この記事の目次
- 医療費控除から補てん金額を引かないとばれる?ばれない?
- 医療費控除は自己申告なのでばれない可能性もあるが違法!
- 医療費控除の申請時点では医療費の細かい用途はばれない
- 不正申告がばれたら延滞税と重加算税の支払いが必要!
- 医療費控除の不正に自分で気づいた場合の訂正方法について解説!
- 医療費控除の提出期限内の訂正について
- 医療費控除の提出期限後の訂正について
- 医療費控除の仕組み・計算方法について解説!
- 医療費控除の申請は確定申告による自己申告で行う
- 医療費控除は年収200万円を境目に計算方法が異なる!
- 実際の還付金は所得税率によって決まる!
- 医療費控除の申請に必要な書類をチェック
- 医療費通知があれば明細書には医療費の総額を書くだけでOK
- 申請には医療費の明細書の提出が必要!
- 領収書は持参しなくていいが5年間は保存しておく
- 医療費控除に含まれるものについて紹介!
- 補てん金額に含まれるものについて紹介!
- 申請の翌年に保険金をもらう場合の医療費控除について解説!
- 保険金の金額が確定している場合
- 保険金の金額が未確定である場合
- 年度をまたいで保険金をもらう場合の医療費控除はどうなる?
- 医療費の支払い者と保険金の受け取り人が違う場合どうなる?
- セルフメディケーション税制を利用するのもあり
- 通常の医療費控除が受けられない場合に利用するのがいい!
- 対象となるのは特定一般用医薬品などの購入費
- 【参考】予防接種の料金は医療費控除に含まれる?
- 【まとめ】医療費控除の不正申告は自分でしっかり確認する!
医療費控除から補てん金額を引かないとばれる?ばれない?

医療費控除を申請する際に、「レシートや領収書がたくさんあるけど、本当に全てチェックされるの?」と思う方も多いのではないかと思います。
さらに、「レシートの中に医療費以外の領収書や、偽造した領収書を混ぜてもばれないのでは?」と考えたことがある方は多いと思います。
そこで本記事では、
- ばれない可能性もあるが、虚偽申告は違法
- 申告内容が誤っていることに気づいた時の対応方法
- 医療費控除の仕組みや計算方法
- 医療費控除に該当する例の紹介
- 補てん金額に該当する例の紹介
- 保険金の受け取りが年をまたぐ場合の対応方法
- 医療費の支払い人と保険金の受取人が異なる場合の対応方法
- セルフメディケーション制度について
- 【参考】予防接種の医療費控除について
医療費控除は自己申告なのでばれない可能性もあるが違法!

税務署では、医療費控除を申請したすべての人の領収書を、1枚ずつ隅から隅まで調べるということはありません。
理由は簡単で、そんなことをしていたらあまりにも膨大な時間がかかるからです。
実際には、申請者の中から一部を抽出し、抽出した人の申請内容を細かくチェックしています。
従って、自分が虚偽申告をしていても税務署が抽出した人の中に入らなければばれないですし、入ればばれます。
虚偽申告は「違法」なので、ばれたら当然ペナルティもあります。
医療費控除の申告に関して以下で解説していきます。
医療費控除の申請時点では医療費の細かい用途はばれない
医療費控除を直接あるいはインターネットから申請する場合のどちらにおいても、その場で詳しく領収書の内容を隅から隅まで調べられることはありません。
ただし、その場の申請が通ったからと言って、安心するのはまだ早いです。
税務署は過去5年間にさかのぼって税務調査をする権限があるためです。
従って、医療費控除の申請をした後も必ず5年間は領収書を保管しておきましょう。
過去5年以内の領収書の提出を再度求められた際に、紛失または破棄していると、医療費控除が認められなくなる可能性もあります。
不正申告がばれたら延滞税と重加算税の支払いが必要!
先程も説明したように、不正申告がばれた場合には、ペナルティが課せられます。
そのペナルティが、「延滞税」と「重加算税」です。
それぞれの具体的内容は以下のとおりです。
- 延滞税
法律で定められた期限を過ぎて支払った税金に対し、期限から遅れた分だけ支払わなければならない税金です。
延滞税の税率は、定められた期限の翌日から納付する日までの日数に応じて決まります。
・期限の翌日から2ヶ月間:原則7.3%
・上記の翌日以降:原則14.6%
延滞税は、計算方法が少し複雑なため、詳細は「延滞税」の計算を参照して下さい。 - 重加算税
税務調査において不正が発覚した場合に、追加で支払う税金の35または40%を上乗せしなければならない税金です。
どちらの利率になるかは、簡潔に説明すると以下のとおりです。
・確定申告を期限内にしている ⇛ 35%
・確定申告を期限内にしていない ⇛ 40%
- 過少申告加算税 = 追加の税金 × 原則10%
ただし、
・税務調査の通知が来る前に修正申告をした場合:0%(過少申告税の免除)
・税務調査の通知が来た後に修正申告をした場合:5%
・税務調査が始まった後に修正申告した場合:10%
医療費控除の不正に自分で気づいた場合の訂正方法について解説!

