この記事の目次
- 医療費控除の確定申告をするべき会社員は?
- 会社員は医療費が10万円以上なら医療費控除の確定申告をすべき!
- 会社員が医療費控除の確定申告をする際の注意点は?
- ①交通費や市販薬の費用など医療費控除の対象はたくさんある
- ②医療費控除は通常の確定申告期間に行う必要はない
- ③医療費控除額は申告した医療費ではない
- ④生計を一にしているなら別居中の家族の分もまとめられる
- ⑤領収証は提出の必要はないが用意する必要はある
- 会社員は医療費控除の確定申告をスマホでもできる!
- ①申告手続きに必要な書類を用意する
- ②スマホで医療費控除の確定申告をする
- 会社員が医療費控除以外に確定申告するべき控除は?
- ①寄付金控除
- ②雑損控除
- まとめ:会社員は医療費控除の確定申告を活用しよう
医療費控除の確定申告をするべき会社員は?
こんにちは、マネーキャリア編集部・FP大野翠です。
先日、会社勤めの友人から、このような相談を受けました。
年末調整とは、会社員などの給与所得者が、会社からもらう給与に関して所得税額を計算することです。
これを勤務先が取りまとめて、給与所得者ごとに翌年の税額が決まります。
しかし、医療費控除は恒常的に発生する控除ではなく、年末調整だけでは手続きが完了しません。簡単に言うと「医療費控除が発生した場合には、自分で確定申告をする」というルールになっています。
本記事では、医療費控除がどういうものであるか、会社員が確定申告をする場合の方法などについて解説していきます。
会社員の医療費控除について不安がある人、難しそうで自分にもできるか心配な人は、是非本記事をお役立てください。
会社員は医療費が10万円以上なら医療費控除の確定申告をすべき!

で簡単に解説しましたが、会社員や公務員の給与所得に対しては、勤務先が取りまとめて「年末調整」を行ってくれるため、個別で確定申告をする必要がありません。
しかし年末調整で申告できる項目は、基本的に「おおむね毎年変わらず誰にでも発生するもの」だけが対象です。家族がいる場合の扶養控除や、生命保険料控除などがその対象の代表的なものです。
医療費控除とは、毎年発生するものではありません。
1月1日から12月31日までの1年間の医療費の総額が10万円を超えた場合に、対象となります。
対象となる控除額の計算方法は、以下の通りです。
- 1年間の医療費総額を計算する
- 医療費合計から、高額療養費の払い戻し金額や生命保険会社から受け取った給付金を差し引く
- 差し引いた後の金額から10万円を差し引いた金額が医療費控除の対象額
会社員が医療費控除の確定申告をする際の注意点は?

会社員や公務員などの給与所得者が、確定申告で医療費控除の手続きを行う際、確定申告書の一部に源泉徴収票の項目を転記する箇所があります。]
手元に源泉徴収票を用意して、申告書作成を行うようにしましょう。
①交通費や市販薬の費用など医療費控除の対象はたくさんある
医療費控除の対象は、直接の入院費・治療費だけでなく、入院や治療に関連するものであれば広く認められることは、あまり知られていません。
入院・治療に関連するもので、医療費控除の対象となる主な項目は以下の通りです。
- 通院のために公共交通機関を利用した場合の交通費(自家用車はNG)
- 治療のために購入した市販薬の購入費
- 通院のために必要な松葉杖の費用
- 虫歯・入れ歯、治療のための歯列矯正(美容のための矯正はNG)
交通費に関しても同様の考え方であり、体調不良で病院に行くために自家用車で行く交通費(ガソリン代や駐車場代など)は、医療費控除の対象外です。
逆に言うと、運転できるくらいの体調であれば、医療費に該当しない、とも考えることができます。
では、医療費控除の対象となる交通費とは、公共交通機関の代金です。電車代、バス代などが該当します。
公共交通機関では、乗降時に領収書が発行されません。その際でも、自宅から病院までに実際にかかった交通費を覚書でよいので記しておき、医療費控除の書類作成時に転記しましょう。
交通費で補足ですが、タクシー代に関しては、急を要してどうしても公共交通機関は利用できない場合のみ、医療費控除の対象となります。
少し細かい知識ですが、覚えておくと安心です。
②医療費控除は通常の確定申告期間に行う必要はない
医療費控除の還付申告は、毎年の確定申告期間中に行う必要はありません。
例年、2月中旬から3月中旬ごろに確定申告は行われますが、医療費控除だけが目的である場合は、特に確定申告期間にしなくてもよいという決まりになっています。
これは、あくまでも「医療費控除以外に確定申告をする用事がない」場合だけが対象です。
この場合は、年中いつでも医療費控除の還付申請のみ行うことができます。
また、前年1年分を翌年までに済ませる必要もありません。
5年までならさかのぼって還付申告ができます。
ただし、5年分をまとめて医療費控除の対象とすることはできず、1月1日から12月31日までの1年間という単位ごとに集計することになります。
つまり「5年分まとめて10万円超えた時点で還付申告をするをいうことはできない」という意味です。
③医療費控除額は申告した医療費ではない
医療費控除の計算の項目でも解説しましたが、医療費控除の対象となる金額は「1年間の総医療費から10万円を引いた額」です。
医療費控除の手続き自体、毎年するものではないので制度について覚えにくく、中には勘違いをしている人もいるかもしれません。
また、10万円を超えた医療費控除対処額が、還付される金額であると勘違いしている場合もあります。
還付額は、申請する人の所得に応じて所定の計算式にのっとり決定します。
正式には「医療費控除額に所得税率をかけたもの」が還付される金額になります。
④生計を一にしているなら別居中の家族の分もまとめられる
医療費控除とは、所得控除のひとつです。
医療費控除の申告をした場合、所得から控除されることで税金が安くなり、金額によっては還付も受けられるという仕組みです。
この「税金が安くなる」という観点で考えると、納税義務者の配偶者や子どもなど、そもそも本人だけで納税をしていない立場の人は、医療費控除をしないということになります。
この場合、医療費控除を受けられるのは納税義務者です。配偶者や子どもなど、同一生計である家族の分は、まとめて申告できるということです。
例えば、単身赴任の家族、県外の大学に進学している子ども、離れて暮らす親(義親も含む)も、生計維持関係にあれば、ひとまとめにして医療費控除の申告が可能です。
生計維持関係とは、納税義務者の給与や資産によって、生活費としている親族のことを指します。したがって、別居していても、納税義務者からの金銭的な仕送りで生活をしているのであれば、生計維持関係(生計を一にする)という状態にあたります。
⑤領収証は提出の必要はないが用意する必要はある
医療費控除の申告の際、領収書の提出義務はありません。
ただし、医療費控除の確定申告の際に必要な明細書を作成する際には、領収書に記載の項目を基に作成しますので、必ず保管が必要です。
明細書の作成後であっても、医療費控除を申告した際の領収書は5年間保管しなければならない決まりがあります。
したがって、明細書作成後であっても、医療費の領収書は5年は保管しましょう。
会社員は医療費控除の確定申告をスマホでもできる!

