年収にはどんな税金の壁がある?一番得するボーダーラインを解説

年収にはどんな税金の壁がある?一番得するボーダーラインを解説
年収によって変わる税金の壁(ライン)について紹介。扶養内控除や累進課税など気になるワードについても徹底解説します。さらに、そこから導き出されるどの年収ゾーンが一番得しているのかを解説します。また、税金を減らすちょっとしたコツについてもご紹介!
監修者「谷川 昌平」

監修者谷川 昌平ファイナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!

扶養内控除って何?年収の壁の仕組みについて解説

こんにちは。マネーキャリア編集部です。 


先日、20代女性の知人からこんな相談がありました。

パートで働くなら扶養の範囲内で働いたほうがお得だと聞いたことがあるけど、扶養内控除って何?いくらまで働けるの?

平成29年度(2017年)の税制改正により、2018年1月をもってこれまで「扶養内」として定められていた年収額が大幅に変更されました。


このことで、主婦を中心に日本の扶養制度への関心が今まで以上に集まっているようです。


扶養内控除には、100万円・103万円・130万円…と様々な年収の「」があります。


そもそも「扶養」とは、親族から経済的に支援を受けることを言います。

「妻が夫の扶養に入る」「子供を父親の扶養に入れる」などとよく聞きますね。


「控除」とは、一定の金額を差し引くこと。


すなわち、親や配偶者の扶養に入ることで、世帯の金銭的な負担を軽減するというものです。


一口に扶養と言っても、

  • 税制上(住民税・所得税)の扶養
  • 社会保険上の扶養
の2パターンがあります。

今回は、扶養制度とは一体どういったものなのか、年収の壁の仕組みについて解説していきたいと思います。


さらに、一番得する年収のボーダーラインや、年収にかかる税金の減らし方などお得な情報も織り交ぜてご紹介していきますので、是非参考にしてみて下さい。

扶養内控除は103万以上の年収にかかる税金の壁!!


まずは、「扶養内控除」について具体的に説明していきます。


そもそもよく耳にする「扶養内で働く」という言葉は「扶養控除が受けられる範囲内で働く」という意味です。


なかでも一番有名なのが、年収103万円の壁ではないでしょうか。


ここで言う103万円の壁は、所得税の扶養内控除です。


実は「103万円」というワードだけが有名になり独り歩きしていますが、他にも扶養内控除には知っておきたい金額の種類がたくさんあるのです。


これから解説する内容は、

  1. 住民税(税制上の扶養)の壁
  2. 所得税(税制上の扶養)の壁
  3. 社会保険上の壁
の3つに整理してお伝えしていきます。

税金の壁と扶養内控除の壁を詳しく見てみよう


ここまで、なんだか難しそうだなと感じた方はご安心ください。


基本的には、

  • 税金(税制上の扶養)
  • 保険(社会保険上の扶養)
で大きく分けて考えれば良いんだなということを頭に入れておけばOKです。

税金と社会保険上の壁は全部で6種類に分けられ
  1. 100万円(年収が100万円を超えると、住民税が発生する)
  2. 103万円(配偶者控除が適用外となり、所得税が発生する)
  3. 106万円(社会保険に加入しなくてはいけない場合がある)
  4. 130万円(必ず社会保険加入の必要あり)
  5. 150万円(配偶者特別控除の最大額38万円から減少する)
  6. 210万円(配偶者特別控除を受けられなくなる)
となっています。

以下、それぞれ詳しくお話していきます。

年収100万の壁は住民税の壁

まずは、住民税の壁から説明します。


住民税とは?

住民税とは、その地域に住む人たちが都道府県や市区町村などに支払う税金のことです。 

支払う税額を決めるためには「課税標準」という計算の基準となるものを用います。

その年1年間の収入総額がこの課税標準に満たない93万円~100万円であれば、住民税は発生しないと定められているため、「~100万円の壁」と言われているのです。

年収103万の壁は所得税の扶養内控除

続いて、所得税の壁について説明します。


所得税とは?

所得税とは、雇用先から支給される給料や、個人事業主として自分で稼いだお金に対して国に支払う税金のことです。

その年1年間の収入総額が103万円以下であれば、所得税は発生しないと定められているため、「103万円の壁」と言われています。

つまり、
  • 年収93万円以上~100万円以下:住民税・所得税ともに発生しない
  • 年収100万円以上~103万円以下:住民税のみ発生する
  • 年収103万円以上:住民税・所得税ともに発生する
ということです。


年収106万の壁は社会保険上の扶養内控除

最後に、社会保険上の壁について説明します。


社会保険とは?