医療費控除の申請に不備があることに気づいた場合は、改めて申告書等を作成し直し、再度提出する必要があります。
ただし、気づいたタイミングによって再申告する方法が異なります。
- 確定申告の期限内に気づいた場合 ⇛ 訂正申告
確定申告の期限を過ぎた後に気づいた場合で、 - 税金を多く納めすぎていた場合 ⇛ 更正の請求
- 税金を少なく納めていた場合 ⇛ 修正申告
医療費控除の提出期限内の訂正について
確定申告の期限内なので、「訂正申告」をする必要があります。
訂正申告は、通常の確定申告同様の手続きで修正し、修正したものを再度提出すればOKです。
注意事項は以下のとおりです。
- 提出済の書類は、コピーをとっておく
- 表題の余白部分に、赤字で「訂正申告」と記載する
- 先に還付申告をした場合、還付申告の処理が完了しているか確認する
医療費控除の提出期限後の訂正について
税金を多く納めすぎていた場合は「更正の請求」、 税金を少なく納めていた場合は「修正申告」と、必要な手続きが異なります。
また、提出期限後ならいつでも申請できるわけではありません。
申告期限から5年以内の医療費でないと申請できないので気をつけて下さい。
1. 更正の請求
更正の請求では、新たに「所得税及び復興特別所得税の更正の請求書」を作成し提出しなければなりません。
記入する内容自体は、確定申告書と大きく変わらないため、確定申告に関する手引き等を参考に記入しましょう。
2. 修正申告
医療費控除の仕組み・計算方法について解説!
ここまで、医療費控除を申告する上で、多く申告した場合や少なく申告した場合における対応方法やペナルティについて解説してきました。
上記内容を知った上で、「もう1度医療費控除についておさらいしたい」と思われる方も多いのではないでしょうか?
そこで以下では、医療費控除の仕組みや計算方法について解説します。
医療費控除の申請は確定申告による自己申告で行う

医療費控除は、会社が年末調整してくれないため、自分で確定申告を行う必要があります。
医療費控除の確定申告は、国税電子申告・納税システム「e-Tax」から、インターネット上でいつでも申告可能です。
詳細な申告方法は、ご利用ガイドより確認することができます。
医療費控除は年収200万円を境目に計算方法が異なる!
医療費控除の対象条件は、年収によって以下のように決まります。
- 総所得金額が200万円以上の場合
家計の医療費の合計が10万円を超えていれば、医療費控除の対象となる
【計算式】
控除対象金額 = 医療費合計 ー 保険金などの補てん金額 ー 基礎控除10万円 - 総所得金額が200万円以下の場合
家計の医療費の合計が10万円を超えていなくても、所得の5%以上であれば医療費控除の対象となる
【計算式】
控除対象金額 = 医療費合計 ー 保険金などの補てん金額 ー 年間所得 × 0.05
家計の医療費とは、本人だけでなく本人と生計を共にする配偶者やその他の親族に支払った医療費の合計を指します。
そのため、家族全員分の医療費を合計すると10万円を超えていた、というケースも少なくありません。
以下では、それぞれのケースで還付金額がどのように変わるか解説していきます。
実際の還付金は所得税率によって決まる!
控除対象金額に所得税率と住民税率を掛け合わせ、それぞれを合計した金額が還付金額となります。
住民税率は所得によらず一律10%ですが、所得税率は年収によって変わります。
課税所得金額が350万円のケースで考えてみましょう。
年間の医療費が50万円、保険金などの補てんが10万円であった場合、控除対象金額は、
医療費50万円 ー 保険金10万円 ー 基礎控除10万円 = 30万円
と算出されます。課税所得が350万円の場合、所得税率は20%です。
詳しくは所得税の速算表を参照して下さい。)
すなわち還付金額は、
所得税:30万円 × 20% = 6万円
住民税:30万円 × 10% = 3万円
還付金額:2万円 + 1万円 = 9万円
と計算されます。
総所得が200万円以下の場合においても、同様の考え方で算出することができます(計算式が異なる点に注意)。
また、所得税率が高くなればなるほど還付金額も大きくなります。
従って、収入を得ている人が2人以上いる場合は、基本的には収入が高い人が確定申告した方がより節税効果を得ることができます。
医療費控除の申請に必要な書類をチェック
医療費控除は、自分で申告しなければならない点について解説しました。
必要な書類についてみていきましょう。
医療費通知があれば明細書には医療費の総額を書くだけでOK

