医療費控除とは?医療費控除の仕組みや手続きをわかりやすく解説!

医療費控除とは?医療費控除の仕組みや手続きをわかりやすく解説!
監修者「谷川 昌平」

監修者谷川 昌平ファイナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!

医療費控除とは?仕組みや手続き方法をわかりやすく解説!

こんにちは。マネーキャリアライターの大江です。


先日、友人からこんな声を聞きました。


医療費控除とはなにか、わかりやすく知りたい。」


みなさんは医療費控除とはなにか、わかりやすく説明できますか?


申告はしたことがあっても、医療費控除とはどのような制度か詳細を知らない人もいるかと思います。


そこで今回の記事では、医療費控除とはどのような制度なのかもっとわかりやすく知りたい方向けに、

  1. 医療費控除とはなにか
  2. 控除額の計算
  3. 医療費控除の対象となるもの
  4. 申告方法
について解説していきます。

みなさんが確定申告をする際の手助けになれれば幸いです。

医療費控除の役割は2つ!

医療費控除とは、医療費を多く払った場合にその年の所得税が軽減される制度のことです。


多額の医療費を納めている家庭に対し、経済的負担を軽減する目的で存在します。


医療費控除とは所得控除の一つであり、わかりやすく言うと医療費の負担がかかった分所得税を少なくしましょうという制度になります。


申告をすることにより課税所得が軽減されるので、結果として払う税金が少なくなる仕組みです。

 

医療費控除は大きく分けて2つの役割を持ちます。

  1. 税負担の公平性を保つ
  2. 医療を国民に届ける
次に、上記についてそれぞれ解説していきます。


①税負担の公平性を保つ


医療費控除などの所得控除が存在する理由として、根底に「税の大原則は「公平性」」という言葉があります。


憲法では、「全ての国民は法のもとに平等である」とあり、これは納税に関しても言えることです。


憲法にある納税の義務とは、「実質的に平等な税負担をする義務」ということでもあります。


すなわち、経済的な能力に応じて税を負担する、「応能負担の原則」が税の大原則となります。


これにより税負担の公平性を保つため、所得が多い人には税率を高く、所得が少ない人の税率は低く抑えるようになっています。(「累進課税」という方式です


所得が多い人から所得の低い人へ税金が分配される仕組みとなっており、医療費控除とはこの税負担の公平性を保つために存在します。

②医療を国民に届ける


日本の医療保険制度は、全ての国民が何かしらの公的医療保険に加入する国民皆保険制度を用いています。


国民皆保険制度とは、公的医療保険加入者の収める保険料で国民の医療費を賄うというシステムです。


この公的医療保険は控除の対象となり、年末調整もしくは確定申告にて所得控除の申告をすることができます。


年間10万円を越す医療費を支払った場合に医療費控除の申告ができますが、申告によりもらった還付金は所得控除がされた結果です。


医療費控除とは、申告により国民一人一人の医療費負担が軽減されることで、安い医療費で高度な医療を国民に届ける役割をしています。

医療費がいくらなら医療費控除を申告できる?控除額はどのくらい?

では次に、医療費控除とは医療費がいくらなら申告できるのか、医療費控除額の導き方についてわかりやすく解説していきます。

こちらではわかりやすく医療費控除額の計算例を載せているので、ぜひ参考にしてみてください。

①年間の医療費が10万円以上なら申告できる!

医療費控除とは、申告する年の1月1日〜12月31日までにかかった医療費の総額が10万円以上かかった場合に申告ができます。


かかった医療費は自分一人分だけではなく、「生計を一とする人」が対象となります。


例えば、配偶者や子供、親を養っているのであればその親にかかった医療費も合算することができます。


わかりやすく言うと、医療費控除とは生活するお金を共有している家族が対象となります。


ただここで注意して欲しいのが、払った医療費の総額(控除対象となる医療費)についてです。


控除対象となる医療費は、

  • 健康保険から支給された給付金
  • 生命保険会社などからの保険金
などを除く、自己負担額のみに限られます。

医療費控除の申告をする際は、給付金・保険金などの金額を除いた医療費の合計金額から計算しましょう。

②控除額の計算方法を紹介!

