この記事の目次
- 医療費控除は年金受給者でも受け取れる?
- 年金受給者が医療費控除を受け取るには確定申告が必要!
- 医療費控除の正体は【支払った所得税の還付金】
- 一定額以上の医療費を支払った場合確定申告を行う必要がある
- 医療費控除の計算は年収200万円を境目に変わるので注意!
- 年金受給者の確定申告が不要となる場合について解説!
- 「確定申告不要制度」の対象者であれば申請しなくてOK
- 対象者の条件①:公的年金等の収入額が400万円以下
- 対象者の条件②:公的年金を含む雑所得以外の所得が20万円以下
- 「収入」と「所得」は別のものなので注意!
- 公的年金等控除・公的年金に係る雑所得の計算方法を解説!
- 対象者かどうかは源泉徴収票でチェックできる!
- 確定申告が不要でも医療費控除のための確定申告は出来る
- 年金受給者の場合の確定申告書の書き方について紹介!
- 年金受給者は扶養親族等申告書を出すと節税対策になる!
- セルフメディケーション税制の利用についても解説!
- 【参考】年金受給者同士の夫婦は2人とも確定申告が必要?
- 【まとめ】医療費控除は確定申告と同時に行うのが基本!
医療費控除は年金受給者でも受け取れる?

年金を受け取っている人・もうすぐ年金を受給する予定の人の中には、医療費控除を受けたいと考えている人もいるかと思います。
年を重ねるにつれ薬代といった医療費の出費が増えたのに対して、退職して以前より収入が減ったと感じている人もいるのではないでしょうか。
結論から言いますと、年金受給者でも医療費控除を受け取ることができます。
医療費控除を受けるには所定の要件を満たし、期限内に指定された書類を税務署に提出しなければなりません。
制度の仕組みや手順が複雑で、控除を受けることをためらっている人もいるでしょう。
そこでこの記事では、年金受給者の医療費控除について
- 医療費控除の仕組み
- 医療費控除に必要な書類の書き方
- 書類の提出の仕方
- よりお得になる医療費控除の制度の紹介
年金受給者が医療費控除を受け取るには確定申告が必要!
年金受給者が医療費控除を受け取るには、確定申告という手続きをしなければなりません。
自分が住んでいる地域を管轄する税務署に、必要な書類を期間内に提出することで医療費控除を受けることができます。
必要な書類は次の4つです。
- 確定申告書
- 医療費控除の明細書
- 源泉徴収票
- マイナンバー
- 本人確認書類のコピーを入れる
- 返信用封筒を入れる
- 万が一修正があったときのため、期限に余裕を持って提出する
医療費控除の正体は【支払った所得税の還付金】
それでは医療費控除について詳しく解説していきます。
まずは医療費控除の正体についてです。
見出しにも書いてありますが、医療費控除の正体は支払った所得税のうち、申告したことによって手元に戻ってきた金額です。
毎年収入に応じて所得税がかかりますよね。
何も申告しなかったら、収入金額をもとに計算された所得税はそのまま国や自治体に取られてしまいます。
しかし期間内に医療費控除を申告することで、国や自治体に払った所得税の中からいくらか払い戻しを受けることができます。
これが医療費控除の正体、すなわち支払った所得税の還付金というわけです。
ただし医療費控除は所得税から還元されるため、そもそも所得税を払っていない人には適用されません。
所得税を払ったかは、源泉徴収票やねんきんネットから確認することができます。
気になる人は確認してみてください。
一定額以上の医療費を支払った場合確定申告を行う必要がある
医療費控除でよくある誤解の一つに、「確定申告すれば年間の医療費が1万円ぐらいでも医療費控除を受けられる!」と考えている人が多いことが挙げられます。
実は医療費控除は、一定額以上の医療費を払った人しか受けることができないのです。
年収200万円以上なら医療費は10万円以上、年収200万円未満なら医療費は年収×5%以上の金額である必要があります。
自身の年収を確認して、1年間に払った医療費が10万円以上もしくは年収×5%以上なら医療費控除の確定申告を行ってください。
これは医療費控除の金額を算出するための計算式が関係しています。
計算式については次の見出しの所で説明しますね。
医療費控除の計算は年収200万円を境目に変わるので注意!
- 1年間に払った医療費-保険金等の金額-10万円
- 1年間に払った医療費-保険金等の金額-年収×5%
年金受給者の確定申告が不要となる場合について解説!