社会保険とは、病気やケガ、失業など人が生きる上で起こりうるリスクに備えるための公的保険制度のことです。


社会保険は主に次の5種類をいいます。

  1. 医療保険:病気やけが、出産、死亡などに備えるもの
  2. 年金保険:公的年金に備えるもの
  3. 介護保険:高齢者の介護に備えるもの
  4. 雇用保険:退職や失業に備えるもの
  5. 労災保険:業務上または通勤中の負傷や疾病、障害に備えるもの

ほかにも、会社員が加入する「健康保険」「厚生年金」「雇用保険」「労災保険」をまとめて「被用者保険」と呼びます。

また、個人事業主などが加入する「国民健康保険」「国民年金」をまとめて「一般国民保険」と呼んだりもします。

こういった社会保険料は、一定年収を超えると金額が変わる仕組みになっています。

その年1年間の収入総額が106万円以下であれば、社会保険の加入義務は発生しないと定められているため、「106万円の壁」と言われています。

ただし、以下のすべての条件に当てはまっている場合は社会保険の加入義務が生じるので注意してください。
  • 雇用期間:1年以上(見込みがある)
  • 所定労働時間(1週間):20時間以上
  • 賃金(1か月):8.8万円以上
  • 雇用先の従業員数:501人以上
  • 学生ではない


年収106万の壁を超えるメリットもある

しかしあえて年収106万円の壁を超えて社会保険料を支払うことで得られるメリットもあります。

  1. 医療関連の保障が盛りだくさん
  2. 将来受け取れる年金が増える

医療保険への加入対象になることで、結果的に収入が減ってしまうことは事実です。

ですが、万が一病気やケガなどに見舞われた際、保険給付の内容が手厚いため個人負担を大幅に減らすことができます。

また、厚生年金に加入することで、加入していない人よりも多くの年金を受け取ることが出来ます。

今は理不尽さを感じるかもしれませんが、将来少しでも受け取る額が増えることはメリットだと言えるでしょう。

収入が上がれば上がるほど社会保険料も高くはなりますが、これ以外に目立ったデメリットはありません。

扶養から外れる年収の壁はいくらから?


では、いくら稼げば扶養から外れてしまうのでしょうか。


ここからは、

  • 扶養の壁
  • 配偶者控除の壁
  • 配偶者特別控除の壁
の3パターンに着目してお伝えしていきます。

年収130万の壁は扶養の壁

年収130万円、つまり月収11万円弱を超えた場合、扶養者の社会保険から無条件に外れてしまいます。


家族の扶養内に履いておきたい場合には、アルバイト等で年収が130万を超えないように注意しましょう。

年収150万の壁は配偶者控除の壁

年収150万円を超えた場合、配偶者特別控除額が最大額38万円から減少してしまいます。


先ほどから配偶者控除配偶者特別控除というワードがちらほら出てきていますが、それらについて説明していきます。


そもそも配偶者とは夫にとっての妻、妻にとっての夫のことを指します。


配偶者控除とは?

配偶者控除とは、夫もしくは妻のどちらか一方が利用することで、世帯の税負担(住民税・所得税)を軽減してくれる制度のことです。お互いに利用しあうことはできません。


控除額は年収により異なるため、以下を参考にご自身の年収と照らし合わせてみて下さい。


たとえば、

  • 年齢:40歳以下
  • 子供:無し
  • 社会保険加入:あり
の夫婦どちらかが配偶者控除を利用した場合。

年収控除される税金
250~400万円のとき所得税:19,000円減額
住民税:33,000円(固定)減額
500~600万円のとき所得税:38,000円減額
住民税:33,000円(固定)減額
700~900万円のとき所得税:76,000円減額
住民税:33,000円(固定)減額


配偶者控除を利用するための条件は?

配偶者控除を利用するには、配偶者の1年間の所得総額が48万円以下、つまり年収103万円以下であることが条件です。


ですが、年収103万円を超えても控除を利用できる制度があります。それが配偶者特別控除です。


配偶者特別控除を利用するための条件は?

配偶者特別控除は、その年1年間の所得総額が133万円以下、つまり年収約201万円以下なら夫の税金を減額してくれます。


ただし、妻の給料が年収150万円を超えると減額効果が薄れていくのが特徴です。

年収201万の壁は配偶者特別控除の壁

年収201万6,000円を超えた場合、配偶者特別控除が適用されなくなります。


ここで、年収ごとに変わる配偶者控除と配偶者特別控除の壁についておさらいをしておきましょう。

年収配偶者の税金
103~150万円まで税金(住民税・所得税)が安くなる
※103万円までは配偶者控除
※103万円以上からは配偶者特別控除
150~201万円まで税金の減額効果が薄れていく
約201万円以上配偶者特別控除の対象から外れる

年収にかかる税金の壁に関連しておさえておきたい知識


ここまで、年収により変わる様々な税金の壁について仕組みや具体的な金額を学んできました。


ここからは、年収にかかる税金の壁に関連して一緒に覚えておきたい知識をご紹介していきます。


内容は次の通りです。

  • 一番損がなく働けるのはどの年収ゾーンなのか
  • 一番損があるのはどの年収ゾーンなのか
  • 社会保険の「月額賃金8.8万円」には何が含まれるのか

一番損がなく働けるのはどの年収ゾーン?ボーダーラインを解説!