医療費控除額の計算式は、

  • (医療費の合計ー(給付金や保険金))ー10万円=医療費控除額
これは年間合計所得が200万円以上の世帯に適応される計算式になります。

年間合計所得が200万円以下の場合は次の計算式となります。
  • (医療費の合計ー(給付金や保険金))ー(総所得×5%)=医療費控除額
総所得とは、給与所得者の場合年収から給与所得控除を引いたもの、個人事業主の場合は年商から経費などを差し引いた金額となります。

次に会社員の一例として計算例を紹介します。
  • 年収500万円の会社員の場合
  • 年間医療費合計18万、給付金や保険金の合計3万、課税所得258万
年収200万円以上の計算式に当てはめると、(180,000ー30,000)ー100,000=50,000

となり、医療費控除額は50,000円になります。

③医療費控除額の限度額は200万円

先ほどの計算式で求められた医療費控除額には、200万円という限度額が存在します。


例えば、年に何回か大きな手術を受け入退院を繰り返したりすると、控除額が200万円を超える場合があります。


ご自身の身体のことなので、手術を延期したりするのは難しいかと思いますが、一年間に詰め込むよりも年をまたいだ方が金銭面で損をしない場合があります。


多大な医療費がかかることが予測できる場合には、医師と相談しながら方針を決めるもの一つの手です。

医療費控除の対象をわかりやすく解説!

医療費と言っても、すべてが医療費控除の対象となる医療費かというとそうではありません。


受けた医療が何を目的としたものなのかで対象が違ってきます。


次に、医療費控除の対象となる、ならないものについてわかりやすく解説していきます。


①治療目的の医療費は医療費控除の対象

医療費控除の対象になる医療費は、「治療することを目的とする医療費」であり、その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない金額とされています。


国税庁によると、対象になる医療費は次の通りです。(わかりやすく簡単にまとめています)

  1. 医師または歯科医師による診療や治療
  2. 治療または療養に必要な医薬品の購入
  3. 病院、診療所、老人保健施設等へ入るため自分以外の人が手伝ってくれた費用
  4. あん摩マッサージ指圧師、はり師、柔道整復師による施術
  5. 保健師、看護師、准看護師または家政婦などによる療養上の世話
  6. 助産師による分娩介助
  7. 介護福祉士等による一定の喀痰吸引及び経管栄養投与
  8. 介護保険制度で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額
  9. 医師等による診療・治療・施術または分娩の介助を受けるために直接必要なもの
  10. 骨髄移植推進財団に支払う骨髄移植の斡旋に係る患者負担金
  11. 日本臓器ネットワークに支払う臓器移植の斡旋に係る患者負担金
  12. 特定保健指導のうち一定の基準に該当するものが支払う自己負担金
上記を見ると、医療費控除とはすべてが治療を目的とするためにかかった医療費が対象だとわかります。

また保険適応外の医療費に関しても、医療費控除の対象となるものがあります。

次にわかりやすく例も挙げておきますのでぜひご覧ください。


診療・治療・療養費など

  • 出産費用(妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用)
  • 不妊治療にかかった費用
  • 療養上必要な差額ベッド代
  • 不正咬合など治療が必要な歯列矯正
  • 視力回復のためのレーザー手術(レーシックなど)

交通費

  • 通院する際の交通費(主に公共交通機関)
  • 緊急性が高い場合や公共交通機関が使えない場合にかかるタクシー代や、それに伴う高速道路料金

医薬品・医療器具の購入

  • 義手、義足、松葉杖や補聴器の購入費用
  • 治療または療養に必要な医薬品の購入(栄養剤などは除く)

その他

  • 6ヶ月以上寝たきりの人のおむつ代(医師の証明書が必要)

②予防目的の医療費は医療費控除の対象

医療費控除とは、予防目的の医療費についても対象としています。(こちらについては、セルフメディケーション税制についての話でわかりやすく解説します)