医療費控除を受ける受けないに関わらず、年金受給者は確定申告を行うのが基本となっています。
申告した年金の受給額や年金以外の所得から、支払う所得税が算出されます。
しかし2021年度の老齢基礎年金の受給額は、満額で月額65,075円。
この他、老成厚生年金や年金保険などからも給付があるとしても、けがをして臨時で高額な医療費が必要になったら、かなりの出費になります。
このような万が一の事態に備えて、年金受給者を対象とした確定申告が不要になる制度があります。
ここでは「確定申告不要制度」について詳しく解説していきます。
「確定申告不要制度」の対象者であれば申請しなくてOK
確定申告不要制度の対象者になるには、次の2つの条件を両方とも満たす必要があります。
- 公的年金等の合計収入金額が400万円以下
- 上記以外の所得金額が20万円以下
| 「確定申告不要制度」の対象者ですか? | 「医療費控除」の対象者ですか? | |
|---|---|---|
| パターン1 | はい | はい |
| パターン2 | はい | いいえ |
| パターン3 | いいえ | はい |
| パターン4 | いいえ | いいえ |
- パターン1:確定申告が必要です(医療費控除の明細書の提出も忘れずに)
- パターン2:確定申告が必要です
- パターン3:確定申告が必要です(医療費控除の明細書の提出も忘れずに)
- パターン4:確定申告しなくて構いません
対象者の条件①:公的年金等の収入額が400万円以下
公的年金等とは、主に次のようなものを指します。
- 国民年金
- 厚生年金
- 国民年金基金
- 厚生年金基金
- 確定拠出年金
対象者の条件②:公的年金を含む雑所得以外の所得が20万円以下
年金受給者の中には、公的年金以外からも収入を得ている人がいるでしょう。
具体的には
- 生命保険などの個人年金保険
- 講演料・作家以外の原稿料
- 不動産
- 株式
- 懸賞や福引などで当たった賞金(宝くじは対象外です)
- 給与
「収入」と「所得」は別のものなので注意!
先ほど条件②に記載されていた文章「収入の所得金額が20万円以下」という言葉が気になった人もいるのではないでしょうか。
実は所得税の金額を計算する過程で、収入に対する税金が係る金額は変化し、それに応じて「収入」「所得」と呼び方も変わってくるのです。
年金受給者の場合、「収入」とは公的年金の税引き前の金額(いわゆる『額面』)、「所得」とは「収入」を一定の計算式に当てはめて算出した金額のことを指します。
年金受給者の所得税の計算の流れを簡単にまとめると次のようになります。
- 受け取った年金・保険金などの合計金額を計算する=「収入」
- 「収入」を一定の計算式に当てはめて、別の金額を算出する=「所得」
- 「所得」に所得税の税率をかける
- 納める税金の金額が算出される
公的年金等控除・公的年金に係る雑所得の計算方法を解説!
所得税は、受給した年金の全額に課せられるわけではありません。
全額を所得税の対象にするのはあんまりだから、ということで収入金額に応じて数十万円~数百万円の割引(=控除)が適用されます。
65歳未満か65歳以上かで計算式も異なるので注意してください。
表1:65歳未満の年金受給者
| 公的年金等の収入金額 | 公的年金に係る雑所得の金額 |
|---|---|
| 70万円以下 | 0円 |
| 70万円超130万円未満 | 収入金額―70万円 |
| 130万円以上410万円未満 | 収入金額×0.75―37万5,000円 |
| 410万円以上770万円未満 | 収入金額×0.85―78万5,000円 |
| 770万円以上 | 収入金額×0.95―155万5,000円 |
表2:65歳以上の年金受給者
| 公的年金等の収入金額 | 公的年金に係る雑所得の金額 |
|---|---|
| 120万円以下 | 0円 |
| 120万円超330万円未満 | 収入金額―120万円 |
| 330万円以上410万円未満 | 収入金額×0.75―37万5,000円 |
| 410万円以上770万円未満 | 収入金額×0.85―78万5,000円 |
| 770万円以上 | 収入金額×0.95―155万5,000円 |
例えば67歳の年金受給者の、2020年の公的年金等の収入金額が150万円だとします。
その時は表2の「公的年金等の収入金額:120万円超330万円未満」の欄を参考にしてください。
計算式に当てはめると雑所得の金額は
- 150万円-120万円=30万円
対象者かどうかは源泉徴収票でチェックできる!
確定申告不要制度の対象者かどうかは源泉徴収票でチェックできます。
毎年1月~2月に日本年金機構や企業年金の管理者などから届く、「公的年金の源泉徴収票」という書類を参考にしましょう。
いったん確定申告不要制度の対象者の条件のおさらいをします。
- 条件①:公的年金等の収入額が400万円以下
- 条件②:公的年金を含む雑所得以外の所得が20万円以下
この2点の両方に当てはまることが条件でしたね。
条件①は「支払金額欄」を見ると確認できます。
金額が400万円以下になっていれば条件①を満たしたことになります。
条件②は、職場からもらう源泉徴収票や自身で付けた記録から自力で計算します。
自力での計算が不安な時は、ファイナンシャルプランナーや税理士などの専門家に相談してみてください。
マネーキャリアでは、お金に関するお悩み相談を無料で行っています。
確定申告が不要でも医療費控除のための確定申告は出来る

