医療費が年間10万円以下でも医療費控除で住民税は安くなる?

医療費が年間10万円以下でも医療費控除で住民税は安くなる?
医療費が年間10万円以下でも医療費控除は受けられる?その場合、住民税はどのくらい安くなる?そんな疑問を抱える方のために、医療費控除の上限や確定申告のやり方について解説します!医療費控除で所得税や住民税がいくら戻るのかシミュレーションも!
監修者「谷川 昌平」

監修者谷川 昌平ファイナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!

医療費が年間10万円以下でも医療費控除で住民税は安くなる?


「医療費控除って、支払った医療費の金額に関わらず適用されるの?」と疑問を抱く方は多いと思います。


また、「医療費控除を受けると住民税が安くなるって聞いたけど、どういうこと?」と思っている方も多いのではないでしょうか。


そこで本記事では、


  • 医療費控除が適用される条件について

  • 医療費控除を受けた際に得する金額について

  • 医療費控除の申請方法について

  • 【参考】セルフメディケーション税制について

詳しく解説します。

本記事を読むことで、医療費控除で住民税が安くなるカラクリがわかるようになります。

ぜひ最後まで読んでみて下さい。

医療費が10万円以下だと意味ない?10万円以下でも医療費控除が適用される場合とは


医療費控除を受けることで、「所得税」と「住民税」が控除されるため、節税につながります


医療費控除を受けるための条件は以下の4つです。


  1. 納税者が、自分や生計を共にする家族のために支払った医療費であること

  2. その年の1月1日〜12月31日の間に支払った医療費であること
    (未払いの医療費は、実際に支払った年が対象になる)

  3. 支払った医療費の合計が10万円*以上であること
    *総所得金額が200万円未満な場合、総所得金額の5%の金額

  4. 治療」を目的として支払った医療費であること


以下で、詳しい計算方法について解説していきます。

医療費控除の計算方法

年収に応じた医療費控除の計算式は以下のとおりです。


  • 総所得金額が200万円以上
    控除対象金額 = 医療費の合計金額 ー 保険金などの補てん金額 ー 基礎控除10万円

  • 総所得金額が200万円未満
    控除対象金額 = 医療費の合計金額 ー 保険金などの補てん金額 ー 年間所得 × 0.05

保険金などの補てん額とは、生命保険金契約や損が保険契約に基づく医療保険金や入院給付金などの「医療費の補てんを目的として支払いを受けるお金」です。

上記以外にも該当する保険金はたくさんあります。


医療費控除の計算式において最も重要なポイントは、「総所得が200万円未満の場合は、支払った医療費が10万円以下でも医療費控除を受けられる可能性があること」です。

従って、支払った医療費が10万円以下でも、総所得が200万円未満の場合は対象となるか一度計算してみましょう。

医療費控除の対象となる出費・ならない出費

上記でも説明したように、医療控除は治療目的の医療費にしか適用されません。


従って、予防接種などの「病気の予防」を目的とした医療費は対象外なので注意しましょう。


以下では、医療費控除の対象になるものとならないものについて具体例を紹介します。


【医療費控除の対象】

  • 風邪を引いた際の風邪薬などの購入費

  • 病院への入院費や、治療費

  • 診療や治療を受けるために必要な補聴器、眼鏡、松葉杖などの購入費

  • 妊娠や出産に関わる定期検査代や出産費用

  • 不妊治療費

  • 治療目的のマッサージ費用

  • 通院にかかる公共交通機関(電車やバス)の費用
    (付添人の交通費も計上可)

【医療費控除の対象外】
  • 病気予防のためのビタミン剤の購入費

  • 健康増進のための医薬品の購入費

  • リラックス目的のマッサージ費用

  • 予防接種費用

  • 健康診断や人間ドックの費用

  • 美容目的の歯科矯正費用

  • 自家用車で誘引した際のガソリン代や駐車料金

代表的な例を上記に挙げましたが、中には医療費控除の対象になるかどうか判断しにくいケースもあると思います。

支払った費用が「治療目的」であるかどうかを軸に考え、正しく申請しましょう。

医療費控除の上限は?