一番働き損がないのは、住民税も所得税もかからない93万円~100万円以内だと言えます。


税金がかからないため、稼いだ分がそっくりそのまま家計のお金になるからです。 

一番損があるのはどの年収ゾーン?

逆に一番働き損になってしまうのは、130万円以上からです。


社会保険料は収入の約15%差し引かれるため、130万円前後の収入であれば、保険料を差し引くと手取り金額がほぼ変わりません。


130万円を少しでも超えてしまったら、いっそ160万円以上まで目指してしまったほうが損がないと言えます。

社会保険の「月額賃金8.8万円」には何が含まれるのか

社会保険の加入条件にある「月額賃金8.8万円」の中には、具体的に何が含まれているのでしょうか。


そもそも月額賃金とは、週給・日給・時間給などを月額に換算した金額のこと。


覚えておくべきは、

  • 臨時手当
  • 所定外給与
この2つは月額賃金のなかに含まれないということ。

臨時手当とは、冠婚葬祭などで会社から支払われる手当や、賞与・ボーナスなど臨時に支払われる手当のことです。

所定外給与とは、時間外労働・休日出勤・深夜勤務などの割増分賃金、家族手当、通勤手当、勤続手当などのことです。


ただし、残業代は月額賃金に含まれるので注意してください。

扶養内で働ける仕事をご紹介


では、実際に扶養内で働ける仕事を探す場合、何から始めればよいのでしょうか。

ご紹介していきます。


内容は次の通りです。

  • 派遣会社
  • 求人サイト
  • 店頭

派遣会社に登録する

派遣会社に登録すると、派遣社員として働くことが出来ます。


派遣社員のメリットは?

  • パート・アルバイトよりも時給が高い
  • 自由度が高い
  • 仕事を選べる
  • 経験値が上がる
などが挙げられます。

求人サイトから探してみよう

求人サイトからアルバイトやパートの仕事を探すこともオススメです。


アプリから探すことで、法ほな案件情報を探すことができます。



実際に店頭などで求人を確認する

気になる仕事があれば、自ら店頭などで求人を確認しても良いですね。

特に個人店やフランチャイズのお店などは店頭に求人広告を置いていることが多い印象があります。

年収によって控除額はどれほど変わる?


扶養内控除の年収の壁を学んだら、次は実際にどれくらい控除額が変わるのか見ていきましょう。


まずは、年収ごとの手取り額について解説していきます。


(例)

  • 会社員
  • 40歳独身
  • 東京都在住
の場合で試算します。

今回、控除額の内訳は基礎控除と社会保険料控除のみでシミュレーションしていきます。

社会保険料は、厚生年金・健康保険料・介護保険料・雇用保険料としています。

年収400万・800万・1200万でどれほど手取り額は変わる?

年収400万円の場合800万円の場合1,200万円の場合
手取り額312万円588万円850万円
所得税
(所得税率)
8万円
(5%)
45万円
(20%)
123万円
(23%)
住民税18万円45万円83万円
社会保険料62万円121万円144万円
控除額合計88万円212万円350万円

所得税には累進課税という壁がある

表の手取り額に着目してみましょう。


年収が400万円から800万円に上がっているにも関わらず、手取り額は276万円しか増えていません。


同じように年収が800万円から1,200万円になっても、262万円しか増えていないことが分かります。


その理由として控除される税金、なかでも所得税の税率が大きく関わっています。


所得税の税率は「累進課税」と呼ばれる、稼いだら稼いだ分多く税金を支払うという制度のもと決められています。


年収400万円の場合、所得税率は5%で税額も8万円で抑えることができています。


しかし、年収800万円になると20%、年収1,200万円になると23%と、所得税の税率が一気に上がります。


そのため、年収が2、3倍になっても手取りは2、3倍にならないのです。

年収にかかる税金は減らすことが可能!


国際的にみても日本人の給与は低いと言える今日。


「どうにか年収にかかる税金を減らす方法は無いのだろうか…」と考えたことがある方。


実は、あるんです!


