この記事の目次
- 医療費通知を確定申告で使う場合はどんなことに気をつける?
- 医療費通知を確定申告で使う場合の注意点について解説!
- 医療費通知は6つの項目を満たしている場合医療費控除で使える
- 医療費通知には必ず医療費控除の明細書の添付が必要となる
- 医療費通知に支払った全ての医療費が載っているわけではない
- 医療費通知の記載額と実際の自己負担額が異なる場合もある
- 医療費通知に医療費が記載されない時期がある
- 確定申告開始前に医療費通知の到着が間に合わないこともある
- 医療費通知を利用した明細書の書き方について解説!
- ①医療費通知をもとに【医療費通知に関する事項】を記入する
- ②通知に載っていない医療費を【医療費の明細】に記入する
- ③医療費の合計を出し控除額の計算を行って記入する
- 医療費通知を利用した確定申告の申請方法について解説!
- ①書面による確定申告を行う
- ②医療費通知の電子データをもとにe-Taxで電子申告を行う
- 注意:書面の場合は医療費通知のコピーではなく原本が必要
- 医療費通知が使えない場合は領収書をもとに明細書を作成する
- 領収書は医療費通知と異なり明細書に添付する必要がない
- 領収書は5年間の保存義務が義務付けられている
- 【参考】セルフメディケーション税制では医療費通知は使えない
- 【まとめ】医療費通知を使えば確定申告を楽にすませられる!
医療費通知を確定申告で使う場合はどんなことに気をつける?
こんにちは。マネーキャリア編集部・FPの西田です。
先日、50代の女性から次のような相談を受けました。
自己又は自己と生計を一にする者の医療費が年間で10万円を超えた場合、医療費控除が適用されますが、これを受けるためには確定申告を行う必要があります。
確定申告を行うにあたって、領収書の保管などなにかと手間がかかります。 確定申告の準備において、医療機関をどれだけ利用したかを確認できる医療費通知(医療費のお知らせ)がとても便利です。
医療費通知を確定申告で使う場合、医療費通知における必要事項の確認、医療費控除の明細書の添付、医療費通知に記載されていない医療費の確認などを行う必要があります。 そこで、本記事では、医療費通知を確定申告で使う場合の注意点について解説していきます。
あわせて、医療費通知を利用した明細書の書き方の説明も行います。
本記事が医療費通知を確定申告で使う方の参考になりますと幸いです。
医療費通知を確定申告で使う場合の注意点について解説!

医療費控除が改正され、平成29年分の確定申告から、医療費通知(医療費のお知らせ)を添付することで医療費控除を簡単に受けられるようになりました。
改正前は医療費の領収書の提示、もしくは提出が必要でしたが、改正後は医療費控除の明細書の提出がこれに代わりました。
医療費通知を添付して確定申告を行う場合、医療費通知記載の医療費に関しては明細書への記入は合計額のみで良くなりました。
確定申告をこのように便利にする医療費通知ですが、医療費通知を確定申告で使うにあたって6つの注意点があります。
医療費通知は6つの項目を満たしている場合医療費控除で使える
医療費通知を確定申告で使う場合、医療費通知が以下の6つの項目を満たしている必要があります。
- 被保険者等の氏名
- 療養を受けた年月
- 療養を受けた者
- 療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称
- 被保険者等が支払った医療費の金額
- 保険者等の名称
上記の6項目のうち一つでも記載がない場合は、医療費控除を受ける際に添付書類として認められません。
医療費通知を確定申告で使用できない場合、自分で領収書などを基に入力し書類を作成し、医療費の領収書を5年間保管する義務が発生します。
