今度、手術のために入院が決まったんだけど、差額ベッド代って医療費控除の対象なの?入退院時や確定申告で得する方法ってあるの?

と思っている人はいませんか? 


厚生労働省「中央社会保険医療協議会 総会 主な選定療養にかかる報告状況」によると、2017年7月時点で、日本の1日当たりの差額ベッド代は平均6,188円とされています。 


 旅館やホテルなどとくらべれば、一泊6,000円は安く感じますが、下準備をしている旅行と違い、突然訪れる入院にかかる費用としては多く感じるでしょう。 


今回は、入院かかるお金のことが気になっているあなたのために 

  • 差額ベッド代は医療費控除や高額療養費の対象になるか 
  • できるだけ沢山の還付金をもらう方法はあるか 
  • 入院時に給付される医療保険にはどんなものがあるか 

についてお話します。 


入退院時にかかる費用のことを知り、少しでも財布への負担を減らせるようにしましょう。 あなたの疑問や悩みが解決されますように。 

入院時の差額ベッド代は医療費控除の対象とならない!

医療費控除制度とは、1月1日から12月31日の1年間で支払った医療費が高額になった場合、確定申告や還付申告をするとその年の所得税が軽減、差額分のお金が戻ってくる制度です。


控除対象か見極めるポイントは治療に必要かどうかで、病気の予防目的、美容趣味趣向のための物事は医療費控除には含まれないので注意しましょう。


基本的には入院時に発生する差額ベッド代は医療費控除の対象外です。


そもそも差額ベッド代は、正しくは特別療養管理室料と言い「より良い療養環境で入院治療を受けたい」という患者のニーズに応えて制定されたものです。


特別療養管理室と聞くと「個室(1人部屋)」で「豪華」な部屋を思い浮かべそうですが、複数人で1部屋を利用する場合でも、特別療養管理室と呼ぶことがあります。


以下が、厚生労働大臣によって定めている特別療養管理室の基準です。

  • 個室あたりのベッドの数が4床以下であること
  • 1人あたり6.4平方メートル以上のスペースが確保されていること
  • 患者のプライバシーを守れる環境であること
  • 各人「私物の収納設備」「照明器具」「机と椅子」が設置されていること

条件を全て満たし、部屋について詳しく説明を受け、同意すると差額ベッド代が発生。


支払った差額ベッド代は患者都合(希望)による部屋の利用とみなされ、医療費控除の対象とならないので注意しましょう。 

治療や病院の都合による差額ベッド代は医療費控除の対象!


先ほど、差額ベッド代は医療費控除の対象とならないとお話しましたが、控除対象となる場合もあります。
  • 特別療養管理室(個室しかない)病院
  • 特別療養管理室(個室)以外の部屋が満床
  • 病状としてその部屋である必要があると医師が認めた など
自分たちが希望していないにも関わらず支払った差額ベッド代は、医療費控除の申告を行っても良いとされています。

産後の母子の健康状態や精神状態を考慮して個室しかない産院も少なくありません。

そういった場合に支払ったお金は、医療費控除として認められるので、忘れずに申告するようにしましょう。

そもそも特別療養管理室への入院に納得していない場合は、差額ベッド代を払う義務はありません。

厚生労働省の通知によると、病院側は「丁寧に分かりやすく説明したうえで、患者や家族の同意を得た場合」に差額ベッド代を請求しても良いとされています

しかし、実際には同意書1枚で説明・同意が済んだとする医療機関も存在するので、注意が必要です。

そういった場合、会計時にもめる原因となるので、同意書にサインしないようにしましょう。

医療費控除も大事ですが、最初から不要な出費を避けるのも大切なことです。 

差額ベッド代は高額療養費制度や健康保険の対象外でもある


1ヶ月の間に、病院や薬局などへ支払ったお金が高額だった場合、支払ったお金の一部を払い戻ししてもらえる高額療養費制度というものがあります。

制度概要
  • 年齢や収入ごとに自己負担金の上限が決められており、超過した分が返金される
  • 1ヶ月とは毎月1日から末日までを指し、月をまたいだ場合は合算できない
  • 医療保険の範囲内のものごとに適用される
  • 月の途中で保険証が変わった場合、制度内容の引継ぎができない恐れがある

