
年金月15万円で夫婦の暮らしは成立する?
年金月15万円で夫婦の暮らしを成立させるのは、厳しいケースが多いです。厚生労働省が発表した令和7年度(2025年度)の標準的な年金月額(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む)は232,784円※です。
平均額は男性の平均的な収入(平均標準報酬45.5万円)で40年間就業した場合を想定した場合の目安です。夫婦で受け取れる年金(1人分の老齢厚生年金と2人分の満額の老齢基礎年金)の見込み額です。
このデータと比較すると、夫婦で年金月15万円は平均の約64%の金額になります。平均よりもかなり低い年金額です。
年金月15万円の手取り額
年金にも税金はかかりますが、年齢により控除額が違います。65歳以上で年金受給額が年間110万円までは、所得控除額を引くと所得がゼロになり所得税はかかりません※1。夫婦とも受給額が110万円以下であれば、所得税はかからないケースが多いです。しかし、介護保険料や健康保険料はかかるケースが多いでしょう。
介護保険料や健康保険料の掛け金は、居住地域ごとに違いがあり、年金支給額が同じでも手取りが若干異なります。
年金の支給額が月15万円の場合、手取りは月13万円~14万円程度、年間では約160万円前後になるケースが多いでしょう。

【FPからの補足説明】
国民年金(老齢基礎年金)は40年間かけると満額で年額で約831,700円、月額に換算すると69,308円※2です。
2人分で年金額が15万円となるのは、ほぼ国民年金だけで厚生年金をほとんどかけていなかったケースが考えられます。国民年金の免除期間が多くなると、年金額が低くなります。
年金額が低くなる一例
- 夫婦ともに自営業で国民年金しかかけていない
- 国民年金の免除期間がある
- 厚生年金をかけていても収入が低かった
平均的な老後の生活費と比較
平均的な老後の生活費を考えると、月15万円の年金で夫婦の暮らしを維持することは、非常に厳しいケースが多いです。
持ち家で家賃がまったくかからない場合、野菜や米を自分で作り食費があまりかからないなど一定の条件がそろうと、環境や工夫次第では可能な場合もあるかもしれません。
しかし、生活費を月13万円以下に抑えることは難しく、突発的に医療費の出費があると年金収入だけでは対応できない可能性は高いでしょう。

【FPからの補足説明】
生命保険文化センターのデータによると、月15万円の年金は高齢無職世帯の平均の支出より10万円少ない金額です。
- 高齢無職世帯の消費支出は夫婦で約25.7万円※1
- ゆとりある老後生活費は平均37.9万円※2
生活水準や考え方により支出は家庭ごとに違いますが、月15万円の収入では、すべての支出を賄うのは非常に難しく、貯金を取り崩す、または何らかの収入で補う必要があります。
年金月15万円でも成立しやすいケース
年金月15万円でも夫婦の暮らしが成立しやすい条件を考えてみました。
- 貯蓄がある
- 持ち家で家賃がかからない
- 米や野菜は自給自足にし、食費を抑える
1カ月間の短期の収支では、月15万円で抑えられても、不定期支出を考慮すると年間では赤字になる可能性があり、何らかの対策が必要になります。
例えば、家電を買い替える、入院などで医療費がかかる場合、冠婚葬祭費用などが考えられます。毎月ではなくても、1年に数回、臨時的な支出はあるものです。

【FPからの補足説明】
家賃の有無や金額で支出は大きく変わります。住む場所の選択が可能であれば、家賃を抑えられる場所に住む方がよいでしょう。
しかし、自動車がないと買い物に不便だったり、病院への通院が難しかったりする場所なども、高齢者は考慮する必要があります。
月15万円の収入では、ギリギリ生活が可能でも余裕がなく、不測の事態には対応が難しいケースが多いでしょう。
年金や老後資金のお悩みは、無料FP相談でプロと一緒に解決しよう

厚生労働省が発表した資料によると、令和6年の平均寿命は男性は81.09年、女性は87.13 年※です。60代でリタイアすると、年金生活は30年近く続く見込みです。年金は急には増やせません。資産運用も時間がない場合、大きなリスクを取らなければ増やすのは難しいでしょう。
限られた年金は、いかに有効に使うかが鍵になります。節約の方法を知り、満足度の高い支出を優先しましょう。
老後の資金計画はできるだけ早く始めたいものです。時間があるほど準備ができ、選択肢が広がります。

<年金と老後資金相談はマネーキャリアへ>
FP相談で可能なこと
- 年金制度の基本と老後資金の計画
- 退職後の生活費の見積もりと資金計画
- セカンドライフに向けたキャッシュフロー管理
- 税制優遇制度(NISA、iDeCoなど)の活用法
住宅ローンを抱えていたり、教育費の負担が重かったりすると、老後資金の準備は先延ばしにしがちです。少しずつでもNISAやiDeCoを活用し、貯めることが大切です。