詳細は、国税庁の公式サイト(確定申告書等作成コーナーよくある質問 医療費通知の利用について)をご参照ください。
医療費通知には必ず医療費控除の明細書の添付が必要となる
平成29年分の確定申告より、医療費通知の添付によって、医療費控除の明細書の記載を簡略化できるようになりました。
医療費通知には医療費控除の明細書の添付が必要となりますが、医療費控除の明細書は自分で作成する必要があります。
医療費通知に支払った全ての医療費が載っているわけではない
医療費通知には支払いを行った全ての医療費が記載されているわけではありません。
たとえば、次に挙げる医療費は記載されていません。
- 病院までの交通費
- ドラックストアで購入したもの
- 自己負担額が10割の医療費
- 市販薬の購入費
医療費通知の記載額と実際の自己負担額が異なる場合もある
医療費通知の記載額と実際の自己負担額が異なる場合も少なくありません。
その原因は、保険診療の医療費について医療費通知に記載の自己負担額は、診療報酬点数に単価(10円)を乗じて算出されているところにあります。
医療費通知は医療費の合計金額に被保険者の自己負担割合を乗じて計算されるため、10 円未満の金額まで記載されることになります。
対して、医療機関等の窓口で支払う医療費は、10 円未満の金額は四捨五入が行われます。
この差異が医療費通知の記載額と実際の支払い額が異なる原因となっているのです。
医療費控除の算出は、医療費通知に記載された金額、医療機関等で支払った金額のどちらで行っても構いません。
医療費通知に医療費が記載されない時期がある
医療費通知に記載されている医療費は、医療保険者によって記載期間が異なります。
10月から12月頃の医療費は共済、ないしけんぽのほとんどが医療費通知に医療費を載せていません。
たとえば、協会けんぽの令和元年度の医療費通知には、令和元年10月診療分から令和2年9月診療分までの医療費が記載されます。
医療費控除で医療費通知を利用する際は、10月診療分から12月診療分まで医療機関等からの領収書等に基づいて明細書を作成する必要があります。
作成した医療費控除の明細書を申告書に追加添付し、提出してください。
確定申告開始前に医療費通知の到着が間に合わないこともある
医療費通知の到着時期は加入している健康保険によって異なります。
医療費通知の確実な到着時期、郵送先を知りたい方は、ご自身の保険証に記載されている「保険者」と「電話番号欄」を確認し、医療費通知の到着時期を問い合わせてください。
以下、各健康保険による到着のおおまかな目安です。
- 国民健康保険: 東京都世田谷区(年1回11月頃)、神奈川県横浜市(年1回3月頃)
- 協会けんぽ : 1年に1回、2月上旬に送付
- トヨタ関連部品組合: 2ヶ月に1回発行(1~2月ぶん5月発行、3~4月ぶん7月発行、5~6月ぶん9月発行、7~8月ぶん11月発行、9~10月ぶん1月発行、11~12月ぶん3月発行)
- 関東ITソフトウェア健康保険組合 : Web上で発行申請を受け付けたものについて郵送
医療費通知の到着の遅延が起きる原因は、その仕組み上仕方のない部分が大きいです。
医療機関から健康保険組合へ医療費が請求される時期は受診後2ヵ月程度かかり、その後で健康保険組合がそれを確認して受診者ごとにまとめます。
この作業の流れの都合上、郵送までに数ヵ月から半年程度かかるのは仕方がないのです。
医療費控除の申告は還付申告です。
還付申告の場合、申告期限は申告可能な日から5年間となっています。
そのため、確定申告の期日(例年3月15日)までに届かない場合も急ぐ必要はありません。
医療費通知を利用した明細書の書き方について解説!