高額療養費制度が使用できるのは、健康保険証が使用できる範囲の医療費です。

通院にかかった交通費や、入院中の食事代、差額ベッド代などは補助対象ではないので覚えておきましょう。

転職等で健康保険証が変わった場合も注意が必要です。

高額療養費制度では加入している保険証の保険者が変わると、高額療養費に計上する費用を合算することができなくなります。

共働きなどで夫婦が違う保険者の保険証を所持している場合も同じで、一緒に制度を利用することができません。

高額療養費制度は、国の医療保険のような側面がありますが、カバーしきれていない部分も多く感じます。

特に差額ベッド代が平均6,000円程と考えると…

6,000円×30日=180,000円

1ヶ月で18万円以上の医療費が差額ベッド代だけでかかることになります。

食事代は一般的に1食460円とされているので更にお金がかかります。

ましてや病気になると収入も下がる可能性が出てきますし、万が一に備えて民間の保険に加入しておくと安心でしょう。 

医療費控除の確定申告は自宅でできる!


さて、あなたの支払った差額ベッド代は、医療費控除の対象でしたか? 

差額ベッド代が医療費控除の対象でなくても、1年間で支払った医療費が高額になった時は確定申告をしましょう。

 「確定申告って面倒くさそう…」 

そんなイメージのある人にはe-Taxの利用がおすすめです。 

e-Tax(イータックス)」とは、確定申告など税金にまつわる手続きをインターネットを通じて行うシステムです。

パソコンはもちろん、スマートフォンでも利用が可能なので、手軽に作業ができます。

e-Taxでの確定申告には
  • 確定申告書を税務署に持込みor郵送しなくて済む
  • 書面での申告と比べると比較的スムーズに還付を受けられる
  • 記入漏れや計算間違いをしないで済む
などのメリットがあります。

確定申告に慣れていない人は「計算が面倒」「書き方が分からない」などの悩みがつきものですが、e-Taxならこの負担が軽減!

源泉徴収票などを見ながら、必要な項目を順番に入力していくだけで、システムが自動計算してくれます。

また、分かりにくい単語の意味や、書き方見本なども流れで見られるので、初めてでも安心です。

ぜひ今度の確定申告から利用してみてくださいね!

入院時の医療費控除額を増やす方法は?


「今年は入院して何かと出費が多い一年だったし、確定申告をするぞ!」

と意気込んでいるあなた。

申告する医療費の金額は、本当に正しいですか?

控除対象となるのは、病院の受付で会計したものだけではありません。

こちらでは
  • 入院時に医療費控除の対象となるものは何か
  • 医療費控除額の計算方法
  • 確定申告は誰が行うと良いか
について紹介していくので、少しでも多くの還付を受けられるようにしましょう! 

①入院時に医療費控除の対象となる費用を確認する

入院した時に医療費控除の対象となる費用はこちらです。
  • 入院基本料(医学管理料、看護料、室料など)
  • 入院中の食事代
  • 分娩費用
  • 紹介状(診療情報提供書)
  • 交通費
  • 病院に支払うクリーニング代
  • 医師が必要とした場合のおむつ代 など

分娩費用

妊娠は病気ではありませんが、出産費用は医療費控除の対象となります。

自然分娩帝王切開無痛分娩と方法に関係なく控除を受けることが可能なので、忘れないようにしましょう。

交通費

交通手段医療費控除備考
電車通勤・通学で利用している定期券内は除く
バス通勤・通学で利用している定期券内は除く
タクシー病状や緊急時の利用は可
新幹線・飛行機治療上必要な場合は可
自家用車(ガソリン代など)×

基本的には電車とバスの2つが医療費控除の対象で、車移動した際のガソリン代などは対象外です。

タクシーは、公共交通機関が利用できない深夜早朝や緊急時場合、新幹線や飛行機は治療上遠方に行く必要がある場合に控除対象となっています。

交通費はとくに除外してしまう人が多いので、出産の際の陣痛タクシーや、電車やバスの利用が難しく介護タクシーなどで移動していた人は、必ず申告しましょう。

クリーニング代

病院が用意したシーツなどのクリーニング代は、医療費控除の対象です。

ただし、自身で持ち込んだパジャマや下着などのクリーニング代や、病院からレンタルした病衣は申告できないので注意しましょう。

おむつ代 

  • 病気やケガなどを理由に6ヶ月以上寝たきり
  • 医師の治療を受けている
  • おむつ使用証明書の交付を受けた
上記の条件を全て満たしている場合に利用しているおむつ代は医療費控除の対象です。