対象外となるのは、「治療することが目的でない医療費」です。


先ほどお伝えした治療目的の医療費とは異なり、理由が自己都合であったり、病気を治すということに直結しない場合の医療費が対象外となります。


対象外のものについてわかりやすく具体例を挙げておきますのでぜひ参照してみてください。


診療系

  • 美容整形
  • 美容目的の歯列矯正
  • 疲れを取りたいなど治療に直接関係のない施術
  • 本人希望の差額ベッド代

交通費

  • 車のガソリン代
  • 駐車場代
  • 緊急性のないタクシー代
  • 出産時の里帰り費用

医薬品・医療器具の購入

  • 健康の維持・増進目的の栄養剤など(セルフメディケーション税制対象の品かどうかは厚生労働省ホームページをご覧ください)

その他

  • 未払いの医療費
  • お見舞金など

医療費控除の申告期間や必要書類をわかりやすく解説!

医療費控除額がわかったら、次はいざ申告です。


では、医療費控除とは確定申告とどう違うのでしょうか。


次に、申告期間や必要書類についてわかりやすく解説していきます。


①申告可能期間は5年間

申告可能期間は通常の確定申告とは異なります。


会社で年末調整をしており、自身で確定申告をすることが不要で医療費控除の申告のみをすることを還付申告と言い、還付申告は確定申告の期間とは関係なく対象の年から5年以内ならいつでも申告ができます。


前年度の申告を忘れてしまったとしても、過去5年間分を遡って申告ができるので焦らず整理していきましょう。

②提出書類は少ないが必要書類は多数ある

では提出書類と必要書類についてわかりやすく解説していきます。


提出書類

  • 確定申告書
  • 医療費控除の明細書

確定申告書は、税務署や国税庁のホームページからダウンロードできます。 

 国税庁の確定申告書WEBサイトでは確定申告書作成コーナーがあり、こちらで申告書を作成することができます。

 確定申告書作成コーナーでは、明細書作成を簡素化してくれる医療費集計フォームがあり、そこに金額を入力していくことで自動的に医療費控除額の計算をしてくれます。

 そこで出来上がった明細書と確定申告書の2点を印刷し、郵送するかオンラインで申告をする流れとなります。

必要書類
  • マイナンバーカード(もしくはマイナンバー通知カード)
  • 源泉徴収票
  • 領収書、または医療費通知(医療費のお知らせ)


医療費控除の明細書の作成にあたって用意するのが上記3点です。


この3点は提出の必要性はありませんが、申告をする際に必ず必要になってくるため用意しておきましょう。


確定申告書を見ればわかりますが、源泉徴収票に記載されている金額を申告書に記載する必要があります。


領収書は実際に払った金額を入力する時に必要となってきます。


しかし、領収書の金額を一枚一枚確認しながら入力するのはとても大変です。


そんな時医療費通知(医療費のお知らせ)があると、医療費がかかった人ごとの合計金額がわかりやすく載っているため明細書作成時に重宝します。


そのため医療費通知が届いたら捨てずに保管しておきましょう。


また、確定申告書にはマイナンバーの記載が必要なため、マイナンバーカード(もしくはマイナンバー通知カード)も手元に用意しておいてください。



医療費控除の申告方法をわかりやすく解説!