医療費の領収書から入力する場合は、支払先の病院や薬局ごとに領収書を整理し、それから画面上に入力しなければなりません。
一方で、医療費通知があれば、通知に記載されている医療費総額を記入すればOKです。
従って、領収書の枚数が多い方は医療費通知を利用した申請方法をオススメします。
申請には医療費の明細書の提出が必要!
医療費控除の申請には、必ず「明細書」が必要になります。
明細書の作成にはいくつかありますが、代表的な方法は以下の2つです。
- 医療費の領収書から入力して、明細書を作成する
- 医療費通知(「医療費のお知らせ」など)を利用して明細書を作成する
領収書は持参しなくていいが5年間は保存しておく
平性29年度の税制改正に伴い、提出書類の簡略化が図られたことで、領収書を添付する必要が無くなりました。
ただし、税務署は過去5年間にさかのぼって税務調査をする権限があるため、医療費控除の申請をした後も必ず5年間は領収書を保管しておきましょう。
医療費控除に含まれるものについて紹介!

「治療」を目的とした医療行為に支払った費用しか、医療費控除の対象には認められません。
例えば、予防接種など「病気の予防」を目的とした医療費は医療費控除の対象にならないので注意して下さい。
それぞれの具体例を以下に紹介します。
【医療費控除の対象になるもの】
- 市販の風邪薬代
- 病院での診療費・治療費・入院費
- 虫歯の治療、治療目的の歯科矯正
- 治療目的のマッサージ
- 妊娠や出産に関わる定期検査代、出産費用
- 不妊治療費
- 通院にかかる電車やバスなどの公共交通機関の費用
(付添人の交通費も計上可)
- 予防接種費用
- 美容目的の歯科矯正費用
- 健康増進目的のビタミン剤
- 疲労回復目的のマッサージ費用
- 自家用車で通院した際のガソリン代や駐車料金
- 健康診断や人間ドック費用
補てん金額に含まれるものについて紹介!

補てん金額に含まれる内容は以下のとおりです。
- 生命保険契約や損害保険契約に基づき医療費の補填を目的として支払を受ける医療保険金や入院給付金、傷害費用保険金など
- 社会保険や共済に関する法律やその他の法令の規定に基づき、医療費の支払の事由を給付原因として支給を受ける給付金
例えば、健康保険法の規定により支給を受ける療養費や出産育児一時金、家族出産育児一時金、家族療養費、高額療養費、高額介護合算療養費など - 医療費の補填を目的として支払を受ける損害賠償金
- 任意の互助組織から医療費の補填を目的として支払を受ける給付金
申請の翌年に保険金をもらう場合の医療費控除について解説!