おむつ使用証明書は病気の治療を受けている医療機関で作成してもらいます。

e-Taxを利用して確定申告する場合、提出は省略可能ですが、税務署から提示が求められることもあるので必ず主治医の先生に書類を作成してもらいましょう。

おむつ使用証明書の書式は、「各市区町村」「各おむつメーカーホームページ」などから入手可能です。

書式を用意できる病院も多数存在するので、かかりつけの医院に確認するのも良いでしょう。 

②保険金は医療費全体ではなく給付対象の医療費から差し引く

医療費控除は下記の計算式で求めます。

[医療費の合計]ー[保険金などで補てんされる金額]ー10万円

※所得が200万円未満の人は、10万円ではなく「所得額×5%」で計算

では、受け取った保険金などの額が、実際に支払った金額より大きかった場合はどうでしょう?

答えは「医療費保険金セットで考える」です。

具体例で見ていきましょう。

【AさんBさん夫婦の場合】
  • 医療費a(Aさんにかかった費用):30万円
  • 医療費b(Bさんにかかった費用):40万円
  • 医療費bによって給付された保険金:50万円
単純に計算してしまうと

医療費(30万+40万)−保険金(50万)ー10万円

医療費控除額は10万円となりますが、これは間違いです。

正しくは

医療費(30万円)ー10万円

20万円、これがAさんBさんご夫婦の医療費控除額です。

医療費bから保険金を引くと差額10万円が生まれますが、この差額分を他の医療費から引く必要はありません。

「医療費-保険金など」の金額がマイナスになる部分に関しては、医療費控除の計算から除外して考えます。

保険金、高額療養費、出産育児一時金などは対象となった医療費のみから引いて計算すると覚えておいてください。

こちらはあくまで例ですが、計算方法が少し違うだけで結果に倍が出ました。

還付金となると、更にここに5%から最大45%の所得税率を掛け合わせるので、もらえるお金にかなりの差がついてきます。

損する、しないの問題もありますが、申告に不備があった場合には訂正しなければならないので、注意しましょう。 

③家族で所得が高い人が医療費控除の申告をする

医療費控除額は「生計を一にする親族」であれば、まとめて計算することができます。


医療費控除の申告によって戻ってくる還付金の額は、医療費控除額×所得率で求めるため、所得率が高い方が還付金も多くなります。


実際に計算してみましょう。


例)共働き夫婦Bの場合

  • 夫の課税所得額…500万円
  • 妻の課税所得…300万円
  • 医療費控除額…20万円

夫で医療費控除をした場合 20万×20%(0.2)=4万円

妻で医療費控除をした場合 20万×10%(0.1)=2万円

となります。


かかった医療費が同じでも、還付金額に差が出てくるので、誰が申告するかは慎重に選びましょう。


ちなみに、医療費控除の申告をする際の「生計を一にする親族」とは、日常生活にかかる支出を共有している人のことを指します。


したがって、別居している場合でも生活費や学費、療養費などの支払いを常に負担している場合は「生計を一つにしている」とみなしますが、 事実婚や里帰り出産で実家に帰ってきている娘の医療費は控除対象外なので注意しましょう。    

入院時に給付される保険金を紹介!