提出書類や必要書類を押さえたところで、次は医療費控除の申告方法についてわかりやすく解説していきます。


申告方法は主に2つ、郵送とオンライン申告です。

①必要書類を所轄税務署に郵送する

必要書類(確定申告書・医療費控除の明細書)を所轄の税務署へ郵送する場合について解説します。


郵送する場合は確定申告書作成コーナーで作成した申告書のデータを印刷し、所轄税務署宛に送るだけでOKです。


申告書を印刷すると、提出書類以外に「本人控え」と「提出物のチェックシート」が印刷されます。


チェックシートに沿って提出物の入れ忘れがないか確認しましょう。


チェックシートには所轄税務署の住所が書いてある欄があるので、宛名面に貼り付ければ住所を書く手間も省けます。


また決まりはありませんが、個人情報が載っている書類のため郵送時には簡易書類などの追跡可能な方法で送るのがベストです。


②e-Taxを用いてオンライン上で済ませる

e-Taxとは、国税庁が運営する国税に関わる申告、申請、納税に係るオンラインサービスを指します。


e-Taxシステムに登録し、そのまま確定申告書作成コーナーにて確定申告書を作成、オンラインで申告を済ませるという流れです。


e-Tax登録には「利用者識別番号」の取得が必要です。


この利用者識別番号の取得方法には何通りかあります。

  1. マイナンバーカードを使ってアカウント登録する
  2. 利用者識別番号を取得する
  3. マイナポータルの「もっとつながる」機能からe-taxを利用する
  4. ID・パスワード方式の届出を作成・送信する
  5. 税務署に行ってID・パスワード方式の届出を作成・送信する
  6. 書面で利用者識別番号を取得する
  7. 税理士に依頼し、利用者識別番号を取得する

取得方法はご覧の通りたくさんありますが、インターネット上で完結するのは1〜4番までです。(詳細はe-tax利用者識別番号の取得方法をご覧ください)

税務署で番号の取得をする際は、税務署の職員による厳格な本人確認のもと取得ができます。

この1〜7番のいずれかで番号を取得したら、e-Taxの利用が開始できます。

取得した利用者識別番号を入力し作成画面に入ると、順番に確定申告書の作成をしていくことができます。

パソコン(もしくはスマートフォンやタブレット)上なので、何度でも数字の入力・修正ができるため、間違えてもすぐ修正ができます。

また、申告者がわかりやすく作成していけるように、入力項目ごとに「?」マークが付いています。

こちらをクリックすると、知りたい項目ごとに説明文を見ることができるので、初めて申告する人でも簡単に申告書の作成ができるかと思います。

最後に申告内容の確認画面になるため、入力漏れなどがないかチェックした後、提出するをクリックして申告は終わりです。

e-Taxは24時間いつでも申告が可能なため、ネット環境があればすぐ申告できるのは利点かといえます。

市販薬をよく購入する人はセルフメディケーション税制を利用しよう

最後にセルフメディケーション税制についてわかりやすく解説します。


セルフメディケーション税制とは、特定の医薬品を購入した時に払った金額に対し所得控除が受けられる制度(医療費控除の特例)のことを指します。


健康維持や病気の予防のために、一定の取り組みをしている人が控除を受けることができる制度です。(詳細は厚生労働省のホームページを参照ください)


ちなみに、一定の取り組みというのは疾病予防のための定期健康診断や予防接種などをいいます。

健康を維持するために薬を購入する、予防目的での医療費がこちらに当たります。

通常の医療費控除とは違い、予防のための医薬品購入でも所得控除が受けられるのは嬉しいですよね。

そしてこの購入費用については、
  • 生計を一とする配偶者やその親族も含む
  • 対象の医薬品等の購入合計金額が12,000円を超える場合
と定められています。

金額には限度額があり、購入金額が合計88,000円までが控除の対象額となります。

年間の医療費の合計額が10万円を越さないと医療費控除の申告はできませんが、日頃からドラッグストアなどで薬を購入することが多い場合にはセルフメディケーション税制が利用できるかみてみましょう。

申告時には医療費控除の場合と同じく領収書が必要となってくるため、対象の医薬品購入時のレシートは必ず保管しておきましょう。

ちなみに、セルフメディケーション税制は期間限定の所得控除になります。

期限は令和8年(2026年)12月31日までです。

もし対象となりそうな場合は、申告期間に制限があることを頭の隅に置いておいてくださいね。

まとめ:医療費控除とはどのような制度なのか知っておこう

医療費控除とはどのような制度なのか、について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは、

  • 医療費控除の役割は2つ
  • 控除額の計算方法と限度額について
  • 申告期間は一年中、過去5年分まで遡ることができる
  • 控除の対象・非対象の医療費について
  • 郵送とe-taxでの申告方法
でした。

医療費控除とはどのような制度なのか、どのような役割をしているかを知ることで医療費控除の申告の必要性が見えてきます。

制度内容をより深く知ることで、無駄なく還付金を受け取るチャンスともなるのでぜひ参考にしてみてください。

マネーキャリアでは、他にも読んでおきたい医療費控除に関する記事が多数掲載されていますのでぜひご覧ください。