確定申告不要制度の対象者で、医療費控除の対象者になっている人もいるでしょう。
医療費控除は所得金額に関係なく確定申告をしなければなりません。
「確定申告不要制度の対象者だから、医療費控除の申告もしなくていいや」と誤解しないよう、注意してください。
医療費控除の対象者の条件は、次のどちらかに当てはまる人のことを指します。
- 所得金額が200万円未満で、医療費が所得金額×5%かかった人
- 所得金額が200万円未満で、医療費が10万円以上かかった人
年金受給者の場合の確定申告書の書き方について紹介!

年金受給者が医療費控除の確定申告をするとき、必要な書類は
- 確定申告書
- 医療費控除の明細書
- 源泉徴収票
- マイナンバー
年金受給者は扶養親族等申告書を出すと節税対策になる!

「扶養親族等申告書」という書類をご存知でしょうか?
確定申告の書類を提出するとき一緒に提出すると、配偶者控除や障害者控除などを受けることができます。
所得税の金額を算出するための大切な書類なので、なくさないようにしましょう。
扶養親族等申告書は
- 65歳未満・受給している年金額が108万円以上
- 65歳以上・受給している年金額が158万円以上
この書類には主に次のような家族のことを記入します。
- 配偶者の有無
- 障害者の有無
- 自身は寡婦(寡夫)かどうか
- 扶養している人はいるか
セルフメディケーション税制の利用についても解説!

セルフメディケーション税制とは、スイッチOTC医薬品を年間1万2000円以上購入したときに利用できる、医療費控除の制度の一つです。
スイッチOTC医薬品は、もともと医師の判断でしか使用できなかったけれど、薬局でも購入できるようになった医薬品のことを指します。
薬の箱、薬局のレシートにスイッチOTC医薬品であることが記載されています。
もし見つからなかった場合は、薬剤師に尋ねてみてください。
セルフメディケーション税制を利用するには、スイッチOTC医薬品を年間1万2000円以上購入することが条件です。
控除される金額は次の計算式で求めます。
- 支出した金額-12,000円
【参考】年金受給者同士の夫婦は2人とも確定申告が必要?

年金受給者同士の夫婦は、2人とも確定申告する必要はありません。
夫婦は生計が一緒になっている家族なので、確定申告はどちらかの納税者のみで構わないのです。
そのため、医療費控除もまとめて計算することができます。
つまり妻の通院で払った医療費と夫の薬代を、夫がまとめて申告できるということです。
1人分の医療費だと10万円に満たなくて医療費控除の対象外であっても、2人分を合わせると10万円以上になって医療費控除を受けられるかもしれません。
医療費控除を申告するときは、夫婦一緒に申告してくださいね。
【まとめ】医療費控除は確定申告と同時に行うのが基本!

今回は年金受給者の医療費控除について
- 医療費控除を受けるには確定申告が必要
- 医療費控除は一定以上の医療費を払った人が受けられる
- 確定申告不要制度の該当者でも、医療費控除を受けるときは確定申告が必要
- 扶養親族等申告書の提出を忘れずに
- セルフメディケーション税制を利用するともっとお得になるかも
- 確定申告は夫婦のどちらかが行えばよい