所得控除できる金額の上限は、200万円と定められています。


上記金額は、「医療費の合計金額」でもなければ、「控除対象金額」でもありません。


最終的に所得控除される金額とは、控除対象金額に「所得税率」と「住民税率」をそれぞれ掛けた数字を足し合わせた金額を指します。


具体的な計算方法や、どれくらいおトクになるのか以下で解説していきます。


医療費控除は住民税にも適用される!どれくらい安くなるかシミュレーション


医療費控除がどれくらい安くなるのか、場合分けしてシミュレーションしてみましょう。
(わかりやすく計算しているため、厳密には異なります。)


以下の2つのケースで考えてみたいと思います。

【ケース①】

  • 課税所得金額:600万円(総所得200万円以上

  • 医療費金額合計:50万円

  • 保険金などの補てん金額:10万円

【ケース②】
  • 課税所得金額:120万円(総所得200万円以下

  • 医療費金額合計:8万円

  • 保険金などの補填金額:0円


所得税、住民税の計算方法は以下のとおりです。


【医療費控除を受けない場合

  • 所得税
    所得税 = 課税所得金額 × 所得税率 ー 控除額

  • 住民税
    住民税 = 課税所得金額 × 10%(住民税率)

【医療費控除を受ける場合
  • 所得税の還付金額
    所得税の還付金額 = 控除対象金額 × 所得税率

  • 住民税の還付金額
    住民税の還付金額 = 控除対象金額 × 10%(住民税率)

医療費控除を受けない場合の所得税・住民税

医療費控除を受けない場合は、以下のとおりです。


【ケース①】

課税所得金額600万円の所得税率は20%、控除額は42.75万円であるため、

所得税 = 600万円 × 0.2 ー 42.75万円 = 77.25万円

住民税は、

住民税 = 600万円 × 0.1 = 60万円


従って、医療費控除を受けない場合、所得税と住民税の合計は137.25万円と計算できます。


【ケース②】

課税所得金額が195万円以下の場合は、所得税率0%、控除額は0円であるため、

所得税 = 120万円 × 0.05 ー 0 = 6万円

住民税は、

住民税 = 120万円 × 0.1 = 12万円

従って、医療費控除を受けない場合、所得税と住民税の合計は18万円と計算できます。  

医療費控除を受ける場合の所得税・住民税

医療費控除を受ける場合は、以下のとおりです。


【ケース①】

医療費金額合計50万円、保険金などの補てん金額が30万円なので控除対象金額は、

控除対象金額 = 50万円 ー 10万円 ー 10万円 = 30万円 

課税所得金額が600万円の場合、所得税率は20%なので、所得税の還付金額は

所得税の還付金額 = 30万円 × 0.2  = 6万円

住民税の還付金額は、

住民税の還付金額 = 30万円 × 0.1 = 3万円

従って、医療費控除受ける場合、還付金額合計は、9万円と計算できます。


【ケース②】

医療費金額合計8万円、保険金などの補てん金額が0円なので控除対象金額は、

控除対象金額 = 8万円 ー 0円 ー 120万円 × 0.05 = 2万円 

課税所得金額が120万円の場合、所得税率は5%なので、所得税の還付金額は

所得税の還付金額 = 2万円 × 0.05 = 0.1万円

住民税の還付金額は、

住民税の還付金額 = 2万円 × 0.1 = 0.2万円

従って、医療費控除受ける場合、還付金額合計は、0.3万円と計算できます。  

以上をまとめると、

  1. ケース①では、医療費控除を受けると、所得税及び住民税が合計9万円安くなる
    (所得税+住民税:137.25万円 ⇛ 128.25万円

  2. ケース②では、医療費控除を受けると、所得税及び住民税が合計0.3万円安くなる
    (所得税+住民税:18万円 ⇛ 17.7万円

  3. 収入を得ている人が2人以上いる場合は、基本的に年収が高い方が医療費控除を申請したほうが節税効果が高い

上記の2つのケースはあくまで例なので、ご自身の状況に当てはめてぜひ計算してみて下さい。

医療費が年間10万円以下の場合は?