続いては入院時に給付される保険金について紹介していきましょう。

医療費控除の申告の際、保険金は医療費からマイナス計上しなければならないので、一見損にも思えます。

しかし、食事代や差額ベッド代など健康保険証が適用しない自費請求が発生する以上、保険加入は前向きに検討したい話題です。

それぞれの特徴を知り、ご家庭にあった保険を選べるようにしましょう。

①三大疾病一時金

三大疾病一時金とは、日本で死亡率が高い下記3つの病気のいずれかになった時に得られる保険金です。

  • 悪性新生物
  • 心疾患
  • 脳血管疾患

悪性新生物

いわゆる癌(がん)のことで、悪性腫瘍とも言われます。


三大疾病一時金は「はじめてがんと診断された時」「状態が悪くなった時」などにまとまって保険金が支給されるのが一般です。


がんの面だけで考えると「がん保険」よりは保障内容は狭く、保険会社によっては上皮内がん皮膚がんなどには適用されないこともあるので注意が必要。

心疾患

心疾患とは、心臓の病気の総称です。


三大疾病に対する保険では一般的に急性心筋梗塞のことを示します。


支給条件は「入院時」「長期間仕事が出来なかった時」「手術をうけた時」など、支払い事由が保険会社ごとに違うので加入前に比較しましょう。

脳血管疾患

脳血管疾患とは、脳の血管の詰まりなど脳にさまざまなトラブルが生じた状態のことです。


三大疾病に対する保険では一般的に脳卒中を示します。


こちらも心疾患同様、会社ごとに支給条件が違うので注意しましょう。 

②入院給付金

入院給付金とは、急な病気やケガなどで入院した際に支払われるお金のことです

 一般的には、1日あたり5,000円、10,000円などのように1日単位で補助金額が設定されています。

入院保険を選ぶ時は
  • 入院何日目の分からお金が払われるか
  • 支給対象となる入院日数に上限はあるか
  • 支払われる保険金の額
などに注目して選ぶと良いでしょう。

とくに、医療が発達した現在では、日帰りで行える手術等も増えているため、日帰り入院にも対応している保険プランを選びたいところです。

その反面、厚生労働省「令和元年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」によれば、全病床の平均在院日数(入院日数)は27.3日とされているため、支払い限度日数が30日のものだと、退院が伸びた場合負担が増える可能性もあります。

もらえるお金は、多いに越したことはありませんが、保障が増えれば、納める保険料が増えるのも当然です。

冒頭でお伝えした、差額ベッド代(1日平均6,188円)に加え、一般的な入院食(1食460円×3)などの費用を考慮しつつ、家計に合ったプランを選択しましょう。 

③手術給付金

手術給付金とは、急な病気やケガなどを理由に手術を受け際に給付されるお金のことです。

対象となる手術の内容は大きく分けると
  • 健康保険証の適用範囲内の約1,000種類の手術を対象としたもの
  • 保険会社が決めた89種or88種類の手術項目を対象としたもの
の2種類があります。

保険会社が取り決めた89種類とは、分類が大まかなだけで実際には何百種類以上もの手術が適用するとされています。

大抵の手術はこちらでもまかなえるようになっており、中には健康保険証の適用範囲外の手術にも対応していたりとメリットもあるので一概に数だけでは保険の良し悪しを判断することはできません。

適用する手術の数だけにこだわらず、保険料や他のサービス内容も考慮して考えましょう。

また一般的に、下記に対しては助成対象外なので覚えておきましょう。
  • 美容など個人的趣向のための手術
  • 健康診断
  • 自然分娩 など
病気の予防美容など個人の希望による手術は基本的に対象外です。

給付対象となる手術も、法改定などの影響で変更することがあるので「前に調べた時と内容が違う!」などとトラブルを起こさないためにも、適用範囲は加入前にきちんと確認し直すようにしましょう。 

④先進医療給付金

先進医療給付金とは、急な病気や、思いがけず降りかかってきたケガに対して「先進医療」による治療を受けた場合に支払われる給付金のことです。 

「先進医療」は、厚生労働大臣が認めた高度な医療技術(先端技術)を指し

厚生労働省「先進医療の各技術の概要」によれば
  • 陽子線治療(がんの治療に使う技術
  • 経皮的乳がんラジオ波焼灼療法(早期乳がんの治療に使う技術) など
がこれに当たります。 

先進医療の内容は、医療が発達すると変更される恐れがあります。

支給対象だと思っていたものが、支給対象ではなくなってしまった…ということも十分起こりうることなので、覚えておきましょう。 

まとめ:原則差額ベッド代は医療費控除の対象にならない!

この記事では、差額ベッド代が医療費控除の対象になるかを中心に、入退院時にかかる費用や保険金などについてお話しました。


ポイントは以下の3つです。

  • 差額ベッド代は医療費控除や高額療養費制度の対象外である
  • 急な入院に備え「三大疾病保険」「入院保険」「手術保険」「先進医療給付保険」などに入っておくと安心
  • かかってしまった医療費は少しでも還付されるよう、家族の中で「所得の高い人」確定申告をする

生涯、入院や手術にどのくらいお金がかかるかは誰にも予想できません。


万が一病気になった時、ただでさえ辛いのに、お金のことで悩むのは悲しいことです。


元気なうちに出来ることを…。


医療費が高額になってしまった時の対処法や予防策を知り、少しでもあなたの負担を減らせるようにしましょう…! 


マネーキャリアでは他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、是非ご覧ください。