年金月15万円で想定される夫婦の生活レベルをシミュレーション
月15万円の暮らしをシミュレーション
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 家賃 | 40,000円 |
| 光熱費・通信費 | 20,000円 |
| 食費 | 40,000円 |
| 日用品 | 10,000円 |
| 交通費 | 5,000円 |
| 被服費 | 5,000円 |
| 医療費 | 10,000円 |
| その他 | 20,000円 |
| 合計 | 150,000円 |
※住んでいる地域やライフスタイルにより異なります
生活は最低限の消費のためだけで終わってしまいます。家計ごとに違いはあるものの、旅行や趣味に回せるお金はほぼないでしょう。

【FPからの補足説明】
生活費は住宅費の金額により違いが出てきます。持ち家は家賃がかかりませんが、固定資産税や維持費がかかる可能性があります。高齢者の生命保険は、現役世代の「遺された家族の生活保障」という役割を終えていることが多いため、必要性が低いケースが多いでしょう。
葬式代は毎月掛け金を捻出するものではなく、最低限の金額を貯蓄で残す方法もあります。お葬式は家族だけでこじんまりとやるケースも増えており、数万円程度でも可能な方法もあります。
高齢者で一番支出が予想されるのは医療費です。入院の備えは高額療養費制度※を利用する場合も、10万円程度の備えは最低限必要でしょう。
年金月15万円でも安心して夫婦で暮らすための対策

- 固定費を徹底的に見直す
- 医療・介護への備えを強化する
- 年金以外の収入源を確保する
毎月の支出を極力おさえ、臨時支出のための対策が必要です。
固定費を徹底的に見直す
固定費は徹底的に見直しましょう。固定費でも特に住居費は最小限したいものです。家賃の値下げ交渉を試してみるのもよいかもしれません。
賃貸は家賃が低ければ低いほど削減額が大きくなります。競争率は高めですが、高齢者向けの公営住宅を探してみましょう。公営住宅は、収入が少ないと家賃負担が下がるケースが多いので、年金額が少ない場合は家賃を抑えられます。
車が必要かは地域にもよりますが、自家用車は維持費がかかります。免許返納の時期も考え、車がなくても可能な生活の準備を始めましょう。固定電話は携帯電話で代用できれば、解約を検討しましょう。携帯電話は格安携帯を選択すると、より負担を減らせます。

<貯蓄の取り崩しは計画的に>
貯金額にもよりますが、毎年いくらずつの取り崩しなら平均寿命まで持つのかを試算してみましょう。予備資金は必要ですが、現在の生活も大事です。貯蓄の取り崩しや使い方が難しいと感じたら専門家へ相談するのも有効な手段です。
貯蓄は計画的に取り崩すと、将来への不安を減らし、安心して生活を送れるようになります。20年、30年の予想されるキャッシュフローをもとに、FPとともにシミュレーションしてみましょう。
医療・介護への備えを強化する
高額療養費制度※1を利用すると、医療費の自己負担を抑えられます。この制度は、多額の医療費がかかっても、ひと月(1日~月末)の上限額を超えた分が払い戻される仕組みです。
細かい規定はありますが、年収370万円以下の場合、1カ月の自己負担の上限は57,600円です。たとえば入院や手術で医療費が100万円かかっても、支払うのは57,600円に抑えられます。
医療費の備えとして、約6万円の蓄えがあれば短期入院には対応できます。ただし、入院中の食事代や病院で着る衣服の洗濯代などは別途準備が必要です。
さらに、リタイアを機に保険も見直しましょう。掛け金がかかる保険は、本当に必要かどうかを確認することが大切です。

【FPからの補足説明】
介護保険料は、ほとんどの高齢者が支払う必要があります。介護保険制度は、高齢者の介護を社会全体で支え合うための仕組みです。
介護サービスを受けるには、市区町村に申請して「要介護(要支援)認定」を受ける必要があります。状況に応じて、訪問介護やデイサービスなどが利用可能です。
介護が必要になった場合、自己負担は1〜3割(年収160万円の場合は1割※3)で済みます※2。備えとして貯蓄があれば、より安心して介護サービスを利用できます。
年金以外の収入源を確保する
年金以外の収入を確保しましょう。フルタイムでなくてもパートやシニア向けのアルバイトで働き口があれば、収入を得られます。体調に問題がなければ定期的に働くことで定期収入を確保しましょう。
年金をまだ受給していない場合は、年金を繰り下げる方法があります。65歳で受け取らずに66歳以後75歳までの間で繰り下げて受給すると、増額した年金を受け取れます※1。繰り下げた期間によって年金額が増額され、その増額率は一生変わりません。
労働収入が定期的に確保できている間は年金を受け取らずに、仕事がなくなったり、体がきつくなったりで働くことが難しくなったら年金をもらい始める方法もあります。

【FPからの補足説明】
iDeCo・新NISAなどで老後資金を準備する方法もあります。NISAは長期運用に適した制度なので、15年以上運用するのが可能であれば、活用を検討しましょう。
iDeCoで積み立てた資産は、原則として60歳から受け取りが可能になります※2。60歳から年金資産を受け取るには、それまでに加入していた期間等(確定拠出年金の通算加入者等期間)が10年以上必要です。通算加入者等期間が10年に満たない場合は、受給可能となる年齢が繰り下げられます。
詳細は難しい部分もあるので、資産形成を専門としているFPに聞いてみましょう。
【まとめ】年金15万円の老後資金の計画は早めにFPに相談しよう