知って得する制度を上手く活用し、税金を減らすことが出来ます。


内容は次の通りです。

  • iDeCoや積立NISA
  • ふるさと納税
  • マネーキャリアのFP相談

iDeCoや積み立てNISAを利用しよう

iDeCo(イデコ)とは個人型確定拠出年金という制度の愛称のことです。


自分(個人)で運用商品を選び掛け金を決め(確定拠出)、運用し(私的年金制度)、原則60歳以降にこれまで積み立てたお金を受け取ることができるというもの。


iDeCoの掛け金を積み立てると、その分の掛け金が所得控除となります。


さらに、運用で得られた利益にかかる税金(20.315%)も非課税になります。


老後資金のためにお金を積み立てながら、節税効果もあるという便利な制度なのです。


一方、積み立てNISA(ニーサ)とは少額投資非課税制度と呼ばれ、投資で得た利益(配当金・分配金や譲渡による利益)を非課税で受け取ることができる制度です。


本来なら、投資で得た利益には20.315%の税金がかかるものですが、積み立てNISAなら受け取る際に税金がかかりません。


優先順位としては、iDeCo→積み立てNISA。


まずはiDeCoを十分に活用し、余裕があれば積み立てNISAを始めてみてください。

ふるさと納税を利用しよう

ふるさと納税も同じく、年収にかかる税負担を下げることのできる制度です。


「納税」という文字だけを見るとさらに税金が加算されるように思えますが、違います。


ふるさと納税とは、自分の故郷や応援したい自治体に寄付を行うことのできる制度です。

寄付した金額が2,000円を超えた場合に、所得税や住民税を控除することができます。


そのうえ、各自治体からその地域ならではのお礼の品(返礼品)がもらえることもあります。

参考:2020年から始まったサラリーマン増税について解説!


皆さん、「サラリーマン増税」という言葉をご存知ですか?


平成30年度(2018年度)の税制改正により、2020年1月から給与所得控除および公的年金等控除の額が一律10万円引き下がることが決定しました。


つまり、控除される金額が10万円少なくなったため、納める税金が増えたということです。


最も大きな影響を受けるのは、年収850万円超のサラリーマン。

ここでいうサラリーマンとは、経営者を含むすべての給与所得者を指します。


ただし、年収850万円超であっても、以下の要件に当てはまる人は対象外となっています。

  • 子育て世帯(22歳以下の扶養親族が同一生計内の人)
  • 介護世帯(特別障害者控除の対象となる扶養親族や配偶者が同一生計に内にいる人)

増税の対象になる方は、今回ご紹介した様々な税制優遇を積極的に活用することが大切です。
  • 医療費控除
  • 生命保険料控除
  • 寄附金控除(ふるさと納税等)
  • iDeCo(個人型確定拠出年金) 
  • 住宅ローン控除(減税)

参考:子供がアルバイト等で扶養額を超えた場合は


もし、子供がアルバイト等で稼ぎすぎて扶養額を超えてしまった場合はどうなるのか、解説していきます。

子供の給与が103万を超えた場合

納税者本人が配偶者控除を受けている場合、年末調整をやり直す必要があります。 


配偶者以外(子どもや親など)の税金のボーダーラインは103万円となっているので、年末調整時に必ず確認しておきましょう。  

子供の給与が130万を超えた場合

納税者が配偶者特別控除を受けている場合、配偶者の年収が150万円以下であれば所得金額に応じて控除を受けることができます。 


ただし、本人自身で社会保険に加入する必要があるので注意してください。

まとめ:年収にかかる税金の壁

いかがでしたでしょうか。


今回は、年収にはどんな税金の壁があるのか、納税の面で一番得する年収のボーダーラインについてお伝えしてきました。


簡単に要点をまとめます。

扶養内控除における年収の壁は、大きく分けて税金(税制上の扶養)と保険(社会保険上の扶養)に分けて考えられます。


覚えておくべきは、

  • 100万円→年収が100万円を超えると、住民税が発生する
  • 103万円→年収が103万円を超えると、配偶者控除が適用外となり、所得税が発生する
  • 106万円→年収が106万円を超えると、社会保険に加入しなくてはいけない場合がある
  • 130万円→年収が130万円を超えると、必ず社会保険に加入しなくてはいけない
  • 150万円→年収が150万円を超えると、配偶者特別控除の最大額38万円から減少する
  • 210万円→年収が210万円を超えると、配偶者特別控除を受けられなくなる
の6段階です。

扶養控除の壁を知っておくことで、今より家計負担を軽減できるだけでなく、自分や家族にとってベストな働き方を選ぶことが出来るようになります。

マネーキャリアでは、他にも読んで頂きたい記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。