会社員、公務員などの給与所得者では、医療費控除の確定申告をスマートフォンでもできます。
スマートフォンに専用アプリをダウンロードし、所定の必要書類を手元に準備すれば、いつでもどもでも確定申告が可能です。
ここからは、スマートフォンで確定申告をする流れと、必要書類、注意点などについて解説していきます。
①申告手続きに必要な書類を用意する
確定申告の手続きに必要な書類は以下の通りです。
- 源泉徴収票
- マイナンバーカードまたはマイナンバー通知カード
- 医療費の領収書
- 医療費控除の明細書を作成しておくと便利
②スマホで医療費控除の確定申告をする
スマホで医療費控除をする流れについて解説していきます。
国税庁のYouTubeチャンネルでも「スマホ申告(医療費控除の入力方法)」として、わかりやすい動画を掲載しています。
こちらも併せて参考にしてください。
主な手続きの流れは以下の通りです。
- マイナポータルAPからマイナンバー方式またはIDパスワード方式でログイン
- 所得を入力。「給与」にチェックを入れる
- 源泉徴収票を基に指定の項目に入力していく
- 「控除の入力」で「医療費控除」を選ぶ
- 入力方法の選択画面で3パターンから選ぶ
- 選んだ入力方法に従って入力
- 本人情報や本人名義の還付金振込口座を入力し、申告完了
- 医療費の領収書から明細書を作成し申告する
- 総医療費(合計額)のみで申告する(明細書が不要になるわけではない)
- 医療費の通知書から明細書を作成し医療費控除を申告する
会社員が医療費控除以外に確定申告するべき控除は?

会社員は、給与所得に関して勤務先の年末調整で済ませています。
しかし、医療費控除のように「該当する年だけ発生する控除」に関しては自分で確定申告をしなければ控除が適用になりません。
では、この医療費控除以外にどのような控除が確定申告の対象となるのでしょうか。
主なもの2つについて、以下で解説していきます。
①寄付金控除
寄付金控除とは、国や地方公共団体、特定の法人等に寄付をした場合に発生する控除です。確定申告を行うことで節税効果がある上に、還付を受けることができる場合もあります。
寄付金控除には、正式には2種類あります。
一つは「寄付金控除」、もう一つは「寄付金特別控除」です。
「寄付金控除」には、ふるさと納税も含まれます。寄付金控除は所得控除に分類され、1年間の寄付額の2,000円を超えた部分が対象となります。寄付金の上限には定めがありますので、事前にシミュレーションなどを活用し、確認するようにしましょう。
「寄付金特別控除」は、税額控除に分類されます。寄付先は認定NPO法人や特定政党等が対象です。
2種類の寄付金控除は、いずれも確定申告の際に「寄付金領収書、税額控除に該当する場合はその旨を証明する書類等が必要です。
②雑損控除
雑損控除とは、主に台風や豪雨などの自然災害の影響で受けた損害(実損害)に対して、一定の基準を満たせば受けることができる控除です。
対象となるのは住宅や車など、個人の資産に対してです。住宅の損害という意味で、シロアリ被害や駆除の費用も雑損控除の対象となる場合があります。
シロアリ駆除・費用の雑損控除に関しては、国税庁のホームページに記載があり、身近な雑損控除の例として覚えておくとよいでしょう。
また、自然災害などで自宅が被災した場合、加入していた火災保険から保険金が支払われたとします。
この場合は、実損額から受け取った火災保険金を差し引いた額が、雑損控除の対象額となります。
例えば、実損額500万円に対し、保険金が300万円支払われた場合、差額の200万円が雑損控除の対象となる、ということになります。
まとめ:会社員は医療費控除の確定申告を活用しよう
会社員等の給与所得者が医療費控除を申告する場合、わざわざ確定申告期間に合わせて行う必要はありません。
5年前までさかのぼって申告できるほか、医療費控除の手続きだけであれば、年中いつでも還付申告が可能です。
また、スマートフォンアプリを利用して、スマホ完結で医療費控除の申告が可能になりました。
基本的にはマイナンバーカードの読み取りでアプリにログインしますが、万が一マイナンバーカードの発行が間に合わなくても、税務署でIDパスワードを発行・登録しておけばアプリから申告ができます。
面前での手続きが不要という面では、新型コロナウイルス感染予防対策の一環としても有効であるといえます。
これまで医療費控除の仕組みがよくわからなかった人でも、本記事を参考に、お役立ていただきますと幸いです。