「年収200万円以上だけれども、支払った医療費は10万円以下」という方もいらっしゃると思います。


そのような場合は、セルフメディケーション税制の利用がオススメです。


自分や自分と家計を共にする配偶者などのために、年間1.2万円以上の対象医薬品を購入していれば利用できます


ただし、セルフメディケーション税制を受けるためにもいくつか条件を満たしていることが必要です。


セルフメディケーション税制について、詳細は後ほど解説します。

医療費控除で住民税を安くするには確定申告が必要


医療費控除は、会社が年末調整してくれないため、自分で確定申告をする必要があります


医療費控除の手続きの流れは次のとおりです。


  1. 必要な書類を用意する

  2. 書類に必要事項を記入する

  3. 申告書を提出する(e-tax、郵送、税務署へ直接提出)

以下で詳しく解説していきます。

医療費控除の申請を行う期間

確定申告の期間は、所得が生じた年の、翌年2月16日〜3月15日の1ヶ月間です。


2021年1月1日〜12月31日の1年間で支払った医療費の医療費控除を申請するのであれば、2022年の2月16日〜3月15日に申請します。


一方で、申請した医療費控除を訂正したい場合はどうしたらよいでしょうか?


例えば、申請するのを忘れていた医療費が一部あったなどの場合が考えられます。


そのような場合、医療費を支払った年の翌年1月1日から5年以内であれば、医療費控除を申請可能です。


従って、何かのタイミングで申請していない過去の医療費の領収書が出てきたら、諦める前にまずは日付を確認してみましょう。

医療費控除の申請に必要な書類

医療費控除の申請に必要な書類は以下のとおりです。


  • 医療費の支払いを証明する書類(領収書やレシートなど)

  • 医療費控除の明細書

  • 源泉徴収票

  • 確定申告書A

  • マイナンバーなどの本人確認書類

領収書やレシートは、平成29年度の税制改正に伴い、申請書類に添付する必要がなくなりました

しかし、税務署は過去5年間にわたって税務調査をする権限を有しているため、医療費控除の申請後5年間は必ず領収書を保管しておきましょう。

医療費控除の明細書、源泉徴収票、確定申告書Aは以下の方法で入手できます。

書類入手・作成方法
医療費控除の明細書

確定申告書A
国税庁HPからダウンロード
・国税庁HPの「確定申告書作成コーナー」で作成
源泉徴収票勤務先から入手

また、e-Taxによるインターネット上からも手続きできるので、興味がある方は調べてみて下さい。

医療費控除の申請書類の記載方法

医療費控除の明細書と確定申告書Aの記入方法について解説します。


医療費控除の明細書

「医療を受けた方の氏名」、「病院・薬局などの支払先名称」、「医療費区分」、「支払った医療費」、「保険で補填される金額」について、手元の領収書を参考に記入していきます。

また、記入の際は、領収書1枚毎ではなく、病院や薬局などの支払先毎に金額をまとめて記入するといくらか手間が省けるかもしれません。
(正式なルールとして認められています)

確定申告書A

「社会保険料控除」、「生命保険料控除」、「扶養控除」などに金額を記入し、合計金額を算出します。

「医療費控除」の「区分」は空欄のままでOKです。

【参考】セルフメディケーション税制とは


セルフメディケーション税制は、「医療費控除を利用できるほど医療費はかかっていないけれど、年間1.2万円以上の対象医薬品を購入している」という方にオススメな制度です。


利用条件は以下のとおりです。


  1. 医療費控除を受けていない

  2. 健康増進などを目的として、「一定の取り組み」を行っている

  3. 対象医薬品(OTC医薬品)を年間1.2万円以上購入している
    (自分や配偶者などに対しても含む)


「一定の取り組み」には、以下の内容が挙げられています。


【一定の取組み】

  • 人間ドック、各種検診などの「健康診査」

  •  インフルエンザなどの「予防接種」

  •  勤務先で実施する「定期健康診断」

  •  メタボ検診などの「特定健康診査」

  • 「がん検診」 


OTC医薬品とは、薬局やドラッグストアで購入できる医薬品のことで、2,456品目が対象となっています(2021年6月6日時点)。


セルフメディケーション税制の対象医薬品は、レシートに控除対象の旨が記載されていたり、パッケージに識別マークが掲載されたりしています。


ぜひ店頭で探してみて下さい。

まとめ:医療費が年間10万円以下でも医療費控除で住民税は安くなる?

医療費控除を申請するメリットや医療費控除の申請方法などについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


本記事のポイントは、


  • 支払った医療費が年間10万円以下だと、医療費控除が適用できない

  • 課税所得金額や控除対象額が大きいほど、医療費控除額も大きくなる

  • 医療費控除は、自分で確定申告しなければならない

  • 医療費控除が適用できない場合は、セルフメディケーション税制の利用を検討したほうが良い

です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。