上記では、医療費を支払った年と同じ年に保険金を受け取った場合について解説しました。
しかし、保険金の受け取りが翌年に繰り越してしまうケースも当然考えられます。
保険金の金額が確定している場合と未確定な場合におけるそれぞれの対応について解説します。
保険金の金額が確定している場合
受け取る金額が確定申告時点で確定している場合、受け取りが完了していなくても補てん金額を医療費から差し引いて確定申告します。
受け取り金額さえ変わらなければ、受け取り時期についても細かく考える必要はありません(いつ受け取っても確定申告上問題なし)。
保険金の金額が未確定である場合
受け取る金額が確定申告時点で未確定な場合でも、その時点での見積額を医療費から差し引いて書くて申告します。
確定申告後、補てん金額の確定額と見積額が異なった場合は、修正申告または更正の請求の手続きにより訂正すればOKです。
年度をまたいで保険金をもらう場合の医療費控除はどうなる?
年度をまたいで保険金をもらう場合も、上記で説明した「保険金の金額が未確定である場合」と同様の対応で大丈夫です。
期限までに確定申告ができるよう、必ず見積額はもらっておきましょう。
医療費の支払い者と保険金の受け取り人が違う場合どうなる?
妻の出産費用を夫が支払い、その後妻が勤務する会社の互助会(冠婚葬祭のための積立て)から出産費の補てんとして給付金を受け取った場合を考えてみましょう。
この場合、夫の支払った医療費から、妻が支払いを受け取る給付金を補てん金として差し引く必要があります。
理由は以下のとおりです。
- 補てんを目的として受け取る給付金は、支払った医療費から差し引く必要があるため
- 保険金の支払いを受ける人が医療費を支払った人でない場合も、医療費の補てんが目的である限り、「医療費を補てんする保険金等」に該当するため
セルフメディケーション税制を利用するのもあり

セルフメディケーション税制とは、国民の健康の保持・増進や病気の予防への取り組みを推奨することを目的とした制度です。
自分や配偶者などのために年間1.2万円以上の対象薬品を購入した場合に受けられます。
ただし、医療費控除を受けている方は申請することができません。
加えて、健康の保持・増進などの実現のために、以下の「一定の取組み」を行っている個人が対象となります。
【一定の取組み】
- 人間ドック、各種検診などの「健康診査」
- インフルエンザなどの「予防接種」
- 勤務先で実施する「定期健康診断」
- メタボ検診などの「特定健康診査」
- 「がん検診」
制度の詳細について、以下で解説していきます。
通常の医療費控除が受けられない場合に利用するのがいい!
家計全体で支払った医療費の合計が、10万円を超えないけれど1.2万円以上の市販医薬品を購入している、といった場合に利用すると良いでしょう。
還付金額においても、医療費控除と同様に計算できます。
また、セルフメディケーション税制においても、収入を得ている人が2人以上いる場合は、基本的には収入が高い人が確定申告した方がより節税効果を得ることができます。
対象となるのは特定一般用医薬品などの購入費
対象となる医薬品は、「OTC医薬品」と呼ばれる薬局やドラッグストアで購入できる医薬品のことです。
全てのOTC医薬品が対象になるわけではなく、2,456品目が対象です(2021年6月6日時点)。
当然、2,456品目全てを覚えられるわけないですよね。
ですがご安心下さい。
セルフメディケーション税制の対象医薬品は、購入したレシートに控除対象であることが記載されています。
また、一部の対象医薬品には、パッケージにセルフメディケーション税制対象であることを示す識別マークが掲載されています。
ぜひ参考にしてみて下さい。
【参考】予防接種の料金は医療費控除に含まれる?
残念ながら、予防接種は医療費控除の対象にはなりません。
しかし、予防接種を受けていればセルフメディケーション税制を受けられる条件を満たします。
従って、予防接種を受けOTC医薬品を年間1.2万円以上購入していればセルフメディケーション税制の控除は受けれられます。
ただし、医療費控除を受ける場合はセルフメディケーション税制は適用されません。
【まとめ】医療費控除の不正申告は自分でしっかり確認する!
医療費控除全般に関することや保険金などを受け取る場合などについて詳しく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
本記事のポイントは、
- 不正申告がばれると「延滞税」、「過少申告加算税」または「重加算税」が課せられる
- 医療費控除の訂正が、確定申告の期限の前か後によって訂正方法が異なる
- 医療費控除は、総所得200万円あるかどうかで計算式が変わる
- 医療費控除申請は、収入を得ている人が2人以上の場合は、基本的に収入が高い人が申告したほうが節税効果を得られる
- 医療費控除は、「治療を目的とした医療行為」に支払われた費用が対象である
- 受け取る保険金が確定申告時点で未確定な場合は、一旦見積額で申告し、確定後の金額と異なれば手続きにより申告内容を訂正する
- 医療費支払い者と保険金の受取人が異なっても、医療費控除はまとめて計算する
- 医療費控除を受けられない場合は、セルフメディケーション税制を利用できるかどうか検討する