医療費通知を利用して医療費控除を受ける場合、医療費控除の明細書を作成・提出する必要があります。
医療費控除の明細書は、①医療費通知に関する事項、②医療費(①以外)の明細、③控除額の計算という3つの区分から構成されています。
確定申告がはじめての方、医療費控除の明細書の作成をした経験がない方のなかには、「やり方が分からない」、「むずしそう、自分にできるか不安」という方もいらっしゃいます。
しかし、明細書記載の指示に従って、落ち着いて記入していけば、はじめての方でも問題なくできます。
①医療費通知をもとに【医療費通知に関する事項】を記入する
氏名記入欄の下に、以下の内容を記入する欄があります。
(1)医療費通知に記載された医療費の額
(2)(1)のうちその年中に実際に支払った医療費の額
(3)(2)のうち生命保険や社会保険などで補てんされる金額
医療費通知をもとにして、(1)から(3)まで金額を記入してください。
②通知に載っていない医療費を【医療費の明細】に記入する
続いて、医療費通知に載っていない医療費の明細を2 医療費(上記1以外)の明細に記入していきます。
記入する内容は次の通りです。
(1)医療を受けた方の氏名
(2)病院・薬局などの支払先の名称
(3)医療費の区分
(4)支払った医療費の額
(5)(4)のうち生命保険や社会保険などで補てんされる金額
2 医療費(上記1以外)の明細を記入をする際、領収書1枚ごとではなく、医療費を受けた方、病院等、それぞれまとめて記入しましょう。
③医療費の合計を出し控除額の計算を行って記入する
最後に、3 控除額の計算を記入します。
この項目の記入事項は以下の通りです。
・支払った医療費
・保険金などで補てんされる金額
・差し引き金額(A~D)
・所得金額の合計額
・D×0.05円
・Eと10万円のいずれか少ない方の金額
・医療費控除額(C~E)
この項目では、1 医療費通知に関する事項と2 医療費(上記1以外)の明細を参照しながら、医療費控除額の記入・計算を行います。
医療費通知を利用した確定申告の申請方法について解説!

医療費通知をもとに医療費の明細書の作成が完了したら、確定申告の申請を行います。
医療費通知を利用した確定申告は通常の確定申告と同様に、2月16日~3月15日までに行います。
確定申告の申告期間は社会情勢によって変わることもありますので、ご自身で年明けまでには必ず確認するようにしてください。
2021年の確定申告は新型コロナウィルスの影響を受けて、確定申告の期間が2月16日〜4月15日に変更となりました。
確定申告に必要な書類はご自身の都合に合わせて、書面、もしくはe-Taxで提出してください。
①書面による確定申告を行う
医療費の明細書などを書面によって提出する場合、税務署に持参、郵送のいずれかの方法になります。
確定申告に必要な書類を税務署に持参
税務署に書類を持参する場合は窓口に提出してください。
確定申告に慣れていない方は税務署への持参が安心です。
書類について分からないことがあったり、不安なことがあったりする方は、提出時に職員へ確認・相談を行うこともできます。
窓口に直接提出される場合は、ゆとりをもって提出することをおすすめします。
確定申告の締め切り数日前は窓口が混雑し、行列になることも少なくありません。
確定申告に必要な書類を郵送で提出
医療費の明細書などを郵送で提出する場合は、郵便物(第一種郵便物)、もしくは信書便物で送付する必要があります。
税務上の申告書・届出書は、信書にあたりますので、郵送方法に注意しましょう。
確定申告に必要な書類を郵送によって提出する場合、通信日付印により表示された日が提出日と見做されます。
②医療費通知の電子データをもとにe-Taxで電子申告を行う
医療費通知を利用した確定申告は、e-Taxで提出することもできます。
e-Taxを使うメリットとして、忙しい方もスキマ時間に入力・提出できることを挙げられます。
e-Taxにも利用時間が決められていますので注意してください。
- 月曜日~金曜日 24時間
- 休祝日の翌稼働日、毎月の最終土曜日及び翌日の日曜日 8時30分~24時
- 休祝日、12月29日~1月3日 休止
e-Taxの利用方法など詳しくは、e-Taxをご参照ください。
医療費通知を使った確定申告の場合、電子データがある場合など一部を除き、医療費通知の郵送が別途必要になることもあります。
注意:書面の場合は医療費通知のコピーではなく原本が必要
医療費通知は医療保険者が発行した原本が明細書の代わりとなります。
そのため、書面で提出する際はコピーを使って申告することは認められません。
書面での提出の際は、以下のいずれかの方法をとるようにしましょう。
- 書面申告する場合は保険者が紙で発行した医療費通知の原本を添付
- 医療費の明細書を申告者自身が作成し、添付する(申告者自身が作成した明細書を添付した場合、医療費等の領収書を5年間保存する義務が発生します)
医療費通知が使えない場合は領収書をもとに明細書を作成する

医療費通知が使えない場合は領収書をもとにして明細書の作成を行います。
医療費通知が使えないとなれば、すべての集計を自分で行う必要があり負担は増えますが、医療費控除を受けるために不可欠な作業です。
以下、明細書を作成する際の2つのポイントを紹介します。
領収書は医療費通知と異なり明細書に添付する必要がない
医療費控除の確定申告時に領収書を提出する必要はありません。
「医療費控除で多くの領収書が添付されると税務署の事務費用が発生」、「医療費通知を活用して医療費控除の申告手続きを簡潔化」を理由に、平成29年の確定申告から領収書の提出は不要になりました。
しかし、医療費控除の手続きにおいて領収書が必要であることに変わりません。
医療費控除を受けようと考えている方は領収書を必ずもらい、申請後5年間は保管しておくようにしましょう。
領収書は5年間の保存義務が義務付けられている
医療費控除を受けるにあたって、領収書の提出の必要はありませんが、5年間保存しておく義務があります。
税務署が提出書類のなかに不明点、疑問点などを発見した場合、領収書の提出を求められることがあります。
ほとんどの場合、領収書の保管期間中に、領収書の提出を求められることはありません。
領収書の提出、ないし確認を求められたときに、領収書を提出できなければ、おおきなトラブルを招くことにもなりかねませんので注意してください。
医療費控除の明細書作成後、および医療費控除の確定申告後、領収書を自宅で5年間は保存しておくようにしてください。
100円ショップ、文具店、日用雑貨店などで、領収書を保管しておくための便利グッズが売られています。
こうしたものを活用することで、領収書を負担なく保存できるはずです。
【参考】セルフメディケーション税制では医療費通知は使えない

セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、 医療費控除の対象です。
(セルフメディケーションを選択した場合、通常の医療費控除は受けられません)
セルフメディケーション税制の対象となるスイッチOTC医薬品は、保険診療の対象外ですので、医療費通知に含まれていません。
(スイッチOTCとは薬局などで店頭販売が認められている一般用医薬品です )
セルフメディケーション税制で医療費控除を受ける場合は、自分で明細書(セルフメディケーション税制の明細書)に必要事項を記入する必要があります。
セルフメディケーション税制の明細は、以下の3区分から構成されています。
1 申告する方の健康の保持増進及び疾病の予防への取組
2 特定一般用医薬品等購入費の明細
3 控除額の計算
セルフメディケーション税制に関する詳細は、厚生労働省のサイト(セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について)を確認してください。
【まとめ】医療費通知を使えば確定申告を楽にすませられる!
自己、もしくは自己と生計を一にする家族の医療費が年間で一定金額以上かかった場合、医療費控除が適用され、所得税、住民税の負担を減らすことができます。
医療費控除の適用を受けるためには、サラリーマンの方も自分で確定申告を行う必要があります。
確定申告の負担を考えて、医療費控除を諦める方もわずかながらいらっしゃいます。
確定申告において医療費通知を利用すれば、申告をラクにすませることができます。
医療費通知を利用して確定申告を行うにあたって、お手持ちの医療費通知に必要事項(6つの項目)が満たされているか確認することからはじめてください。
必要事項の確認が終わったら、医療費控除の明細書を作成します。この時、支払った全ての医療費が医療費通知に載っているわけではないことを覚えておいてください。
提出書類の準備が整ったら、書類を税務署に直接持参、もしくは郵送で提出してください。
医療費通知を使うことで確定申告が簡略化され、申告を少ない負担で行えます。
年間の医療費が一定金額以上かかった方は、医療費控除の適用を受けて、税負担を軽減されることをおすすめします。
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